表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神々の権能を操りし者 ~能力数値『0』で蔑まれている俺だが、実は世界最強の一角~  作者:
第五章 絶対者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/237

80話 海の美女

沢山の感想感謝です(*´▽`*)



「・・・よし・・・」


 早朝、五時前にプロフェッショナル隼人の仕事は始まる。

 家族と仲間を起こさないよう静かに体を起こし服を着替えると、携帯食料を片手に置手紙を残す。


“少し海に行ってきます”


 これを残せば誰も心配しないだろう。

 最後に、昨日買ったサングラスを掛けて有名人対策をしたところで準備完成だ。

 まあ、俺の溢れ出る超人オーラの前ではごみみたいなものだが、無いよりはましなはずだ。


「ふっ、それでは参ろう」


 サングラスをくいっと指で上げ、ニヒルに笑う。


「何処に行くんすか?」


 ・・・気のせいか?

 今服部さんの声が聞こえた気がするが。


「うん、気のせいだな。昨日の今日で少し疲れて・・・」


「お~い、聞こえてるっすか柳君? 外に行くなら私も連れて行って欲しいっす!」


「・・・何でここにいるんですか服部さん」


 頭を押さえながら後ろを振り返り、満面の笑みで瞳をきらきらさせた先輩に問いかける。

 第一ここは俺の部屋だ。俺かもう一つキーを持っている母さんしか入れないはずなのに、何故この可愛い先輩は侵入している? どれだけざるな警備だよ。


「えへへ、どうしてか秋穂さんに柳君の部屋のキーを渡されまして。早起きしちゃったので柳君の寝顔でも見ようかな~と思って来ちゃったっす」


 ・・・可愛すぎかよ。

 俺に幼馴染なんてものは一人もいないが、もし居たとしたらこんな展開が頻繁にあるのだろうか、アニメでよく見るし。


 しかし、しかしだ。

 今日は違う。このイベントは別の日に回して頂かなければ俺の計画が破綻してしまう。


 大変もったいないが、早急に服部さんには退出頂こう。


「そうだったんですか。いや~何か照れ臭いですね、それはそうと俺は今から少し用事がありまして・・・」


「もう、朝から五月蠅いよお兄ちゃん」


 必死に頭を回転させ切り抜ける台詞を考えている途中、この瞬間で最も声を聞きたくなかったランキング第二位の声が聞こえた。服部さん・・・ドアの鍵閉めてなかったんですね。


「わ、悪いな蒼。静かにするからお前はもう部屋に戻って・・・」


「う~ん? 何これ」


 何故誰も俺の台詞を途中までしか聞かないんだ!

 蒼はずかずかと部屋に侵入してくると机の上に置いた紙を手に取る。


「ちょっ、それは!」


「んん~と、少し海に行ってきます?」


 目を擦りながら紙の文面を読み上げると、徐々に蒼の目が覚醒していきにやりと小悪魔のような笑みを見せる。


(終わった・・・)


「にしっ、勿論私も連れて行ってくれるよね!」


「い、いや、これには深い事情があってだな・・・」


「ああ、はいはい。言わなくていい言わなくていい、どうせ爆乳のお姉さんたちとうはうはパラダイスだぜ! とかエッチなことやりたかっただけでしょ? 鈴奈さんも一緒に海行きましょうよ!」


「勿論ついて行くっすよ!」


 まずい。着々と理想とは逆方向にアクセルを全力で踏み切っている気がする。

 西連寺さんを起こしに出て行った二人が帰ってくる前に何か打開策を見つけなければ。


「くっ、唸れ俺の脳よ!」







 一面に広がる果てしない青、煌めく光が反射してビーチを歩く美女をより一層輝かせる。遂に俺は海に来た、


「やっほ~ 海だー!!」

「泳ぎまくるっすよ!」

「ちょっと! 鈴奈っちと蒼っちもサンオイル塗らないと」

「海なんて久しぶり、綺麗ですねあなた」

「ああ、でも母さんの方が百倍綺麗だ」


 この五月蠅い連中を連れて。


 結局あの後打開策は思いつかず、しまいには母さんも話に混ざったことで皆で遊びに行こうという事になってしまった。これでは・・・これではナンパが出来ない!


 最後の望みを込め、美女からの逆ナンを狙おうとしているが、不思議な事に声一つ掛からない。


「サングラスの性能が良すぎたか!」


 くっ! 少しサングラスの力を侮り過ぎていたようだ。まさか遮光性だけでなく使用者のオーラさえ抑える事が可能とは、使い方によっては大変有用に活用できるだろう。


「ねえねえお兄ちゃん」


「あん?」


 サングラスに敬意を表している俺の腕をつんつんと蒼がつつき体をこちらに寄せてくる。


「どう? 私の水着、セクシーかな?」


 蒼の水着は白のワンピースタイプの水着で所々フリルが付いている。残念ながらセクシーには程遠い。しかし、普通に可愛いし俺としては全然ありだ。


「セクシーじゃないが超可愛い。以上だ」


「ふぇ?!」


 感想を思ったことをそのまま言って、おざなりに終わらせる。

 今は蒼に構っている暇はないんだ。どうやって海に来ている美女をナンパするかが俺のミッション。でなければ、何故わざわざ外国に来たのか分からないじゃないか。


「あ、あの~ 私はどうっすかね?」


 視界の端から服部さんが上目遣いで尋ねてくる。


 服部さんは黄緑のオフショルダービキニ。肩を露出させている水着で、ちょいセクシー。百点中百二十点を進呈させて頂きたい。


「俺はこんなに綺麗な先輩がいて幸せ者ですね」


「えへへ~ 照れるじゃないすっか!」


 顔を赤くしながらバシバシと叩く服部さん。


 蒼よりは少し語句を多めにしたおざなりな回答だったが大丈夫だったようだ。ちなみに頭の中はナンパの事で八割を占めているので自分が何を言っているのかはよく分かっていない。


