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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第四章 ボクの夢は聖女さま!

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ヴァレリアと二人で

 勇輝はヴァレリアに面会を求めた。

 勇輝自身が超有名人であり、また長官の家族ということもあって結構すんなりと会うことができた。 

 長官執務室で二人きりとなる。


「へえ、これが問題おこした女の子ですか」

「そのようですよ」


 ヴァレリアは書類のチェックをしながら返事をした。


 すでに目撃証言をもとに作成された似顔絵が出来あがっていた。

 栗色の髪と瞳をした、十歳にもならないような女の子。

 

「んー……」


 まじまじと似顔絵を見つめる。


「なーんか見おぼえがあるような無いような……」

「心当たりがあるのですか?」

「いや小さい女の子に知合いなんていないんですけど、なんか似たような子を見たことあるような無いような」


 頭の中にボンヤリとしたイメージがある。

 しかしそれは男の子だった。

 よく似た男の子をどこかで見た気がする。


「ダメだ思い出せない。セラ、お前は見た記憶ないか?」

『ありません』

 

 指輪から答えが返ってくる。

 セラが知らないということは、指輪を作る前の可能性が高そうだ。


 




 分からないものは分からない。仕方ないので別件のほうを相談することにした。


「実は、火力不足で悩んでいるんです」


 ヴァレリアは意外そうな顔をした。


「クリムゾンセラフは十分に攻撃力にひいでていると思いますが?」


 これまで数々の敵を撃破してきた紅の天使。

 弱いわけはない。


「いやそれが、こういう事もできるはずなんですよ」


 勇輝は床に魔力を通して、大きなモニターを作り出した。

 画面に映すのは赤竜の集合体を焼き尽くした、十二天使の一人フェブライオの灼熱魔法。




『神の恵みは計り知れない、これ無量むりょうなり。

 神の庭は永遠に踏破できぬ、これ無辺むへんなり。

 神の御業みわざはすべてをになう、これ無数むすうなり。

 神の愛は不滅にして不変、これ無尽むじんなり。

 神の怒りを代行し執行する、これ無敵むてきなり!!』


機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナ――!!』




 太陽のごとき灼熱の究極魔法が醜悪な巨悪を滅する一部始終。

 こうして見てきた光景を動画再生できるのは勇輝の魔法の便利なところだ。


「これくらい超絶的なのを俺も使えるはずなんです!」

「まあまあ、これはなんという事でしょう」


 ヴァレリアは鎧も着なければ剣もにぎったことがないという淑女しゅくじょだが、軍の長官である。

 さすがに興味を持ったようだ。


「もう一度見させてもらってもよろしいでしょうか?」

「ええ、もちろん」


 勇輝は再び再生する。




 『勿論もちろんですとも!!

 我が力は天の裁き!!

 たとえ天魔鬼神といえども恐れおののき三千世界の彼方へ退く、無辺むへん無尽むじんなる天上の……




「あ、ミスった。ここは飛ばしますね」


 フェブライオのウザい自分語りが始まってしまったので、勇輝は早送りをしようとする。

 しかしヴァレリアはなぜか止めた。


「いえ、せっかくですので見させてください。

 この時もずっと他の天使様たちは戦ってくださっているのですね?」

「え、ええそうです。

 本当に全部みるんですか?

 けっこうムダに長いですよ?」


 ヴァレリアは眼鏡をクイ、と直し勇輝に告げる。


「長いというのが、むしろ重要です」

「はい?」

「あなた一人で同じ事をしようとしたら、かえってひどい事になる気がします」

「あ、まあ、そうかもですね」


 勇輝もそれなりに戦歴を重ねてきた。ヴァレリアの言いたい事は理解できる。

 夢物語と実戦の違いは、痛みと恐怖でさんざん思い知らされてきた。

 タメの長い超必殺技など相手はそうそう使わせてくれない。

 

「このフェブライオ様という方の魔法は、非常に準備時間がかかるようですね。

 周囲の完璧なサポートがあってはじめて真価を発揮できているように見受けられます」

「はい、たしかにそんな感じでした」


 画面の中で赤竜の塊は三方向から同時に攻められ、翻弄ほんろうされている。

 こうして味方がサポートしているからフェブライオたちはじっくり準備ができたのだ。




機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナ――!!』




 二度目の太陽がはなたれる。

 ふたたび赤竜は焼き尽くされた。


「うーんん、やることメチャクチャ多いって事ですかあ」

「フフ、そうですね」


 単に強い技が使えるというだけでは実戦的ではない。

 支えてくれる仲間がたくさん必要だ。


 技の修行をして、仲間を集めて、連携れんけいの特訓をする。

 一日二日で出来ることではなさそうだ。

 頭をかかえる勇輝をヴァレリアは笑った。


「ランベルトは、あの新型を使いこなせそうですか?」


 誰よりもまず力になってくれる家族の名前があがった。


「やりますよ兄貴なら。っていうか、絶対にあきらめないと思いますよ。

 兄貴はああ見えて熱血バカですから」


 力なき民衆を守るためとはいえ、生身で悪魔ディアブルに決闘を挑んだ命知らずである。

 あの男は無理なことでもやってしまう。

 ならばやり通せるだけの力が必要だ。

 そこは本人が一番痛感しているだろう。


「大丈夫。俺はなんにも心配してませんよ」

「そうですか」


 二人は笑顔をかわした。

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