2話 過去
今回は悲しかったり辛い描写が多いです。
ほのぼのしてません。
ただ、物語的に主人公の内面が分かる重要な回ので読むともっと楽しめると思います。
読んで貰えると嬉しいです。
【 しかーし! 】
どうしても、つらいの無理っ!って方のために、
あとがきにゆる~いダイジェスト版(?)
があるので、そちらを読んで貰えれば問題なく楽しめます。
勿論、本編読んでから見ても面白い内容もあると思いますよー。
以上。
白い靄がかかった世界······
私の名前は白井 紗希、年齢は17。
私には人とは違うところがある。
真っ白な髪、そして青い目。
もちろん両親やその家系にそんな容姿の人はいない。アルビノのかと検査された事があったそうだが、結果は謎の染色体異常と、原因は分からず検査医は匙を投げ。私はいつ死が訪れても不思議ではない、明日突然死ぬかも知れぬと言われた。母はそれを聞き目の前が真っ暗になったそうだ。この世が全て敵に回った気がしたと言っていた。······私は何故生きているのだろう?
私という存在が異常なのかもしれない。
それからというもの母は私を一身に愛するようになった。当時幼心であった私にとってそれはとても嬉しかった、しかし同時に母は過保護であった、自分の身を厭わない程には。
母は私が外で後ろ指指され傷付くのを恐れ、私の外出を禁じた。私は母の愛を受けていれば良い。······あの頃、母はよく私に言っていた。
私の愛だけがあなたの全てでいいのよ
私はその愛情に盲信していた、それほどまでに"誰か"からの愛情が嬉しかった、幸せだったのだ。こんな日々がずっと続いていくんだと信じていた。
しかし、それは長くは続かなかった。
義務教育故に小学校に入学する必要があった。
渋る母をなだめてやっと通うこととなり、入学式にも参加した。しかし待っていたのは母の予想通りの現実であった。
子どもとは残酷なもので、一際容姿で浮いていた私はいじめの格好の標的となった。時には教師までもが子どもと一緒になって偏見を押し付けてきた。
私には人と喋る機会がほとんどなかったから、(母以外の人間と)話すことが苦手で、そのこと誰にも言い出すことが出来なかった。そして母に助けを求めることも出来なかった、母の過保護はこの頃には理解していた、しかしだからこそ、母の怒り悲しむ顔が見たくなかったのだ。私は母を愛していたから。
そのまま数年が過ぎた。
度重なるいじめの苦痛は、私から感情を抜き落とすには十分な年月、繰り返されていた。
初めに喜びの感情が、次に怒りの感情が、そして悲しみの感情。次々と感情が抜け落ちていく。徐々に私のこころを侵していく虚無の感情は、家にいても隠しきれないほど大きくなっていく。この頃の私はまるで感情の無い人形のようにいつも虚ろな目をしていた。
そして遂に母がいじめのことを知った。母の前だけは心配させまいと心が開いていたのに、それでも限界が訪れたのだ。心に影が差していたのをすぐに見破られた。恐らく薄々感づいていたと思う。
事実を知った母は怒らなかった。
なぜならば父親のDVが激しさを増していたからだ。
私が人前で笑顔を見せなくなった頃から、父親は母に対してDVをするようになった。いや、話しぶりから察して私が産まれる前からDVは存在していたと思われるが。
とにかく、母に対するDVは徐々にエスカレートしていった。
父親は私を恐れていた、あり得ない色の髪、感情を映さず虚無を見つめる瞳、子どもなのにピクリとも動かない冷たい表情、まるでよくできた人形のように見えた。
こんなもの、俺の子どもな訳ないっ!!
