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投稿2作目!魔法使いものに挑戦です♪
ブクマ・感想・評価していただけると跳び跳ねて喜びます(*≧∀≦*)
それでは、楽しんでいってくださいね(*´ω`*)♪♪
──さあ、何を望む?
遊び尽くせないほどの黄金の都?
色褪せることのない永遠の美貌?
誰もがかしずく不朽の名声?
意中の相手を射止める神秘の媚薬?
──おまえの願いを叶えよう。
甘美で芳醇な美酒にも似た囁きを、娘は瞬きひとつで無感動に受け入れた。
この世の終わりのようにしんしんと降る雪の中を歩いてきた裸足は既に感覚がなく、泥と土と、娘自身の血で汚れている。
羽織ってきた外套は濡れそぼり、もはや体温を奪っていくだけだった。
歯の根の合わないのを食いしばって一文字に結んだ唇に血の気はない。
──本当に何でも叶えてくれるの?
音を成す前から白い吐息となって流れていく娘の言葉を、男は正確に聞き取って嗤った。
そうして、娘は願った。
彼女に残された、たったひとつの願いを。
「────……」
雪の一片が音を吸い込んで静かに溶けていった。