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神々の権能を操りし者 ~能力数値『0』で蔑まれている俺だが、実は世界最強の一角~  作者:
第十一章 暴食編

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167話 どちらも間違いではない

 スぺさんからの情報を元に、シャルティアさんとソフィアさんに奪われた呪具について共有した。

 ソフィアさんは鏡型の呪具に嫌な顔をし、シャルティアさんは封印系のものに対し眉を顰めた。


「まぁ、そもそもボク達は顔を出してないから狙われる事もないんじゃないかな?」


「柳隼人の傍にいるだけで一般人だとは思われません。なにかしらの対策は必要ですよ」


「ちぇ~ 面倒だな~」


 危機感を持っているのか分からない表情で枕に抱き着くソフィアさん。

 シャルティアさんは他の絶対者にも情報を伝達し、意識だけはしとけという内容の連絡をしていた。俺は伝令神の権能で何か作れないかと自室に戻った。


 その後は各々で行動し、特に何もなく一日が終わった。


・・・・・・


 一週間が経った。


 その間、主に自主鍛錬とサリーとの遊びに時間を割いていた訳だが。本当に平和な一週間だった。

 怪物が一体も現れなかったのだ。BやAランクの強者はおろか、Eランクのものまで、一切の怪物が姿を現さなかった。


 「平和っすけど、逆に不気味っすね~ あっ、零しちゃった」とは一緒にカフェに行った時の服部さんの言葉だ。この頃要請がぴたりと止んで、暇を持て余しているらしい。


 確かに、突然怪物の姿が消えたのは気になるが、これが普通の状態なのだ。ここ一年はあまりにも怪物の出現率が高過ぎた。流石に打ち止めになったのかもしれない。


「もうこのまま時間が止まらねえかな」


「にゃ!」


 自室でそんな事を呟いていると、もうすっかり常連になった黒猫のルイが何を言っているんだと肉球パンチを繰り出してくる。甘ったれた台詞がお気に召さなかったようだ。こころなしか俺を見つめる瞳が細められている気がする。


「起きるか」


 ベッドから体を起こす。

 時計を見れば午後の三時を回ったところで、後少しすれば蒼が帰ってくるだろう。


 今日も鍛錬しようかと考えながらルイを連れて一階に降りると、廊下でシャルティアさんと鉢合わせる。


「いいタイミングで降りてきましたね。調味料が切れそうなので、少し買い出しに付き合ってください」


「それなら俺一人で買い出しに行きますよ?」


「貴方の護衛という意味合いもありますから。ソフィア・アンティラだと少々不安なので」


 確かに、ソフィアさんと過ごしてきて、どうにも護衛が出来るような人ではないとは思う。あの人は自由気ままな猫みたいな人だから、好きなタイミングでしか動こうとしないだろう。


「分かりました。では荷物持ちとして付いて行きますね」

 

 隣に美女を伴い、夕方の街を歩く。

 会話は特にない。話題を振る事は出来るが、シャルティアさんは積極的に話したいような性格ではないだろう。


 それに、多くの男性が不躾な視線を送ってくるためか、かなり機嫌が悪い。

 隣に俺がいなければ声を掛けられ、その後にぶっ飛ばす未来が容易に思い描けた。次からも荷物持ちとして付いて行かなければ、町中の男連中が道端に倒れる事件に発展しかねない。


