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クールなメガネ上司の裏表  作者: キョウ
34/48

34: 私に言ってくれなかった。

 何に涙してるのか、最初自分でもよくわかってなかった。


 理人がお見合いすることに?

 ―――教授から言われて、仕方なく受けたって言ってた。断るつもりだ、とも。

 元カノがいたことに?

 ―――いい大人なんだから元カノがいたって当たり前じゃん。私と出会う前のことなんてどうにもならない。


 違う。

 何より嫌だったのは、それを理人からじゃなく相楽さんから聞いたことだ。


 私に言ってくれなかった……。


 *****


「なっちゃーん、大丈夫?」

 バスルームの外から道香さんの声がした。

「あ、はい、すいません、占領しちゃって」

「いいの、いいの、ちょっとはスッキリした?」

「はい。もう出ますね」

「ゆっくりでもいいよ~」

 そんなやりとりをしつつ、まだジャグジーに浸かってる。

 数時間前は、理人の腕の中ですぅっと冷えてたのに、今はとりあえず物理的にはあったかい。


 *****


 衝動的に事務所を飛び出した所に、万由子が追いかけてきてくれた。しかもちゃんと私のカバンを持って。

「さすがに聞くよ。どうしたの!?」

 そりゃそうだよね。突然、来客があった応接室から泣きながら出てきて、そのまま出て行こうとしたんだから…。

「理人が……お見合いするって…。元カノと……」

「はあっ!?」

 すっとんきょうな声を上げたのは万由子ではなかった。

 二人でぎょっとして振り替えれば、そこには道香さんがいた。

「あっ……、ゴメンね。どうなったか気になって来ちゃった……。んだけど、今のはどういうこと!?」


 *****


「いいんですか?私まで……」

 お風呂から上がると、広いリビングルームのソファーで、すっかりくつろいだ万由子がシャンパンとフルーツをつまんでいた。

 その向こうには天井まである大きな窓から見える、見事な夜景。

「いいのよ!万由ちゃんも、なっちゃんのことが心配でわざわざ追いかけてきたんでしょう?今日は女子会よ!」

「道香さん!」

 うわあ、もう仲良くなってる…。

 確かに二人は気が合いそう。お互いサッパリした性格で快活だ。万由子のが姉御肌かも。そのうち道香さんのギャップに気付き、悶えるだろうな…。

「それにしても、突然こんなスイートなんてよく取れましたね」

 万由子が言うと、道香さんはフフフと笑った。

「ここね、私の定宿なの。気分転換したいときに利用するの。あ、もちろんいつもスイートじゃないわよ!今日は三人だし、無理言って入れてもらっちゃったあ」

 少女のように笑う道香さんは、とってもかわいい。そのかわいい顔がくるりとこっちを向いた。

「さ、何があったのか話してもらおうかな」

 道端で偶然会ってから、道香さんは何も聞かずにこのホテルに直行して来たのだ。

 万由子にも相楽さんのことは詳しく言ってなかったので、二人に今までの全てをぶちまけた。


 全てを話して、はあ、と一息ついた。

 こうして落ち着いて過去のことを話せるようになったのも、最初に理人に話せたからだ。理人がこれでもかっていうくらい優しくしてくれたから……

「あー、だから今朝から神沢さんと如月さんはピリピリしてたのか」

 万由子が納得顔でカナッペを頬張る。

 道香さんはこのスイートをレディースプランで取ってくれて、そのプランには軽く飲めるようにドリンクとフードもセットになっていた。もう、このままここで食事すませちゃえ、と更にルームサービスで追加して、目の前のテーブルにはパーティーのように色々な料理が乗っている。

「特に如月さん。いつも朝からまとわりついてた神崎さんも近づけなかったみたいで、遠巻きにしてたよ」

「本当に?私、自分のことでいっぱいいっぱいで気づかなかった…」

 そこまで気にしてくれてたのかと思うと素直に嬉しい。


「道香さんは、その如月さんの元カノさん、知ってるんですよね?」

 私が聞きづらいことを万由子はサラリと言った。

「知ってる……。っていうか、でもアレ、付き合ってた……のかな?」

 万由子と二人で頭の上に疑問符が乗った。

「えーと、高科教授の娘さんの莉乃ちゃん、っていう子なんだけど、2つ下の後輩だったのね。学部も違うし、理人はサークルとかも入ってなかったからまるで接点がなかったんだけど、構内のどこかで理人を見初めたらしくて、ある日を境にメチャくっついてきたの」

「くっついてきた?」

「そう。くっついてきた。こう言ったらなんだけど、翔と理人は大学でも……結構、かなり……モテる二人だったのよ。だからアプローチしてくる女子が沢山いて、二人でいるとすごかったのね」

 なんとなく、想像できた。タイプは全く違うけど、二人とも人を惹き付ける。

「でも、そこに私と要が加わると……、なぜか皆近寄らなくなるのよ」

 それも想像できるー。こないだ三人ですら迫力あったもの。四人揃うともう完璧すぎて、他の存在が入る隙がない雰囲気。

「でも、莉乃ちゃんはそれでもついてきたの」

「道香さん、待って。さっきからついてきただのくっついてきただの、その莉乃さん?って子は話しかけたりはしてこなかったんですか?」

 万由子が聞いた。

「最初はね。女子にかこまれてようが、四人でいようが、理人の後をずっとついてきたの。もちろん理人はまるで相手にしてなかったんだけど……」

 道香さんによると、大学の頃の理人は女子にモテてはいたけど、一切興味を示さなかったらしい。なので、まとわりついていた女子達もだんだん減っていった…。で、最終的に最後まで付いてきたのが莉乃さんだった。

「でもね、付き合ってたとは言い難いと思うの…。莉乃ちゃんは理人に話しかけたり、一緒にランチしたりしてたけど……、理人はくっついてきたのを相手してるだけ、みたいな。私から見て理人は莉乃ちゃんに好意があったかどうか……」

 でも、二人でいることが増えた結果、周りからは公認カップルになっていたらしい。


「それを聞くと、奈都わかってる?やっぱり如月さんにとって奈都は別格なんだよ」

 万由子が突然言った。


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