集落よりII
「と、言うわけで…」
僕は今、あの蜥蜴人間の前に居る、
正直嫌だ…でも何もしないのはもっと嫌だ、
「なんの取り柄もスキルもないお前に何が出来る」
「…確かに、なんの取り柄もないです…でもっ」
「だからこそ一般人として諜報が出来るぜ、リザドのダンナ?」
「…堕天使か」
「名前で呼んでくれてもいいんだぜ?」
そう、この話を打ち上げた時にミアに紹介された堕天使のホープマン…元々は天使だったらしいけど女遊びが過ぎたらしく美貌と若干の能力だけを残し堕天した男…黒色のウルフにスーツ、タバコと凡そ天使とは思えない風貌だ。
「ミアも共に居た筈だが、止めなかったのか?」
「最初は止めました…でも、許せなくて…どうしてもって無理を言ったら最後は許してくれました」
「…そうか」
「駄目ですか…?」
「…援護は出来ん」
「…‼︎」
「ただ戦力としては期待もしなければ使い捨ての駒として動いてもらう、加えて…脚は引っ張るな、それが条件だ」
「ありがとうございますッリザドさんッ」
「…な?意外にいいおっさんだろ?」
「聞こえてるぞ、堕天使」
「まぁまぁ…俺も一緒に行くんだからさ?この身なりは幸か不幸か役立たずちゃんに1番近い…加えてお陰様で魔力は極少量しか持ち合わせてないからな…事情を知るぶん役にゃ立つだろ?」
「勝手にしろ…お前みたいな穀潰しはハナから戦力には入れてないからな」
「手厳しいねぇ…んで、真面目な話物資の類は使っていいのか?」
「成果次第だ」
「今回は無しね…了解」
ホープマン…慣れてるなぁ、本当に穀潰しなんだろうか?
むしろ僕が邪魔だったりして…
「そんなことねえよ役立たずちゃん?」
「ふぇ?」
「今回はマジにお前さんしか出来ない仕事なのは確かだ…何も出来ない、それが役立たずちゃんの最大の武器なんだからな?」
「(う、嬉しくない)」
「さて、軽く飯でも食ったら行こうぜ“相棒”?」