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五人少女シリーズ

滅んだ世界でかっこいいドクロを布教しようとしたら人が死んでもう一度世界が滅んだ悲しい話【五人少女シリーズ】

作者: KP-おおふじさん

一話完結の脳死で読めると思われる「五人少女シリーズ」です。

キャラが気になるという方はシリーズ一覧で少しだけ詳しく読める記事がありますが、端的に


留音 最強の格闘タイプ美少女(今回は常識枠)

西香 超守銭奴のあくどい系美少女(今回は割といい扱い)

衣玖 次元超越レベルの天才美少女(ロックとかメタルとか大好き)

真凛 幼馴染系家庭的美少女(世界の破壊と創造を司る)

あの子 至極の不可侵存在の大天使美少女(描写なし)


という感じになっています。


 深淵の果て、強い光によって出来た影の世界。死とも表現できぬ世界の片隅に、彼女たちの姿はあった。


「う、うぅ……あたしは一体……」


 フラフラとおぼつかない体でゆっくりと最初に立ち上がったのは最強の格闘能力を持つ美少女、留音だ。


「そうか、あたしは真凛にやられて……ここは……?」


 事の発端は惑星破壊に定評のある真凛だ。


 彼女がいつものように掃除を終わらせルンルン気分でいる時、留音が卵かけご飯を作るために卵を割ろうとした所を盛大に失敗し、床に飛んでしまった白身を拭き取っているのに気づかなかった西香が転倒、そのまま転がった拍子に繰り出した踵落としで床下を破壊してしまう。


 その時地下室で研究をしていた衣玖は突然天井がぶち抜かれたことに驚いて、開発中だったワープポータル設置ガンを月に向けて撃ってしまった。


 みんなの家と月を結ぶワープトンネルが一時的に形成されると、重力の違いによって家の家具などが全て月に向かって吸い出されてしまったことで室内は数秒前に掃除されていたとは思えないほど荒し尽くされ、結局真凛はブチギレの惑星大爆発で落ちをつけたのだった。


 そして留音らはその爆発前後の記憶を保ちながらここにいた。


 爆発の光で目がまだやられているのだろう、暗さしか認識できずにいるが、視界のない空間では自然と聴力が強くなるものだ。近くでうめき声が聞こえる。留音には聞き覚えのある声だった。


「う、現ナマ……」


「その声、西香か?」


 独特のワードで目覚めようとする声の方に駆け寄ると白く華奢な体が倒れているのが見えた。視界も慣れてきて抱き起こすと、それはやはり守銭奴系美少女の西香であった。


「あら、あなたは留音さん……ここは一体……」


 多量の光を浴びた西香も留音と同様にまだ視界がチラついているようだ。頭を振って目を擦り、状況の把握に努める。


「西香、目を覚ましたか。場所はわからんが、真凛によって破滅させられた後に出来た世界なんだろう……もしかすると死という概念に近い場所なのかもしれないな。さぁ、起きられるか?」


 ここに自然の息吹はほとんど感じられない。空は高く暗く、ここが屋外だとは感じられるのだが、足場は土でも泥でもなく、まるでフローリングのようなすべすべつるつるとしたような不思議なものだったが、足元はあまりにも暗くて普通に立っていると自分の靴すらほとんど見えない。自分の足が見えないなんて、これでは本当にあの世に思えてしまう。


 紳士のように手を伸ばした留音の力で西香は引っ張られるように立ち上がるのだが、まだ体の力バランスがうまく取れないのか留音にもたれかかってしまう。


「きゃっ……」


「おっと、大丈夫か、西香……安心しろ、あたしがついてる」


 留音はその豊満な胸で優しく包み込むように西香を優しく抱く。その暖かみはまるで冷たい暗闇にあるただ一つの篝火のよう……西香は今までにないほどの安心感に包まれ、聖母を見るように顔を上げる。もしこの世界に誰もいなくても、彼女と二人だったら。頭の奥にそんな思考を過ぎらせながら見上げな彼女の名を呼んだ。


「留音さん……」


 お互い数秒見つめ合った二人はハッと顔を赤らめ、すぐに顔を逸らした。いけない、何を考えているのだろう……二人は同じような間を取ってから西香の方が話題を変える方針を取る。


