1話 Opening
とある作者さんの作品に感銘を受けて小説を書くことにしました。
作者自身、初心者のため拙い文章でありますが、良いものが書けるよう試行錯誤して参りますので、どうぞよろしくお願いします。
最後に2つ、作者はストレス発散のために書いている節もあるので、投稿ペースは遅いと思います。
また、のんびりとした作品になると思うので、他の作品の合間に摘まんで戴ければ幸いです。
以上。
ピーンポーンぱーンぽーん
この小説はふぃくしょん、です。
作中に登場する一切の人物、団体、及びコンテンツとは関係ありません。
また、けっして内容をうのみにしないように。
それらをふまえて。
お楽しみください♪
ピーンポーンパーンポーン٠٠٠٠٠٠ ( ドヤァ
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アスファルトに跳ね返された太陽の熱気が私の頬を打つ。青い夏空の下、閑静な住宅街を1人の白い少女が歩いている。もっとも、今はジーワジーワと、蝉の声がうるさいほど聞こえているのだが、けれども少女は黙々と歩いている。
ちょうど坂を登っているようであった。先ほど追い越して行った自転車に乗った男性は汗で薄手のシャツをべったりと張り付け、ひーこらと登っていったが、その少女もまた同じであった。
ワンピースの襟から覗く首もとは隠しようのないほど汗でじっとりと濡れ、額から垂れた汗がかかるのか、時折鬱陶しそうに目をしばたたかせる。ほら、頬をつたって汗が顎のあたりから今にも落ちそうに垂れ
「て······」
――― ピュウゥゥーールル~ ―――
「さ、寒いっ!」
寒さを紛らわそうと夏の日を想像したら、猛暑過ぎて汗だくだくになっちゃった、しかもそこに風があたるんだから、もうとっても寒くて······こんなに寒くなるとは思わなかったよ! むしろ寒くなったよね!?
「むー、まさか相乗効果でこんなに寒くなるとは」
あれですか気化熱ってやつですね。よくお風呂入ったら早く拭かないと風邪ひくよーって言われるやつ。たしか風が当たると一気に冷えるんだっけ? そ、そこまでイメージで表現しなくていいよ!
んー、やっぱり寒い時に夏のイメージするのは駄目ですね。寒さ倍増ですし、うん! 次は暖かい季節にしよう、そうしましょう。
ふふ、おーけーおーけー大丈夫私、寒くない。
「むふー、ふんす」
んぇ? イメージするものが悪い? 夏のせいにするな? そ、そんなことないですよー。決して、けーーっして、話題反らしとかそんなことは無いですよー。それにほら、私って想像力豊かじゃないですか······。あれ、全然反論になってない気がするんですが······。えーーっと、······うぅ
「次は春をイメージしよう、そうしましょう」
少女は歩き続けた。何か自分の触れてはいけないモノに触れた気がしたから。~
☆
あれこれと遊んでたら坂を登りきった。目的地はもうすぐそこにあるんだけど······。
「相変わらず不便なところ、でもそれがいい」
目の前の図書館は、レンガ造りでシックな雰囲気溢れる、素敵な感じなんだけど、実は利用客がほとんどいないんだよね。
それというのも、この図書館、大きな丘の上にあって。電車はふもとにしか通っていないし、バスも坂が急だからって、かなり昔に丘を迂回する路線に変更されちゃったみたいで。とにかく交通の便が悪いの。
それに頂上辺りの地区は古いお家が多くて、複雑な路地で迷路と化しているから、この辺りに住んでいても知らない、って人も多いんじゃないかな······
ガチャッ、キィィ…… バタン
そういう訳だからここで会う数少ない利用客は同じ顔ぶればかり、ご近所さん達であり、常連さん達だ。
あ、司書さんこんにちはー。 えぇ、外はとっても寒いですねぇ。 今日ですか?今日はですねー、フランス文学を読もうかなって思ってます。ふへへ~♪ 勉強の方?ぼちぼちですねぇ、んふふ♪ はい、頑張ります! ~~~!? はい、きっと! 待っててください♪
はぁぅ、司書さんマジ聖女様です。あの微笑みは受けたら幸せになっちゃいます······。
司書さんはこの図書館を1人で切り盛りしている凄い人です。(逆に言えば、図書館なのに従業員が1人しかいないんですが。)でも、何より魅力的なところは、あの人は本に対してはとっても聖女なんです。
以前一度だけネット界隈で『地元の寂れた図書館の超美人司書さん』って取り上げられたらしく、クールビューティーとか、時折見せる微笑みがズキュン(?)とか、あの冷たい目で罵られたい(!?)なんてことで、カメラを持った人達が押し寄せた事があったんですよね。(その当時はよくここを見つけたなぁと思いましたね、HPも無いですから······)
そうしたら、館内で本も読まずにシャッター音とフラッシュを焚く人達にですね、司書さんがキレたわけですよ。まぁ、当然の事なんですが。
しかし、その時の司書さんの豹変ぶりが大変だったんです! もう女王様どころか、閻魔もかくや、ぐらいの鬼畜っぷりでした、ええ。
恐らく罵られたいと書き込みをしたであろう人も(前半は1人だけ何故か悶えてたので、たぶんその人だと思います)、最期には顔面が蒼白で茫然自失状態でしたからね······。
私も思い出したらガクブルって、ひっ!?
