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第4話 不安と期待の球技大会

 高校生活は順調だ。


 俺の通うこのマンモス校は県内でも有名な進学校。

 でも進学校と言われるほど授業内容は難しくない。

 これなら付いていける。


 そしてそんな高校生活に慣れた頃にイベントは起こるのだ。

『球技大会』と言う名のイベントが!


 クラスの皆の名前を覚えた頃に行われるこのイベントは、クラス内のカーストを決定付けるイベントでもある。


 今の俺はイケメン王子清隆とつるむモブの位置付けだ。

 他に親しい人はいない。

 ちなみに清隆はクラス内で浮いている。

 あまりにも有名な清隆は芸能人のように気安く声を掛けられない存在なのだ。


『控えろ!頭が高い!庶民が気安くするな!』と言う存在だな。


 その為に俺も他のクラスメートから微妙に距離を取られている。

 そして清隆もそんな状況を受け入れている。

 皆には爽やかイケメンを演じているが、それは結構キツイらしい。


 すみません順調ではなかったです。


 現在のカースト上位は俺の隣の一条とその取り巻き達だ。

 彼女は名前の通り可憐な女の子だった。

 勉強も出来てスポーツも出来る。

 オマケに美少女と来れば男子達の人気はうなぎ登り。

 すでに何人かが告白して撃沈されている。

 今度の球技大会での活躍次第で彼女に告白する男子はさらに増えるだろう。


 果たして彼女を射止める男子は現れるのだろうか?


 俺?俺は論外だよ。


 一条は俺の事を嫌っているみたいだからな。

 彼女とは高校初日のあの出来事以来、会話していない。

 おはようの挨拶をしても無視されるので今ではしていない。

 他の子達が挨拶をしたら優しい声で挨拶を返すのにだ。

 なんで俺だけ違うんだよ!


 きっとあのストラップが尾を引いている。


 あの日以降、俺は誤解を解こうと綾杉さんに話をしようとするがそれが出来ないでいた。

 一条が邪魔をするのだ。

 俺が話し掛けようとすると先んじて綾杉さんに声を掛けるのだ。

 爽やかイケメンを演じる清隆も巻き込むもそれを華麗に阻止する一条。

 こいつ、出来るぞ!


 後に知ったのだが綾杉さんと一条は同じ中学出身で知り合いだったらしい。


 自己紹介では気付かなかった。


 ちょっと舞い上がっていたので頭に入っていなかったのだ。

 名前だけしか頭に残っていなかった。

 それに声も小さかったしな。


 俺の中では一条よりも綾杉優子さんの存在が大きい。


 あのストラップを持っていたのが優子さんなら是非、お友達になりたい!

 きっと彼女ならあのストラップを通して色々と話が出来るはずだ。

 それにあの笑顔をもう一度見てみたいのだ。

 早く誤解を解きたい。

 このままズルズル行くのは良くない。


 だからまずはちょっとした切っ掛けが欲しい!


 そこでこの球技大会が役に立つ。


 この球技大会で活躍してちょっと雰囲気が良くなった瞬間を利用して話し掛けるのだ。

 自慢じゃないが俺は清隆と一緒に中学に上がる前はサッカークラブに通っていたのだ。

 清隆とはツートップを組んでいた。

 そして清隆の才能を知って中学になってからはサッカーは辞めた。

 けど、今でもたまにフットサルはやっている。

 これでも運動神経には少し自信があるのだ。

 清隆ほどではないけど。


 大丈夫、大丈夫だ!

 俺はやれば出来る子だ!

 信じるんだ自分を!


 俺の大好きなアニメの主人公も言っていたじゃないか。


『やるんだ!誰が邪魔しようとも必ずやり遂げるんだ!!』と。


 そうだ。いくら一条が邪魔しようとも必ずやり遂げるんだ!!


 そして球技大会の日を迎えた。


 俺が出るのは男女混合バレーだ。

 これに綾杉さんが出るからだ。

 次いでに清隆も一緒だ。


 清隆がこれに出ると分かった瞬間の女子の動きは凄かった。

 我も我もと立候補する女子達。

 そんなカオスなクラスの現状を止めたのは一条だった。


 だから今、1ー3の混合バレーチームのメンバーに俺と清隆、綾杉さんと一条がいる。

 他はモブだ。

 気にするな。


「足を引っ張らないでよね。分かった」


 俺に近づいて小声で脅す一条。

 初日以来の会話がこれだ。

 好意など微塵もない。


 しかし逆らえない。


 俺が肩を落としていると綾杉さんが話しかけてくれた。


「あ、あの。一緒に頑張ろうね」


 天使だ!ここに天使が居るよ!

 いや、女神だ!

 綾杉さんは俺の女神だよ!


 こうして不安と期待の詰まった球技大会が始まった。


「狙うなら優勝な。正和」


 あ、清隆が居たの忘れてた。


お読み頂きありがとうございます。


誤字、脱字、感想等有りましたらよろしくお願いいたします。


応援よろしくお願いします。

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