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神々の権能を操りし者 ~能力数値『0』で蔑まれている俺だが、実は世界最強の一角~  作者:
第四章 影の陰謀編

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56話 極致

誤字報告・温かい感想大変感謝です(*´▽`*)

・・・強いな、一体一体の能力も恐ろしいがそれらが相乗効果を生み出し更に凶悪なものに昇華している。


しかし、それでもだ、


「で、だからどうした?」


顔を覆う左手を離し、俺は断言する。


【確率変動】、【磁力操作】、【存在希釈】、【酒飲激成】、どれもが異常でSランク級の怪物に相応しい力だ。国を亡ぼすと言われているのも頷ける。


しかし、

絶対ではない。

無敵ではない。

どうにも出来ない理不尽なものではない。


何時の時代、どの場所でも絶対的で理不尽を指す代名詞はただ一つ。


――『神』だ。


 息をするように天変地異を引き起こし、気分次第で種すら一手間に絶滅させる超常的存在。人の物差しで測ろうとすることすら烏滸(おこ)がましい。

 人に限らず全ての生物が神に対し行える行動は祈るのみだ。神の怒りに触れず、神に意識されないように大人しくする、でなくば神罰という名の掃除が始まる。


もし神がこの場に居れば目の前の敵に対し何を抱くのだろうか。


いや、特段何かを感じる事はないだろう。

かの存在にとって神以外の存在は全て取るに足りない何かなのだから、それは赤ん坊であろうがSランク級の怪物であろうが変わらず全てが等しい。


「はは」


 笑みが零れる。


 ああ、耐えがたい。

 半端に強力な力を持ったからか、仲間を作り死角がないと思っているのか俺を殺せると確信しているその瞳が気に入らない。不遜も甚だしい。


――喜べ、貴様等は神の怒りに触れた。


 手を僅かに開閉する。


(久しぶりだな・・・)


 戦神では少々時間が掛かるだろう。

 相性も悪い。


 奴等には一切の希望も抱かせない、絶対的な力で叩き伏せねばならん。

 その付けあがった傲慢、この場で清算してやろう。


「ふぅ~」


 息を吐き、感情を圧し潰す。


 僅かな波すら立たぬように・・・


「何かするつもりじゃッ! 畳み掛けるぞ!」


 本能で危険を感じ取ったのか、俺が行動する前に仕留めようと一斉に襲い掛かる。


「いい加減てめえも見飽きたぞ!」


 雨あられと降り注ぐ酒呑童子の拳をいなし、躱していく。


(感情を殺せ・・・反撃を考えるな、ただただ躱していけばいい。今は心を無へと鎮めるんだ)


 周囲に数えるのも馬鹿らしくなる砂鉄の剣が生成される。


「ツラヌケ」


 機械の怪物が腕を振り下ろすのと同時に剣が一斉に俺目掛け突き刺さる。


『百』


 それに【確率変動】のおまけ付きか・・・

 剣一本一本がおよそ百パーセントの確率で俺を貫くよう俺の動きに合わせるようにぶれながら直進する。


 今の俺に全てを防ぎきる事は不可能。

 ならば・・・急所以外の攻撃は無視する。


「・・・がはっ」


 無防備な体を無数の剣が貫く。

 口から大量の血が吐き出され、視界が霞む。


「終わりじゃ」


 目の前に短刀を振り下ろそうとする靄を感知する。

 対する俺は僅かに口角を上げた。少し時間がかかったがようやくだ。



 ――ああ、ようやく至った



武御雷(タケミカヅチ)


 俺の眼前に天から雷撃が落ちる。


「何ッ?!」


 怪物達は思いもよらぬ攻撃に大きく後退し油断なく構えを取る。



 ◇



 砂塵が晴れ、まず視界に映ったのは一刀の刀であった。

 鞘に納刀されているそれは紫電を帯びながら地面深くに突き刺さっている。


 隼人は刀の柄を握ると己の左手で鞘を持ち腰辺りに固定する。


 いつの間にか体に突き刺さっていた剣は全て消え失せており、その身に纏っていた闘気も霧散していた。

 ただ、その両目は澄み渡る空の様に澄んだ青に変わり、無表情な顔からは感情が微塵も伺えない。


 今の隼人からは強者の威風は少しも感じない。

 それどころか()()()()()()()()()()()()()()


 怪物達はその異常性を前に動けないでいた。


 先程まで互角に戦ってきた人間に()()()()()()()()()()。その事実は怪物達を混乱させ、却って恐怖を抱かせる。


「・・・はっ、刀を手にしたぐらいで何か変わるかよ!」


 額に汗を浮かべながら酒呑童子は腰の酒を一気に呷る。

 全て飲み切ると瓢箪を後方へ放り捨てる。


 闘気、いや神気に近い力が酒呑童子を包む。

 存在するだけで地面が震え、建物が崩壊していく。


「これが俺の全力だ。あのレオンにすら劣らぬ絶対的な力、貴様のような雑魚では話にすらならん」


 その瞳に宿るのは自信。

 負けるはずがないと意気込み、一歩ずつ足を踏み出す。


「お前らは手を出すなよ? ここまで舐めたまねしてくれたんだ。俺がぶち殺さなきゃこの怒りが収まらねえよ!」


 靄の怪物はため息を吐きながらも一歩下がる。

 今の酒呑童子を止められる者などこの場に存在しないと確信しているからだ。それは酒呑童子の力を認めるある種の信頼であった。


(まずはその腕を引きちぎり、骨を一本ずつ折って・・・ん?)