「あ、あのっ、他の方々は一緒じゃありませんのっ?」


「ん、あぁ。衣玖も真凛もいないな。あたしが目を覚ましたらあそこにいるあの子と西香しかいなかった」


 留音の指差した先で安心した表情でやんわり手を振るあの子が立っていた。西香は二人きりでなかったことを知り、照れながら留音と距離を離してから、取り繕うように辺りを見回しながら言った。


「そ、そうでしたの……とはいえどこを探せばいいのでしょう。あら?見てください、あちらに禍々しく紫に燃えるドクロ型の炎が見えますわ」


 西香の指差した方向、確かに光が見える。近づきがたい怪しい光でも、その源は火だ。人類の英知の始まり。それは何も持たない人間が自然と目指してしまう魔力をもっている。蠱惑的に揺れる妖しい火の方へ三人は自然と歩き始めていた。


 そのドクロの火の元に辿り着いた三人。魔城とも言える建造物の正面をドクロに型取り轟々と燃え盛っている火を横切り、門を開けて城内へと侵入した。もしもこの世界がゲームであれば不穏なBGMにのせ、最後の戦いを覚悟して足を踏み入れるべき威圧感を放つ城。怪しい気配に戦闘の予感がするが、戦力といえば最強流格闘術、必殺の最強奥義である『超最強波』を会得した留音くらいで、西香もそこの子も丸腰で戦力的にはほぼあてにならないだろう。一体何が出てくるにせよ、最強の超最強波だけで戦えるのだろうか。留音の不安の火は城外にあったドクロの火とは対象的に弱々しく揺れる。


「留音さん、わたくし怖いですわ……」


 キュッと抱きつく西香に対して留音は彼女の頭をポンと叩いて余裕の表情を見せる。だが留音とて、この城に入ったら生きて出られるかはわからない……でも絶対に生きて戻るんだ、その決意が自然とこんな言葉を紡いだ。


「大丈夫だ。お前たちは絶対に守ってやる。約束だ。それで、もしも無事に帰ることが出来たらあたしと結婚しよう」


「は、はい……っ!」


 交わされるのは真実の愛。理由は特にわからないが。


 そして覚悟を決め城へ踏み入る。城内部に家具のようなモノは一切置かれず、趣味の悪いドクロの装飾のみが過度に撒き散らされた異様な城内を進み、背の高い留音の更に倍はあろうかという高さの扉を開けると、広い王座の間に出た。そこには天井がくり抜かれ、外から見えたドクロ型の吹き抜けと、黒混じりの紫の炎を使った照明、それとドクロの口に飲まれるようなデザインで小高くなった場所に斜め後ろ向きの装飾華美な椅子が一つあるだけだ。その椅子から放たれる威厳はまさしくこの世の王の所有物を思わせる。


 その玉座に一つの影。回転式らしい玉座は留音達から顔は見えない程度に斜めを向いていて、そこに誰が座っているかまではわからなかった。そんな玉座の間を進みながら留音が声を上げる。


「あたしたちはついに来たぞ……この暗黒世界を作りし髑髏帝国の魔王!正体を見せろ!」


 この世界は魔王が作った感じだったらしい。多分ノリで発言した留音の吠え立つ言葉に玉座はくるりと回転し、そこに座っていたのは……!


 あたしたちはとうとうここまで来た。探求の旅の末辿り着いた魔王城!え!?そんな!?魔王の正体はお前だったのか!?次回!『衣玖の正体に真凛の涙』来週もバッチリきっちり、バビュンとキメるぜ!




 前回までのあらすじ。アイスの自販機を見ると献血に行きたくなる謎の呪いによって一日に何度も献血をして貧血に陥っていたあたし、留音は、ひょんな事から魔王を倒すはめになってしまった。でもその過程であたしの大嫌いなレバーを貪り食う西香という少女に出会い鉄分補給の重要さと本当の愛を知った。もう何も怖くない、ヤツを倒して鉄分を補給するんだ!


