最強無敵の勇者様御一行
「す、すみませんっ」
「いや、いい…気にするな…怪我はないな?」
「は、はいっ、ありがとうございまふっ」
ふむ、極めて脇役らしい…模範行動だな。
「さすが零扉、やっさしーっ」
「ふっ…優しくなんかないさ、自然と言葉が口から出ただけだ」
「にゅ〜…かっこいいよね、れーと君…それにひきかえさっきの人の帽子のダサさったら」
「おいおい…人それぞれなんだ、失言だぞ?」
それに…
「みゅ…ごめんなさい…ご飯食べた後のるんるん気分を邪魔されたからつい…」
「反省は…してないな、まぁ構わんが」
モブは勇者よりダサくなくては困るからな…。
そう、俺はこの世界に来た勇者だ、
最初は訳が分からなかったが…なんの因果かこの世界で言う最強のスキルを持ってるらしい。
そして例に漏れずこの世界は魔王どもに襲われてると来た…ならばやることはひとつだ、
「そういえばこの前の魔物たちの数凄かったねぇ…5000だっけ?」
「500だ…」
「そうそう、それで絶対絶命のところを零扉の作戦でバシィッ…かっこよかったなぁ…」
「褒めても何も出ない、それに遊んでる訳じゃあないからな」
「さっすがれーと君、わっちの未来のお婿さんね…それに引き換えー」
「わ、私はただ凄いなって思っただけでー」
ここで痴話喧嘩を繰り広げているのは俺の仲間、小柄で舌ったらずなケットシーがティル、蒼眼金髪でシルエットの細いハーフエルフがシャロン…俺が救った村で一目惚れしたらしい二人だ。
「しかし…最近は魔物達の動向がおかしいな」
「あいつらはもともとマトモじゃないわよ」
「いや…大人し過ぎると思ってな…」
「みゅふふ〜きっとれーとにビビってんのさっ」
「だといいが…」
まぁ何が来ようと俺のスキル、
是世一閃があれば手こずることも無いだろうが…な。
「一応装備を整えておくか、1番近い店はどこだ?」
そう…この世界では俺は勇者だ、何をしたっていい…魔物が居れば退治する…そうすれば俺は勇者で居続けられる、そこにそれ以外の理由なんてない。