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第2話 自己紹介

 あーやっぱりこうなるのか?


 1ー3の教室に入ると直ぐに気づいた。

 さっきの女の子達がいた。

 取り巻きの女の子達に囲まれた美少女が俺を見てる。

 しかも俺をスゲー怖い顔で睨んでいる。


 俺、話しかけてもいないのに敵視されてるの?

 なんでよ?

 俺何もしてないじゃん?


「おい、早く入れよ!」


「お、押すなよ。バカ!」


 清隆に押し出されてしまった。

 とっとっと足がもつれそうになったが、とっさに机に手をかけて何とか踏ん張る。

 これでコケたらいい笑い者だ。


 そんな高校生活のスタートなんて嫌だ!


 そして顔を上げるとその目の前にさっき笑ってた女の子が!


 あ、また笑ってる。


「あ、その、ごめんなさい」


 うっ、声が可愛い!!

 なんて可愛いらしい声なんだ!

 ここに天使が居ました。

 天使がここに居ますよ皆さん!


「ほら早く席につけよ。正和」


「お、お前なあ」


 清隆に促されて俺は自分の席に着く。

 席は名前順だ。

 俺は大島だから前の席。

 清隆は山口だから奥の席だ。


 ほっ、やっと離れたぜ。


 そして隣は何とさっき俺を睨んでいた美少女だった!


「何見てるの?」


「あ、すいません」


 冷たい。

 メチャクチャ冷たい声です。

 絶対零度って言葉が有りますが、正にあんな感じの声ですよ。

 壁を感じます。

 物凄い高い壁です。


 美少女に声をかけて貰えたのに終わった感じがします。


 彼女とは二度と話をすることは無いと思う。


 そして彼女の前の席は俺を笑ってた女の子ですよ!


 こっちは俺を見て顔を赤くしてる。

 これは好感度グングン上昇中です!

 こっち子の攻略ルートに入ってるじゃないの。


 絶対そうだよ!


 出来ればお近づきになりたい。

 いや、なるべきだ!

 しかしそれは隣の美少女がシャットアウトしてしまった。


 話しかけないでオーラを出しまくっています。


 怖いです。

 めっちゃ怖いです。

 なんでこんなに不機嫌なのよ?


 その後担任先生がやって来て自己紹介する事になった。


 名前と出身中学、それに簡単な自己PR。

 俺は無難にこなした。

 自己PR?

 趣味は読書って話ました。

 無難だよね。


 決してアニメ漫画好きなんて言わないよ。


 俺みたいなモブがそんな事言ったらこのクラスで最下層カーストで過ごさないと行けない。

 そんなのは御免だよ。

 それに俺には頼りになる味方がいる!


「山口 清隆です。〇〇中学出身で、サッカーやってました。ここでもサッカーやるつもりです。みんなよろしく」


 こんな短い自己紹介だけど周りの反応は凄い。


「あいつがそうかよ?」


「全中出てたんだろ。凄いよな」


「ユースじゃなくてなんでこの高校でやるんだ?地元のJチームにスカウトされたって話聞いたけどな?」


「嘘、本当にあの清隆君!凄ーい!」


「やっぱりカッコいいよね!」


「なんか他の男子がカスに見えるよね。私、マネージャーやろうかなあ」


 ふっ、ミーハーどもめ!

 それにしてもカスは無いだろう。

 それって俺の事かよと思ってしまった。


 幼なじみの清隆はサッカーで全中に出て得点王になったイケメンサッカー王子だ。


 地元の新聞にデカデカと載っていた。

 将来はプロになって地元Jチームでの活躍を期待されている。

 本当はJクラブチームに入るはずだったのに、それを蹴ってこのマンモス校にやって来たのだ。


 なんで来たんだろうなこいつ?


 こいつと幼なじみと言うだけで俺は勝ち組だ!

 多分だけどな?


 女子の自己紹介では男子の視線を浴びる隣の女の子が一人。


「一条 可憐です。出身は〇〇中学です。以上です」


 それだけかよ!


 それでも男子は騒いでいる。


「スッゲー美少女!」


「超ラッキーじゃん!良かったこのクラスで!」


「俺、コクっちゃおうかなぁ~」


 ああ、うん。

 美少女だよね。

 コクっても秒殺か、目で殺されると思うよ。


 そしてひっそりとだけど自己紹介した女の子が一人。

 誰も注目してないけど、俺は違う!


 名前は『綾杉 優子』


 優子ちゃんか。

 いやいや綾杉さんだよな。

 名前呼びなんて早すぎる。


 でもいい名前だよな。



 入学式が終わり、ホームルームも終わって後は帰るだけとなった。


「おし、帰るか正和」


「部活は良いのか、清隆?」


「明日からだよ。それよりどっか寄って行こうぜ。あ、お前んちでゲームやろう。ゲーム」


 俺達が仲良く話しているのを遠巻きに見ているクラスメート。

 清隆に話しかけたいのに話かけられない感じだ。

 清隆は有名人だからな。

 それにちょっと壁を作ってもいるしな。


 有名に成りすぎて中学ではちょっとした事件も有ったからな。


 多分このクラスの連中もそれを知ってるのかも知れない。


 空気の読める俺は清隆と一緒に帰る事にした。


 その途中。


「あ、プリント忘れた!」


 それは帰る途中で明日の予定を確認していた時だった。

 清隆に言われて明日の予定が書かれていたプリントをカバンから出そうとした時だった。


「何やってんだよ。早く取って来いよ。玄関で待ってるからな」


「ああ、分かった。後でな」


「おう、後で」


 清隆と別れた俺は急いで教室に戻った。

 教室には誰も居なかった。

 ポツンと一人だけの教室は寂しいもんだ。


 おっとプリント、プリント。


「よし、有った。ん?」


 プリントを見つけた俺は床に何か落ちているのを見つけた。


「こ、これは!」


 有名アニメのストラップじゃないか!!

 しかも限定品!?

 俺が欲しくて欲しくて堪らなかった物。


 はっ!なんでここに落ちてるんだ?


 しかも俺の席の近くで?


 俺はストラップを手に取って立ち上がった。

 そして教室の扉が開いて誰かが入って来た。

 そして俺と目が合った。


「あっ」「あっ」


 そこに居たのは一条可憐だった。


お読み頂きありがとうございます。


誤字、脱字、感想等有りましたらよろしくお願いいたします。


応援よろしくお願いします。

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