 そこで酒呑童子はふと眼前にいた隼人の姿が消えている事に気付く。


(一体ど――)


 思考できたのはそこまでだった。


 カチンッ


 酒呑童子の()()()刀の納刀する音が響く。

 隼人は後方の鬼に目を向けることなく音もなく歩き始める。


「ん? どうしたのじゃ酒呑――ッ?!」


 靄の怪物は目を見開き息を呑む。


 酒呑童子が背後を取られたのには驚いたが、どうせ甚振る為にあえて加減しようとしているのだと考えていた。


 しかし結果は、


 隼人の背後で()()()()()()()()()()

 次いで思い出したかのように腕が、足がずれ、最後に体を両断するように縦に分かれた。


(ありえん?! その動きも、抜刀すら全く見えぬなど!)


 機械の怪物が砂鉄で龍を造り出し、隼人へと突撃させる。


 隼人が軽く鞘に触れると共に龍が縦に両断される。


 しかし、砂塵で構成された龍を両断したところでさして意味はない。

 瞬く間に再構成され隼人に躍りかかる。


 隼人に動揺はない。

 怒りもなく焦りもなくただただ無表情に迫り来る龍を見つめ、


紫電一閃(しでんいっせん)


 感情のない声で静かに呟く。


 龍が縦に両断される。それは先程と全く変わらない、しかし次の瞬間龍の体を紫電が駆け巡る。一瞬にして紫電は砂塵を呑み込むと一粒も残さずに消滅させた。


 隼人が上体を倒し、構えを取る。


彼岸花(ひがんばな)


 落雷かと聞き違える轟音を響かせローブの怪物目掛け一直線に距離を詰める。

 音を置き去りにし、通過した地面を焦土と化す。


 ――不可視の斬撃でも確率を変えれるか?


『・・・零』


 怪物は諦めの声を残し体を切り裂かれた。

 鮮血が飛び散り、花のように開花する。


 隼人は止まらない。


 着地と同時に体に紫電を纏い更に加速する。

 敵に反応すらさせぬ速度で靄の怪物の元へと現れると、刀を鞘から抜き放つ。


八岐大蛇(やまたのおろち)


(その姿が掴み取れないのなら空間全てを斬ってしまえばいい)


 一呼吸の間に八の剣線が靄に迫る。


「ッ?!」


 怪物が僅かに反応できたのはたったの一本。

 短刀で防ごうとするも、拮抗すらなく短刀は両断される。


 刃が舞う光景を最後に靄の怪物は体が八つにばらける。


 隼人は最後の怪物である機械の怪物に目を向ける。


 機械の怪物は超電磁砲を放つ準備を整えた状態で施設を目掛けて銃口を向けている。おそらく隼人の速度に対応できないと判断したのだろう。超電磁砲が直撃すれば施設の結界もろとも貫きあの場にいる全員が焼け死ぬ。


超電磁砲(レールガン)!」


 そして再度放たれる極光の一撃。


 隼人は目にも止まらぬ速さで施設の前に移動し、流れるように刀を構える。


 到達まで百五十メートル。


 刀に全意識を集中させる。

 それに呼応するかのように雷撃が苛烈さを増しながら辺りに降り注ぐ。


 百メートル。


 鞘から僅かに刀身を現す。

 刀―、その名を千鳥は喝采を上げるかのようにその光を強く、眩く増幅させ今か今かと抜刀の瞬間を待ちわびる。


 五十、三十・・・そして十。


 隼人は神の領域に到達した絶技でもって刀を抜刀し――その名を紡ぐ。




雷切(らいきり)



 その一刀は怪物諸共に超電磁砲の弾丸を両断し、残滓が怪物の後方を駆け抜ける。


 カチンッと隼人が刀を納刀したのと同時に、目の前に映る景色全てが横一文字にズレた。


三神目登場!

これでまだ位階上げてないってマジかよ・・・

次話は火曜日予定

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終焉都市の雑草
連載開始です(*´▽`*)
神々の権能を操りし者2
― 新着の感想 ―
[良い点] ビジュアル的にもとても映える描写ですね
[気になる点] 刀を納刀というのは重言になっていますので、納刀だけ、もしくは刀を納める、のどちらかがよろしいかと。 報告では納刀をメインにしてみました。 ご確認よろしくお願いいたします。
[気になる点] 最後の方の「残力が〜」のところは 残滓(ざんし)の方がいいと思います
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