「どうして家の子はこんなに残念なのかしら・・・」


 誰かの呆れる声が聞こえたが俺の事ではないだろう。


「じゃ、俺はちょっとする事があるから」


 がしっ、ぷらーん。


 この場から逃げようとダッシュしたところ、ラスボスのアイアンクローが俺の頭を捕らえ体を宙に浮かせる。


「あの、離して欲しいんですけど」


「可愛い女の子を置いて別の場所に行こうとする馬鹿な子にお仕置きよ。罰として何か飲み物でも買って来なさい。勿論五分以内でね」


「・・・あい」


 毎度の如くゴミと同じくポイ捨てされた俺はやられた頭を撫でながら売店に向かう。


「くぅっ! せめて、この目には美女の姿を焼き付けるぞ!」





「これとこれを四個ずつお願いします」


「はいよ! ちょっと待っててな兄ちゃん」


 帰ったらサリーにも会いに行かなきゃだな。桐坂先輩がいるとはいえ寂しがってるだろうしな、先輩体力無いから余り走り回れてないかもしれん。

 後はずっと言っているが神社にお参りに行こう。これは必須事項だ。このまま不運が続いたら本気で死にかねない。


「出来たぜ兄ちゃん! フィッシュタコス四つとメロンソーダ四本だ」


「どうも」


 両手で受け取り蒼達の場所へと踵を返す。


「ふぁ~ 眠いな~」


 その途中、ふらふらして歩いている女性を見つけた。

 今にも倒れそうで心配になるが、俺はそれとは違う体の一部に思わず目が吸い寄せられる。


「何だ・・・あれはっ?!」


 二つの巨峰、核爆弾級の戦略破壊兵器、その戦闘力は推定百万を超えている。

 今までの女性たちとは一線を画す暴力的までのそれは周囲の男性の目全てを総取りしながらゆっさゆっさと移動する。


 彼女の周囲はまるで地獄だ。

 恋人同士で来ただろう男が彼女に頬を叩かれ、男の友人たちで遊びに来ただろう集団は誰が声を掛けるかで殴り合っている。


 ・・・何て醜い光景なんだ。

 これが人間の本性なのか。


「くぁ~」


 破壊のビーナスは遂に目を完全に閉じると後方に体が倒れる。


戦神(マルス)


 瞬時に能力を発動させると、彼女の背後に移動しその背中を支え、


「へ?」


 移動した先には今まで目視していたはずの美女はいなかった。

 しかし、砂浜にはその影が残っている。まさかと思い、上に視線を移すと空中で後方に体を回転させている美女がいた。そして当然、回転した体はそのまま下に落ちる。


「ぶべっ!」


 着地に際に出される足が見事俺の後頭部を捉え、地面に突き刺した。


「う~ん、ふぇ? え?・・・あっ! ごめんね!」


 意識が戻り今の状況をようやく理解したのか美女の焦ったような声が聞こえる。

 すぐさま頭から降りると、両手がふさがっている俺の体を支え立たせてくれた。


「本当にごめんね! ボクってちょっとおっちょこちょいで・・・助けてくれようとしたんだよね? ふふっ、ありがとうね!」


 その瞬間爆風のような衝撃が俺の体を貫く。


(ボ、ボクっ子だとぉおおおお!!!)


 最高かよ。

 目の前の美女を再度観察する。空のように青い髪を後ろは肩口で揃え、前は左右から少し垂らしている。目は大きく眠たげに垂れ下がっており優しさがにじみ出ている様だ。顔にはまだ幼さが残っている事から歳はそこまで大きくは離れてないのかもしれない。そして極めつけは二つの核爆弾だ。こいつを出されちまったら全世界のDTの同士達では誰も太刀打ち出来ないだろう。


「あ、あの! 連絡先を教えてくれませんか!」


 気付いた時には口が動いていた。

 自分の思い描いていたナンパとは全く違う不格好なものだが、目の前のボクっ子とどうしてもお近づきになりたかったのだ。


 彼女は少し驚いた顔をすると、すぐに穏やかな表情に戻しくすりと笑う。

 

「ふふっ、君は見た目に寄らずプレイボーイなのかな? でもごめんね、ボクは誰とも関係を持つつもりはないからお断りするよ」


「ぐはっ!」


 人生初のナンパ撃沈である。


「それとボクの目的も偶然ではあるけれど達成したからもう帰るね。九人目のお仲間が優しそうな子で良かったよ。じゃぁね、柳隼人君」


「え?」


 自分の名前を呼ばれた驚きで顔を上げるがそこには既に美女の姿はなかった。


「あ、嵐のような人だったな」


 それにしてもまさか、戦神より早く動けるとは思わなかった。

 謎多き美女というやつだな。


「考えてもしゃーないな。またねって言ってたし、また会える日があるのかもな」


 その日が来たら友達から始めよう。

 俺は撃沈した悲しさを胸に家族のもとに戻る。


 その後は海の美女とは無縁だったが、皆と限界まで遊べたのは案外面白かったと述べておこう。偶にはこういう日があってもいいのかもしれない。


ピークの戦闘シーンに突入したら連日投稿しようかなと思っております(*´▽`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終焉都市の雑草
連載開始です(*´▽`*)
神々の権能を操りし者2
― 新着の感想 ―
[気になる点] 何章ほどで完結するか予定はありますか?
[一言] 新たなハーレム要員がボクっ娘とは…ありですね。 美女なのにボクっ娘というのも中々見ないですが良いものですね。
[一言] 唐突に現れたダークホース...真のヒロインはボクっ娘でしたか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