「あたしたちはついに来たぞ!髑髏帝国の魔王!正体を見せろ!」(2回目だから言い方が少し違う)


「来たか」


 留音に呼応し、王座から立ち上がる小さな影。羽織るマントとフードの奥から聞こえる声は実に聞きなれた声であった。でも何故か、自分たちの知っている声にあったはずの温もりが感じられない。


 留音も西香も薄々感づいている。でも認めたくない、心の奥が導き出した答えを否定しているのだ。


「う、嘘だ……お前のわけがない……」


「でも、留音さん……あの方のお声は、確かに……」


 フード姿の人物はやましい気持ちを表すかのように視線を逸らしている。その行動に留音は確信を得てしまった。そうだ、あいつは……。


「……自分のお尻を叩いてオ↑クター↓って言いながら放屁音をブッとかますギャグを得意とするブラックアイランド黒島だな……?」


「そうですわ。たしかそのネタを生放送で試みて失敗し……放屁以上の何かがアレしてそのまま社会から消えたはずのお笑い芸人……どうしてこんなところに!?」


 留音と西香は扱い辛そうに一歩引いて「あれは笑えなかったよな〜」と臭そうに顔をしかめている。


「誰よ!全然違うわよ!わたしよっ!衣玖!!」


 マントを剥ぎ取って、その時フードが頭に引っかかってちょっと釣られる感じになりながらも手をバタバタさせて主張している。留音たちは一安心と表情を崩していた。


「なぁんだよ衣玖だったのか〜、全然気づかなかったよぉ、まったくもう、早く言えよな。ブラクラ黒島出てきたらさすがのあたしもなんて声かけたらいいのかわからなかったよ。でお前こんなところで何やってんだ?真凛は見てないの?もうそろそろ帰ろうぜ?」


 いつものように接する留音の言葉に、衣玖は不敵にクス、と小さく笑う。


「帰る?ふふ、違うわルー。ここが新しい家よ。この最高のゴスにキメたメタルでファンクな城が、私たちの新しい家っ、どう?この邪悪な色の炎……くすくす、カッコいいでしょう?それとも可愛いかしら……!」


 普段見せることのない邪悪な笑み。いつもの衣玖じゃない……誰が見ても一目瞭然だ。おまけに目元まできっちり紫の流れ星をメイクして髪色はアッシュにしてツインテール、親指と人差指と小指を三本立てて裏ピースを見せながらノリノリで言う。


「なんですって……?こんな何もないダッサい(強調)ドクロの城に住めというんですの!?衣玖さん!あなた正気?!」


「ふ、そうよ……!もちろん正気!ここは私のロック好きの魂が立てた城!……でも一つ言っておく。デザインをいきなり貶めたりするのはアレよ。もしかしたら好きなものをその、表現したくて頑張った結果かもしれないし、まぁここはそんなに本気で作ったわけじゃないけど、でもそういうのをダッサいとか言うのはちょっとやっぱりキツすぎると思うわ」


 衣玖は三本指の裏ピースをゆっくり引っ込めながらそう言った。最後の方の言葉は小さくて二人には聞こえていない。


「おい衣玖!一体何故だ!何故あたし達がこんなクッソ(強調)みたいな気ン持ち悪ぃ(強調)ドクロのついた城で暮らさなきゃならない!?」


 留音は衣玖の心理が見えてこないで大声でそう聞いた。余計なものが一切ないこの広い城では、留音のような快活な声はよく響き渡る。


「グス。わかったわ、ドクロは小さくする。みんなに見えないくらいに。……この城と空間は全てはあなたたちのためにあるのよ。ものの溢れる世界はダメ。汚すと真凛がすぐに破壊してしまう。その度に死ぬ思いをする必要をなくすため、IQ3億万69.85の私が作ったのがこの世界。魔王として君臨する事で全てを調律し、私たち五人で仲良く暮らせる世界よ」


 そう発した声にこもる熱は嘘じゃない。衣玖は本気でそう考えている。ただみんなで暮らすというだけのために、自ら闇に堕ちたのだ。これこそ真実の愛。留音は帰ったら結婚しようと思った。


「そうだったのか……すまなかった衣玖。あの時あたしが調子に乗って『醤油味に調整した超最強波をかすめて卵割ってみる!』なんて良い出さなければ……、そんなに思いつめちまったんだな……それでこんな凶悪な趣味に目覚めて……」


