2話 前世の記憶・前編
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~転生する約13時間前~
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「おう、遊真。今日皆でお祭りに行って、パーっと遊ぼうぜ」
今話しかけて来たのは親友の吉野隆一である。文武両道でかっこいいイケメンな奴だけど、結構軽い性格に格好がチャライのが玉に傷の残念な奴。
「いいね、お祭りにいっしょにいこうよ、遊君」
それでこっちは幼馴染の早川火月。黒髪に青みがかった眼。落ち着いた物腰からは清楚感を引き立たせていて、華奢な体躯には余分な脂肪はなくスタイルもいい。十人中十人が振り返りそうな美少女である。しかも文武両道である。なんともうらやましいこって。
「良いよ、行こう。僕も行きたいし」
そして最後は遊真こと僕、霧雨遊真は高校二年の自他共に認めるオタクだ。僕たちは、幼稚園の時から仲良しで小学校低学年の時に両親が交通事故で死んだことをきっかけに塞ぎ込んでいた僕を元気づけてくれた。小、中学校でも一度も別のクラスになったことがない。隆一とは中一の時に意気投合してからよく一緒につるんで遊んでいて今に至るかな。まあ、紹介は終わりかな。
キーンコーンカーンコーン
おっとチャイムが。席に戻らなきゃやばいと思うが、無情にもドアは開く。
「霧雨君、基本的に2分前着席だよ。何で座ってないの」
この先生は僕の従姉の霧雨舞である。従姉が担任なんて、我ながら奇跡だと思う。ちなみに容姿は火月に大人の色気をつけたした感じの人。髪は黒髪ロングで腰あたりまであり、年齢は二十三歳だったと思う。
「ごめん舞姉、少し隆一たちと話してたら遅くなったんだ」
「おい、遊真俺を売るなよ!」
「先生ごめんなさい。私が引き留めたんです」
隆一が抗議の声を上げ、火月の方は僕をかばってくれる。
「まあ、ともかく3人とも放課後に生徒指導室まで来て。そこで聞くから」
「「「はい…………。」」」
「あと遊君。あと学校では先生って呼んでね」
「……はい」
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放課後・・・転生する5時間前 ~生徒指導室にて~
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「で、遊君その朝の話って何?」
「舞姉、実はかくかくしかじかでお祭りに行くことになって」
「そうなの。だったら私も行こうかな」
「隆一、火月どうs「他人に聞いたり、ダメって言ったら遊君がお風呂入っている時に入るよ?」
舞姉が混浴を盾に脅してくる。
「それだけはご勘弁下さい。思春期男子にはきついよ!ついてきていいからほんとに辞
止めて!」
「言質取ったからね。絶対に付いていくからね!」
「うん、集合時間は五時に神社の鳥居に集合しよう」
この時、僕は死ぬなんて思いもしなかった――――――。




