10話 家庭教師
アルスの誕生日の2日後、彼は少なからず緊張していた。と言うのも、今日は彼と家庭教師が初対面する日だからである。遠足などの前に緊張して眠れないというがアルスは典型的なそれであり、昨日もあまり眠れなかったので目の下にくまができている。ソファのすわり心地がよく、このまま寝てしまいそうになるが目をこすって何とか耐える。というのも、あと10分ほどで家庭教師が来る時間だからだ。ぼうっとしているとまた寝てしまいそうになるので、カティアが入れてくれたお茶を飲みながら時間を潰す。
約束の時間ジャストに、玄関のチャイムが鳴った。部屋から出て急いで階段を下りる。1階に下りると玄関の方から、カティアと誰かの話し声が聞こえる。顔だけ出して階段から見てみると、カティアと向かい合ってだれかがいることが分かる。フードを被っていてはっきりとは見えないが、カティアが目線を下にしていることから身長は低いようだ。
しばらく見ていると、カティアの前からその人の姿が見えなくなる。否、一瞬にして消えたのだ。余りの出来事に目を白黒させていると、いきなり背後から声をかけられた。
「君が私の生徒になる子かな?」
「うわっ」
驚いて振り返ると、目の前に僕より少し背が高い黒髪の幼女が腕を組んで立っている。一瞬で移動したことも勿論だが、目の前に幼い顔があり体を仰け反らせる
「は、はい。アルス・アルカディアといいます」
そう答えると、幼女は顔を近づけてジロジロと見てくる。そして、しばらく僕の顔を凝視すると何かを納得したような顔をした。それからニヤッと笑うと
「君はロウルに似ているね」
ロウルといえば爺ちゃんのことだが、父さんは養子のはずだから血は繋がっていないので面影はないと思うんだが。
そんな事を考えて返答しかねていると、幼女は気にせず名乗り始める。
「わたしの名前は知っているかもしれないが、君の家庭教師になるヘラ・アルファリオンだよ。よろしく」
再度驚く。魔王の后が幼女というのは少々問題がある気がする。
差し出された手を握り返し(結構すべすべしていた)、こちらも挨拶をする。
「はい、ヘラさん。よろしくお願いします」
ヘラさんは満足そうに頷いて
「よし、じゃあ始めようか」
早速、僕とヘラさんは屋敷の庭に出る。
「早速だけど魔法の基本構造はわかっているかい?」
「ええと、たしか『イメージ』『魔力収束』『魔法構築』『放出』の4つであってましたよね?」
1ヶ月前に読んだ本の内容を思い返す。
「その通りだよ。魔法を使うには欠かせないことだが、ここで躓く者も多いんだよ。うちの子供も最初は手子摺ってね。教えるのも簡単じゃないから難儀したものだよ」
ヘラさんは溜息をつきながら吐露する。ヘラさんに子供というのは……いろいろな意味で大丈夫なのだろうか?
「気を取り直して最初は自分の魔力を収束させてみようか」
「自分の魔力を収束?」
聞き慣れない言葉で聞き返してしまう。
尋ねてみると、自分の魔力は収束すると可視化できるらしい。
「まぁ、百聞は一見に如かずだ。わたしも手伝うよ。あ、そうそう魔力生成器官は丹田あたりだからね」
「わかりました。やってみます」
ヘラさんが僕の背中に手を当ててくる。そして体中に暖かい温水ような感じのものがヘラさんから流れてきたから僕は集中して意識を自分の丹田辺りに向けてみた。
「おお、これはすごい!私の魔力を十分の五ぐらい流しているのにまだまだ入いる。そういえばまだ儀式を受けてないんだったよね。それだったら受けた後に鍛えたらすごくなるかも知れないね」
「ヘラさんヘラさん」
「何だい?」
「儀式ってなんですか?」
僕は自分が持っていた違和感を聞いてみた。
「あれれ、ガル坊はまだ言ってなっかたのかい?普通はもう教えてる筈なのに、まあいいか。んーっとね、儀式っていうのはこっちで言う洗礼だったかな?」
「僕に疑問形で言われても分りませんよ、、、」
そんなことを僕に聞かれても知らないから意味がないと思うけどなぁ。というか父さんはガル坊って呼ばれているんだな。父さんをそう呼ぶって、この人何歳なんだろう?
「アルス君は今、この人何歳だろうって思っただろう?」
ヘラさんが面白そうな顔しながら聞いてきた。
「え、口には出してないはずなのになんで?」
「あはは、いやなに、顔に出ていたからね、カマをかけてみたんだよ。そんなに反応するとは思わなかったけどね」
顔に出てたのか...これから気を付けるようにしよう。
「それはそうと、わたしは三百歳を越えてるからね。今のこの姿は変身魔法で姿を戻してるだけだから、元の姿はちゃんとした大人だよ」
「え゛、ホントですかそれ?」
とてもビックリしたー。年齢が3桁超えてるなんて、さすがファンタジーだね!ビックリしすぎて聞き返しちゃったよ、、
「ホントだよ。今魔法といてみるよ」
そういってヘラさんはぶつぶつと呟いた。そして光がヘラさんを包みこんで消えると、ぼん、きゅ、ぼんのナイスバディで黒髪ロングの美女が立っていた。
「ふぇ?」
驚き過ぎて、なんか変な声が出たよ...
「コッチが本来の姿だよ」
そういってヘラさんは妖しく笑っていた。
どうも、浅望です!
最近は、ゲーム(PSO2、BF4、etc.)や期末テストとかしてたら投稿が遅くなりました。
浅望の浅の方が学校の生徒会選挙出て浅望の望の方が応援演説しました!
結果は何とか入れたんで投稿が開くかもしれませんが何とぞ、よろしくお願いします
あと、零話の内容を大幅に変えました!