 留音はゆっくりと衣玖に近づき、感謝と謝罪を表す、長く優しい抱擁を分かち合った。尊大に見えた衣玖も、抱き寄せてみればこんなに小さかったのだと気づく。その小さな双肩に一体どれだけの重荷を背負わせていたのだろうか。


「でもな衣玖、辛い事があっても、あたしたちは前へ進まなきゃならない。辛い時に殻に閉じこもって、何かを見つめ直すのも大切な事だろう。だがな、いつでも外へ出る事ができる扉がなきゃ、その世界は終わってるのと同じなんだ。だから帰ろう、あたしたちの世界へ」


 衣玖の肩を抱きながら、留音は爽やかにそう言って天井のドクロの目になっている穴から薄暗い空を見上げて言った。


「(フッ……残念ながらわたくしたちの済んでいた星は消し炭の如く消滅してますわ、というのは野暮ですわね……)」


「……ルー……私は……」


 そうして手を取り合う事でこの世界に平穏が訪れるかと思われた。だがその時ゆっくりと背後の扉が開かれる。そこには這いずりながら苦しそうに呻く真凛の姿があった。留音が駆け寄り、崩れ落ちる真凛を抱きかかえた。


「どうした真凛!!こんなに苦しそうに……一体なにがあったんだ!」


 留音のその言葉は聞こえているのかいないのか。真凛は閉じていた目をゆっくりと少しだけ開いて留音の存在を確認すると、肺から空気がそのまま抜けてしまうようなか細い声で言う。


「ゲッホ……う……留音、さん……みんな……よかった……」


 真凛はフラフラと力なく手を留音に伸ばし、留音はその手をしっかりと握る。


「外の世界が……暗すぎて……地面も見えなくて……あんなにタイルっぽい地面なのにっ……」


「あぁ!それで……?」


 留音は怯えるように聞いた。正体不明の最強生物であるはずの真凛の手がこんなに震えている事なんてこれまで無かったのだ。まるで迫りくる死を目前に、体が最後の生命活動になんとか力を振り絞っているかのように弱々しく、いつもの真凛とは全く違う。手を握る留音以外の面々も悲痛な面持ちを浮かべて見守る。


「だからそこが、汚れているのかもわからない……足跡がついているか、ゴミが落ちているのか、それすらもわからないんです……ゲホゲホ、そう思ったら不安で怖くて……でも彷徨っているうちに、このお城をやっと見つけて……ゴホッ」


 吐血までしながら、懸命に真凛は何かを伝えようとしている。


「それはつまり人を惹きつけるデザイン性だったという事よね……?」


 衣玖の質問に真凛は死にかけとは思えないほどきっちりと首を何度も横に振り、続けた。


「ここだったら……このマジで(強調)趣味の悪い(強調)ドクロのついた城なら……絶対入りたくありませんでしたが……でも、ここならわたしの掃除できる場所がきっとあるって思ったのに……でも、なにも無かった……わたしの掃除できそうな場所がどこにもなかったんです……作者のセンスを疑うドクロ装飾があるだけ……うっ……掃除用具のない手が疼く……ないはずのゴミが見えて……うぅ……でもっ、掃けないんですぅ……っ」


 息も絶え絶えの真凛から一筋の涙が溢れている。衣玖もそれにつられてなのか涙を流していた。


「そうかっ、真凛、お前掃除がしたすぎて禁断症状が出て……ッ、くそっ、こんなにゴミみたいな(強調)建物があるのに、中にはホコリすら全く無いなんてっ……これじゃ真凛にとっては拷問と同じじゃねぇか!!」


 どうにかならないのか衣玖!そこまでは言わなかったが、まるで言いたげに衣玖の目を見つめる留音。衣玖は何故か不貞腐れるようにそっぽを向いていた。


「っく、あたし達でなんとかしないと……っ。そうだっ、真凛!しっかりしろ!ほらみろ、ペッ!ほら、唾を吐いたぞ!こんなドクロの城でも掃除できるんだぞ!かーっペッ!ペッ!」