「次も俺を呼んで下さい。いつでも付いて行きますから」


「・・・・・・そうですね、お願いします」


 比較的近くのスーパーに入り、必要な食材を俺が持つ籠に素早く入れていく。

 歴戦のおばさんたちを軽くいなし、目的の食材を手にする姿はまさに圧巻の一言だ。


「夕飯の注文はありますか?」


「う~ん、鍋とかどうです? 皆で食べられますし、肌寒い季節には丁度良いかと」


「鍋ですか。分かりました、それではあちらの食材も買っておきましょう」


 正直シャルティアさんのご飯は全て美味しいからなんでもいいのだが、こういうのはしっかりと意見を言った方が助かるらしい。


 食材を揃え、レジで会計を済ませる。

 後は荷物を持って帰るだけ、それで終わりだと思っていた。


「よっ、久しぶりだな。シャルティア」


 店を出て少し、帰路の反対から歩いてきたサングラスを掛けた男が、気軽に手を上げてシャルティアさんの名前を呼んだ。

 一瞬反応に遅れた俺だが、隣のシャルティアさんの行動は早かった。

 即座に隠し持っていたナイフを袖から取り出し、男との距離を詰めてその喉元に刃を滑らせる。


「おいおいっ、こんな所でおっぱじめようとすんな! 場所変えようぜ!」


「ようやく姿を現しましたか、ユリウス・マキナー」


 何時の間に召喚したのか、男の右腕にはガントレットが出現しており、シャルティアさんの振るった刃を受け止めていた。


 ユリウス・マキナー、いつかの破壊神と共に俺を殺そうとした男だ。

 そして、元絶対者であり【運命】の二つ名を持つ最強格の一人でもある。


 白髪の男も近くにいるのかと周囲の気配を探るが、どうにも気配を掴み取る事が出来ない。


「坊主、今回は俺一人だ。あいつはいねえよ」


「たった一人で私の前に出てくるとは、いつから自殺志願者になったんです?」


「なってねえよ! っていうかいい加減力緩めろよ! 場所変えようって言ってるだろうがっ!」


 道行く人々がなんだなんだと遠巻きにこちらを見ている。

 さっさと逃げてくれればいいものの、野次馬根性というのは本当に厄介だ。


「おめおめと敵の罠にかかれと?」


「なわけねえだろ、俺はそういうのが嫌いなの知ってんだろ」


「・・・・・・」


 ユリウスさんを睥睨しながら、ナイフを袖にしまうシャルティアさん。


「ならば私に付いてきなさい。山の近くに人の来ない場所があったはずです」


 屋根伝いに疾走するシャルティアさんに続いてユリウスさんと俺が続く。


 いきなりの急展開に混乱する。

 なによりもユリウスさんの行動が理解できない。


 どうして奇襲をかけようとしなかったんだ? こちらの戦力は知っているだろうに、何故一人で? 次から次へと疑問が湧きあがる。


「ここでいいでしょう」


 辿り着いた場所は、確かに人が近づきそうにもない場所で、長く伸び切った草が鬱蒼と生い茂る山の麓だった。


「いいねえ、ここなら迷惑にはならんだろ」


 俺はシャルティアさんの隣に並び、十メートル程距離を離してユリウスさんが対峙する。


「ユリウス、これは最終勧告です・・・・・・こちら側に戻ってきなさい。貴方ならまだ戻ってこれるはずです。それだけの事をしてきたのですから、誰も文句はいいません」


 対峙してシャルティアさんから最初に出た言葉は、ユリウスさんを引き留める言葉だった。

 その言葉にユリウスさんは豆鉄砲を喰らったような表情をした後、口角を上げて笑みを浮かべる。


「悪いな。俺は戻らねえよ」


 迷いなく、そう即答する。


「戻ったところで、過去を繰り返すだけなんだよ。根本から弄らなければ意味がない。また、あいつの二の舞を作る」


 笑みを浮かべてはいるが、言葉の節々に憎悪が秘められているのを感じる。

 親友を失ったという事件を思い出しているのかもしれない。いや、思い出さずともその脳裏に焼き付いているのだろう。


「今日俺が出てきたのは、俺自身の覚悟を再確認するためだ。シャルティア、お前ならば俺を本気で殺しに来てくれるだろう。そして坊主、お前の全てを俺にぶつけろ。真に生き残るべき存在だと証明しろ。その上で――俺はお前を殺す」


 雰囲気が一変する。


(これがユリウスさんの覚悟か・・・・・・)


 本当に、やりにくい。

 なるほど、ユリウスさんは神殿の力を使ってなにか根本的なものを変えようとしているのだ。理不尽な犠牲者を出さない為に。親友の犠牲を無駄にしない為に。


「そうですか・・・・・・残念です」


 シャルティアさんの表情から感情が消える。

 ナイフを取り出し、殺気を纏い静かに息を吐く。


 俺も上着を脱ぎ、拳を握る。


 生き残る理由がある。

 たとえ、相手がどれだけ正しくとも、俺の死で涙を流す奴がいるなら死ぬ訳にはいかないのだ。


「位階上昇――起きろ、戦神(マルス)


「じゃあやろうか、運命に逆らってみな、後輩」


「胸を借ります、先輩」


VS因果律操作。多対一が有利となるのか否か(; ・`д・´)


後、新作『終焉都市の雑草』の投稿を開始しました。

興味がある方は下記バーから飛べます。暇があれば覗いてみて下さい(*´▽`*)

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終焉都市の雑草
連載開始です(*´▽`*)
神々の権能を操りし者2
― 新着の感想 ―
[一言] いいねえ、いいねえー 燃えてくるよ、あ....萌えてくるよぉ ユリウスになぁぁ
[一言] 更新お疲れ様です! とうとう始まりますね…… 隼人には頑張って欲しいですね!
感想一覧
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