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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第四章 ボクの夢は聖女さま!

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タマゴの戦士エッグ・ガイ

「ねー、このおっきいタマゴなーにー?」


 子供らしい素直な好奇心でルカがたずねてくる。

 勇輝は上機嫌をよそおって答えた。

 すぐ後ろでクラリーチェが不機嫌そうににらんでいる。

 彼女に口を開く時間をあたえないほうが良い。


「フッフッフ、これこそ我が新必殺技システムの基礎部分なのだ!」

「えーっ、しんひっさつわざ!?」


 目をキラキラさせるルカ。

 これは見せてやらねばなるまい!


「出ろおおおお! エッガアアアイッ!!」


 勇輝は指をペチっと鳴らした。

 本当はもっとカッコいい音を出したかったのだが、あいにく指パッチンがヘタだった。

 しかし合図には十分だ。

 目の前にならぶ五十個の卵が一斉に動き出した!


 

 ガシャッ! ガシャガシャガシャ!



 卵のカラのいたるところに穴があき、頭・両腕、両足がニョキニョキニョキっとはえた。

 エッガイと呼ばれた彼らはその場に立ち上がり、直立不動のかまえ。


「卵の戦士エッグ・ガイ、略してエッガイだ!

 すごいだろ!」


 得意げに胸をはる勇輝。

 しかし、観客たちの反応はイマイチだった。


「……なんか、あんまりかっこよくないかも」


 ルカの寸評に大人たちもうなずいていた。


「え、ええー? ダメかあー?

 デザインは、まあ……」


 某有名アニメにアッ〇イという敵ロボットがいる。

 対戦ゲームなんかでもチョコチョコ走り回る姿が可愛らしくて、ひそかに人気のある機体だ。

 このエッガイは卵のコスプレをトッピングしたアッガ〇をイメージして作ったもの。

 たしかに格好良くは……ない。

 

「こんなもの作るために朝から頑張ってたの」


 クラリーチェがあきれ顔でつぶやいている。


「こんなもの言うな! こいつらがこれからの聖都を守るんだからよ!」

「はあ……?」


 バカにしきった顔でクラリーチェはエッガイたちを見つめる。


「よしじゃあやってみようじゃねえか、こんな場所でもそこそこ効果はあるはずだ」


 気合一閃。

 勇輝は追加で新しいものを作った。

 黒い鉄でできた、丸いつつが地面からはえてくる。

 土台はやけにガッシリとしていて、騎士二人はただならぬ気配をさっした。

 キリキリキリキリ……と筒は仰角ぎょうかくを上げていって、ついには真上を向いてしまう。


「ちょっと待ったユウキ。これは何だい?」


 良からぬ気配を感じたランベルトが止めに入る。

 この赤い目をした末妹、必ずしも役に立つものを作るとはかぎらないのだ。

 先日も変形する機兵をつくって、自分自身を半殺しにしたばかりである。


「大砲だよ」

 

 そう言いながら勇輝はさらに人数分、防音具イヤーマフを作り出した。

 

「全員、これを耳につけて。危険かもしれないから」


 手渡されたランベルトは戦慄せんりつした。

 この相沢勇輝、普段はこういう配慮ができなくてさんざん周囲から叱られている。

 いつもそそっかしい相手が慎重になる、これは本当に危ないということだ。


「ほい、ほい、ほい」


 勇輝はその場にいたクラリーチェ、ルカ、ジゼルに次々と防音具を手渡し、自分も身につけた。


「さあ離れて! 離れて!」


 大声を出しながら両手で押す仕草しぐさをする。

 全員指示に従って数十メートル離れた。


「よしやれ、エッガイチーム!」


 勇輝が命令を下すとエッガイたちが駆け足で大砲をかこむ。

 意外と走るのは速い。

 そして全機、両手を大砲にむけて身動きしなくなった。


 エッガイたちの手から魔力が飛び出て、大砲の中に溜まっていく。

 力を送り終えたエッガイは地面にうずくまって、対ショック態勢をとった。

 そうして同じ事がくり返され、すべてのエッガイが作業を終える。


「イクゾー!!」


 勇輝は人間たちにむけて三本指を立てた。


「三!」

「二!」

「一!」


 コールごとに一本ずつ指を減らしていき、そしてゼロになる。


「ダーッ!!」


 拳を天に突きあげた瞬間。

 大砲が天空めがけて閃光をはなった。



 ドオオオオン……!



 地を震わす振動。

 腹に響く重低音。

 目もくらむ閃光。

 はなたれた光は高く高く飛んでいき、そして弾けて消えた。


 勇輝は防音具を外し、皆にも外すよう身振りで指示した。


「どうせだったら夜に実験するんだったね。

 きれいな花火が見れたかもしれない」


 そんなことを言った。

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