「ダメですわ留音さん、このような趣味の悪すぎる建造物の中では吐かれた唾などあまりにも自然で馴染みすぎてしまいます。あなたの汚い唾だって霞んでしまって……こんな時存在が汚物となったブラクラ黒島がいれば……」


 留音は体の力の抜けた真凛を抱き、必死に元気を取り戻そうと揺さぶっている。


「ありがとう留音さん、唾を吐こうっていうあなたの気持ちは、すごく嬉しいですよぉ……それと……流石に黒島は嫌です……ゲホ!う、わたし、もうだめみたいです……えへへ……最期にみんなに会えて……幸せ、で……し……」


 コテンと首から支えをなくしたように項垂れた真凛の頬を伝う一粒の涙が走る。それが落ちるのと連動して真凛の腕からも力が完全に抜け、留音が支えていたその体がズシンと重みを増した。体から完全に力が抜けたのだ。


「待って真凛さん!聞いてください!この誰も住みたくない最悪な(強調)ドクロのついた城こそゴミ(強調)ですわ!あなたは自分で辿り着いたんですの!ゴミの場所へ(強調)!だから諦めては!」


 西香は必死になって真凛の手を握り、懸命に呼びかける。普段は涙を流すことのない西香が大粒の涙を流しながら……だが留音は西香を止める。西香の叫びは、もう聞こえてはいないのだ。


「西香……西香!……もう真凛は……」


 留音は丁寧に真凛を地に寝かせ、脈の鼓動が少し前に止まってしまった事を伝える。がっくりと膝をついてしまう西香の肩を抱き、優しく撫でた。


「でも西香、きっとお前の言葉、届いてたよ……見な、こんな死に場所としては絶対に選びたくない野暮で(強調)センスの欠片もない(強調)見てるだけでもいるだけでも辛い(強調)って場所でも、こんなに安らかな顔をしている……」


 微笑むようにも見える真凛の両手を胸の上に合わせてあげると、それぞれが静寂に祈る。衣玖だけは「びええええん」と大声で泣いているが無理もない、いくら大人びていたって、少女は少女なのだから。仲間の死に涙しているのだ。多分絶対、自分で頑張って作ったさいこうにいかすドクロのおしろがけちょんけちょんに貶されているからではないはずだ。


「……でもこれはこれで、もう世界が破壊されることはないよな?」


「たしかにそうですわね」


 祈りが終わるとケロっと軽薄な声音でそんな事を言い出す留音と西香。


「そういうのもたまにはいいかもなぁ、爆発オチの心配無く過ごせそうだし」


「そうですわね。わたくしはゆっくり過ごせるならこんなけったいな場所じゃなくてもっとゴージャスなビーチやホテルが良いですけど」


「はは、言えてら。ここは……なぁ?」


 留音の肩をすくめてやれやれと呆れる仕草にあはははははと談笑する留音と西香。それを黙って聞いていた衣玖が肩を震わせながらいよいよ反論した。


「ちょっと!?あなたたち酷すぎない!?」


 いくら真凛が世界を破壊しちゃう病に冒されていると言っても友達は友達だったはずだ。なのにもう立ち直って逆にこれでよかった、と言うような口ぶりに、衣玖は怒っている……ようで全然違う。「自分が綺麗な世界を作りすぎたせいで真凛が死んだ」とかそんなのも全く思ってない。


「なんで!?このドクロそんなにだめ!?最高にロックでクールじゃない!もう怒った!!こんな世界!!ぶっ壊してやる〜!だって!!私!魔王だから!!!世界終了スイッチぽち!!」


 どかーん!大爆発〜!魔王も自爆でめでたしめでたし。



こちらも古い作品で、少し手を加えて続き物から単品にしました。

この後は本当に西香と留音が結婚しようとする話が続いていたのですが、どこかに行ってしまいました。

発掘できたら出来るだけ単品風にして投稿したいと思います。


読んでいただいてありがとうございました。よろしかったら評価や感想などいただけるとめちゃくちゃ励みになります。


また、この他にもシリーズ内には歩きスマホ塾の話、最終決戦風な恋愛アドベンチャーゲーム、本格派推理モノ(キーワードは頭髪)など、色々ありますので、よろしければチェックしてみてください。

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