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8話 災厄の産生

「はやく吐けやごら゛あ!!」


 怒鳴る警官。

 机を叩き、明らかに俺を脅している。


 そして今、俺の首には首輪のようなものが装着されている。

 これは能力者の能力を発動させないようにする道具らしく、体がいつもよりかは少しだるいように感じる。いや、ほとんど変化がないから勘違いかもしれないが。


「何度も言ってますけど、俺は盗ってませんよ」


「証拠が上がってんだよ! 証拠がなあ!」


 そして問題がこのいかれ警官共だ。

 さっきから同じ言葉の繰り返しだ。

 いくら俺が弁明をしようとも全く関係ないとばかりに犯人に仕立てようとしてくるのだ。


 ここまであからさまだともう疑いようもない。

 こいつらはほぼ確実にパリピ君とグルだろう。

 その証拠に先程からその顔には憎たらしい程の笑みが漏れだしている。


 まったく、人を陥れて何が楽しいのか理解に苦しむ。

 日々怪物たちと戦って、こんな奴らのために命を懸けている戦闘部隊の人たちには同情を禁じ得ない。


 「おい、なんか言ったらどうなんだよ!」


 懲りもせず罵声を浴びせる警官。

 殴りたい衝動に駆られるが、今俺が殴ると確実に体の欠片も残らず消し飛ぶだろう。

 こいつらが死ぬのはどうでもいいが、それで親族が悲しむのは何か違うのではないだろうかとギリギリで踏みとどまる。


 「君ねえ、早く罪を認めた方がいいと思うよ? じゃないと後々から白状した時には今よりももっと重い罪になるからねえ」


 もう一人の警官が俺に宥める様な口調で喋りかける。

 まるで俺が癇癪を起す幼い子供であるかの様な態度に自然と眉間にしわがいく。


・・・


 警察の横暴な取り調べ(?)が終わると俺は檻の中にぶち込まれた。

 

まさか自分が檻の中に入る日が来るとは思わなかった・・・訳ではないがここまで早いとは思わなかった。


 退屈な檻の中にいること数十分、檻に何者かが近づく気配がする。

 顔を上げて確認すると、そこには思わず殴りたくなるような笑みを浮かべるパリピ糞野郎君がいた。


 「よう、ゴミ野郎。お前にはお似合いの場所じゃねえか!ハハハハハ!」


 と何やら爆笑している。

 俺は喋るのも怠いので無視していると、それが気に食わなかったのか奴は棒状の鈍器のような物を取り出すと、警察官を呼んで俺の檻を開けさせる。いや、お前何者だよ!とツッコミたくなるが出来るだけ喋りたくないので必死に抑えた。


 「はっ! 俺様の親父はよお、警察庁長官なんだぜ。だから俺様がこんなことやっても許されるんだよ!」


 と丁寧な情報提供をした後、奇声を上げながら手に持った鈍器で俺を殴ってくる。


 「ガっ!」


 流石の俺もこれにはたまらず膝をついた。

 それから数度俺を殴りつけてスッキリしたのか、パリピ野郎は「また来るぜ!」と言ってこの場を後にした。

 その光景を最後に俺は意識を失った。





  ◇




 固い床の上で体の痛みに目を覚ます。


 「ああ、いてえ」


 口の中が血の味がする。

 体にはいたるところに痣があり、少し体を動かすだけでも激痛が走る。骨に罅でも入っているのかもしれない。


 ・・・これが能力数値『0』の現実だ。

 圧倒的弱者は他の強者によって淘汰される。

 日常を普通におくることも許されず、彼らのストレスの捌け口として奴隷のように扱われるのだ。


 おそらく何かと言い訳を作って満足するまで、俺を痛めつけるつもりなのだろう。

 流石に殺されそうになれば俺も能力を使うつもりだが、そんな事にはならないと信じたい。家族に迷惑をかけることは出来るだけやりたくないのだ。蒼なんてまだ結婚もしていないのに犯罪者の兄がいるだなんて知られたら、一生結婚できないかもしれない。


 「はあ~」


 もはやため息しか出てこない。

 これからの人生もこんな風に過ごしていくのかと思うと、憂鬱になるが、仕方ないことだと割り切る。


 人間というのは非常に脆い生き物なのだから。

 こんないつ死んでもおかしくない世界にいるのだ、自分より苦しんでいる者を見ていないとやっていけないのだろう。




  ◇




 太陽が沈み、あたりが暗くなってきたころ。

 誰も近寄らない路地裏の空間に2メートルほどの罅が入る。


 その罅からゆらりと異形の怪物が姿を現す。

 造形は非常に人間に酷似しているが、腕の部分は剣の形をしており、何よりも体全体が漆黒のもやに包まれており、それが人間でないことは明らかだった。


 怪物は歩きだす。

 路地裏から出ると、そこにはガラの悪い連中がたむろしていた。


 「あ゛あん?」


 怪物の陰に気づいた不良の一人は後ろを向いて威圧した声をだす。

 しかし、それが人間じゃないと分かると目を開き後ろに下がろうとする。


 「なんだおま――」


 “なんだお前”と言おうとしたのだろう言葉は、最後まで紡がれることは叶わなかった。

 怪物がその腕を一閃したことで、その体が両断されたからだ。続く一閃、他の不良達も同様の末路を辿り、その体が両断された。


 「き、きゃーーー!!!」


 その惨劇を見て響き渡る悲鳴。


 ここに災厄は現れた。

 地方、または複数の州規模の怪物。

 そのAランク級の怪物の名は――リッター


 別名、【50万人殺しの悪魔】である。


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終焉都市の雑草
連載開始です(*´▽`*)
神々の権能を操りし者2
― 新着の感想 ―
雑な展開だし、主人公がつまらない。
[気になる点] ちょっと展開が酷すぎる。 もうちょっと考えて欲しかった。
[一言] 能力数値0と表示されてるのはよいとして、クラスでやられるがままになってる意味がわからない。能力隠したいの?なんか主人公が好かん。今のところね。あとは警察庁長官の息子?が警察動かすとか無いでし…
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