父親は娘への恐怖から妻へ暴力を振るう、振るうことで自分が保たれる気がしたから。そして暴力に酔い、暴力に堕ちた。
母は度重なるDVによって衰弱していた。
以前から母は私のために仕事は夜勤を増やし昼間は私の面倒を見るという生活をしていて、常に痩せていた。やつれて帰ってくることも多く、明らかに無理をしていた、私にできることは帰ってきた母を愛し癒すことぐらいだった。
そこに父親によるDVが加わったものだから、母の衰弱は悪化の一途を辿っていた。元々細かったのが、みるみるうちに痩せ細り、頬はこけ。覇気はなく、心はやつれ、ボロボロのように見えた。
だから、母は怒らなかった。
いいえ、怒れなかったの。
それほどまでに衰弱していたから。
母はただ、そう、そうなのね······と悲しげに呟き。
『ごめんなさい』
そう言って私に謝った。
私、お母さんなのに、紗希のこと私が守るって言ったのに、全然あなたのこと分かってあげられなくて、あなたのこと、守れなくて······あなたに辛い思いさせちゃって······ごめんなさい、紗希。ごめんなさい······
私は母の弱々しくて悲しげな姿を見て、胸の中に冷水を注がれたようなツーンとした感覚がした。そしてとんでもないことをしてしまったことに気付いた。
頬を涙がつたうのを感じる。次々と、いつしか止めどなく溢れる涙は私に感情を呼び起こす。
そして溢れる感情がピークに達し、感情が爆発した
そのあとのことはよく覚えていない。
ただ、心から母のことを感じ、数年分の空白を埋めるように泣いて泣いて、甘えた。幸せだった。
やっと母と分かりあえた、もうずっと一緒、そう思えたのに······。
運命なんて······さいてーだ。
運命は残酷、誰も助けてはくれない。
母はその後しばらくして病にかかった、無理をし続けた結果だった。母の衰弱はひどく、体力の回復が遅い母の体は闘病生活に耐えられなかったのだ。
半年後、母はこの世を去った。
私は付きっきりで入院した母のお世話をして、ちょっとでも気を紛らわそうと話相手をした。······でもそれだけだった、私はあまりに無力で子どもだった。
母が母でなくなった次の日。分かっているはずなのに、信じられなくて、どうしても信じたくなくて泣きわめいた。認めてしまったら自分の何かが永遠に失われてしまう気がしたから······。
翌日、
もう何も考えたくない。だから、ただ呆然と家で座っていた。
数日後、
母の葬式の日、嫌でも母が死んだことが分かる、酷い気持ちだ。父親は出席していない、親戚が集まっているのはお母さんが根回ししてくれたのか、な······お、かぁ、さ、ん?
そ、んな、イヤ······駄目っ、いやだ、いっちゃイヤっ! おかあさん行かないで! 置いてかないで······、
私を1人にしないでっ! ···いや おかぁさん、いやぁ···
う、ぐすっ、うあ"あ"ぁぁぁんぇえ"えぁあん、
びえ"ぇぐ、うな"ぁ"ぁぁぁん······
その日以降、私の時間は止まった。
何かがぽっかりと"私"から抜け落ちてしまったのだ。
それほど私の中に占める母は大きかったのだろう······。
曖昧な意識の中、外のうつろう景色をただ眺める。外の時間がひゅんひゅんと光のように速く巡る······、不思議な感覚だ。
気付けば私は母方の祖父母と曾祖母の住む家にいた。
親権を事実上放棄した父親の代わりに私を引き取ってくれたそうだ。母の死からすでに3年が経っていた。
母から経緯を聞いていた祖父母たちは、心配して中学校は行かなくていいと言いました。そこで私は自分で勉強するために、ひいおばぁちゃんに丘の上にあるという図書館を教えて貰い、そこに通うこととなったのでした。
尚、当時主人公14歳の模様
DV←の意味
(どめすてぃく・ばいおれんす)の略
…家庭内暴力って意味です。
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《ゆる~いダイジェストこーなー》
始まり~始まりー(´ω`*)
主人公:白井 紗希 (しらい さき)
年齢:17
・白髪青目
・母親はヤンデレ
・父親はでぃーぶぃ男
・幼少期←軟禁(母親がヤンデル
・小学校に入学するも友達出来ない。
いじめられるんですが(´・ω・`)
コミュ障ここに極まれり。
・一方、母は家庭内暴力を受ける。
~数年後~
・主人公一人で抱え込んで感情を失う
・お母さん衰弱する
・主人公いじめがバレる
お母さん泣く
主人公も泣く(和解する←ヤンデレじゃなかったよ! 母娘百合だよっ!
☆いじめられてた時間分リセット→幼女化
・でも、お母さんが病気にかかって死んでしまう
そんな~(´・ω・`)
・主人公、ショックで精神の時間が止まる。
☆精神幼女のまま固定とかお痛わしいです。
・主人公、祖父母達の家に移る。
・例の図書館を紹介される
・現在に続く······
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ちなみに主人公過去偏その①です。
主人公は躁鬱症に近いものです。
ただ、病院には行っていないのでよく分かりません。作者も専門家じゃないのでよく分かりません。
ダイジェストはゆるーく流しといてくださいねw
なんとなく前の話が分かるようになってれば問題ないです。
○さらっと主題の元が出てきてます。
「運命なんて……さいてーだ」
運命という名のフラグですね分かります。
主人公はフラグが嫌いです。
ただしストーリーフラグは無視すると物語進まないのでちゃんと回収させますので……たぶん。(・ω・*)
誤字・脱字などありましたら感想欄までお願いします。
3/25 20:22 あとがき書き忘れたので訂正