あ、司書さんがカウンターから、ジトーっとした目でこちらを見ていらっしゃいます······。
と、とりあえず小さく手を振っておきましょうか。(何
あ、笑顔になって大きく手を振り返してくれました。なんか嬉しいですね、えへへ
と、とにかく! その時に司書さんが実はアレな方、ということが判明したんですよ。そうなると、じゃあいつもの"微笑みが素晴らしい優しい司書さん"は? って考えたのが、ひょっとして本に関わる時だけ聖女様モードになるのでは!?って思いましてね。
うん、これが一番しっくりきますね、やっぱり! むふふーん♪
おや、司書さんがなにやら、チョイチョイと手招きしてますね。何でしょうかね? はいはーい、司書さーん、なーんでーすかー? ······!?
「~~~⁉」
《しばらくお待ちください》
☆
はふぅ、司書さんに抱きしめられて、あの後散々撫で回されました。途中いろんなところを掠めて、少しその···、い、言えません! 司書さんに対して······なんて思うなんて······あぅ、ふ、不純ですからねっ!!
でも、司書さんとは良いお友達って感じで付き合っているのでそんなことは無いですけどね。迫られたら受け入れてしまいそうな自分もいることは確かですけど······弱いですね私、ダメダメです。しっかりしなくちゃ。
「この辺りに······うん、あった。」
今このときが幸せなのが一番なので、さっきのしみったれたお話は忘れてしまうことにします。そうなると私っていつも幸せなんでしょうね、ふふ。
「~~~♪」
トタトタトタ トントント
トタトタトタ トントント♪
ボサリ ガタッ、ポサリ ガタガタ
ペラペラペラリ ペラ ペラ ペラ
そういえば、図書館のことを考えていたんだっけ?
この図書館はさっきの若い司書さんが1人で切り盛りしています。ただ、利用者は非常に少なく過疎っていて。そんなここで見かける人達は毎日同じ顔ぶればかり、まさに常連客ですね。まぁ私もその1人なんですが。
私以外の人達は通い歴(?)10年以上のベテランさんばかりです。近所の虎蔵さん夫妻とかだと50年以上前からここに通っていたそうな。
他には正造先生っていう気の良いおじいちゃんがいて、実はこの人、何処かの大学の偉い学者さんらしいんだけど。ある時、ふらっとここを訪れて、それからずっとここに住み着いているらしいんですよね。
いつもは二階に籠って研究しているらしいけど、ふらっと下に降りてきてる時のすごくおじいちゃんした感じの姿からは想像できないですね。だっておじいちゃんですよ! ふふふ!
それでも座っている時の背筋がしゃんとした姿がなんだか格好よくて、私は学者先生の先生を付けて、正造先生って読んでます。
······ちなみに先生もお年は80を越えているそうです。
えぇ、高齢化です。過疎高齢化って社会の縮図ですか、こういうことなんですかー!(謎の叫び
まぁ、冗談は置いといて、実際若いひとはここには私しかいません。でもそれについて思うことはありません。
さっきは辛辣ことを言っていましたが、私はここの人達が大好きです。優しくて温かくて、なにより家族のように接してくれるんです。
こんな私······私を受け入れてくれるあの人達が、大好きなんです。嫌いに、なんか、なりませんよ。嫌なんかじゃ、ないんだから······うぅ、ぐすん
(だから私を嫌いにならないでっ)
うぅ ぐずぅ ひっく うふぇぁ ひっく
☆
「おやおや、紗紀ちゃん。どうしたのかね?」
「ぐすん、ふぇ···しょうぞうおじちゃん······」
「なに、気にすることはない。悲しいのじゃろう? 誰でも悲しい時はあるしの。特に紗紀ちゃんは悲しかったらすぐに誰かに頼るのじゃぞ。話して泣いて、辛いのを取り除いてしまうのじゃ。紗紀ちゃんが一番よく分かっておるじゃろう? ん?」
「(······コクン)」
「よしよし、ならば爺が話を聞こうではないか。ほっほっ。ほれ、話したいように話してみなさい。」
私がぐすっていたら通りかかった正造先生が慰めてくれた。
私は先生に何故泣いていたのか、を話した。皆のことを私が悪く言ってしまったこと、そして皆が私を嫌いになってしまうのではと思ったこと。
先生は嫌な顔せず黙って私の支離滅裂な話を聞いてくれていた、そして私に宥めるように先生は言った。
「そうかそうか、気に病むことはないぞ? 儂らはみんな紗紀ちゃんのことを大事に思っておる、家族のようにな。いっそ本物の家族と思ってくれて良いじゃぞ? 皆紗紀ちゃんのことが大好きだからの。もっと可愛がらせて貰ってもよいのだがのぅ。ほっほっほ」
「ふゅぅん······ずびっ」
そろそろ落ち着いたかの?
正造先生が話しかける。
先生に話を聞いてもらっていたら、いつの間にか悲しい気持ちがスウッとどこかに消えてしまっていました。やっぱりおじいちゃんだからなのかなぁ、年の功······なのかな、凄いなぁ。
「ずずっ······うん、あり、が、と、しょうぞ、せんせっ。」
「おやおや、おじちゃんとはもう呼んでくれぬのかぇ、悲しいのぅ、しくしく。」
「~~~!?」
「······おじ、ちゃん、しくしく、は、くちで、いわない、よっ!」
「!?······ほっほっ、そうじゃったそうじゃた。でも爺は若返った気がするぞ! これでもう一仕事できるわい。······紗紀ちゃんももう大丈夫なようじゃしな、の?」
「···うんっ!」
「ほっほっ、ではまたの。」
正造···おじちゃん、が立ち去ったあと、さっきまでの自分にひとしきり身悶えていました。でも、そのままこうしていても仕方がないので、また目の前の本に取りかかろうとしたのだけど······視界の端に引っかかってしまったのです······
ゆ、床が光って見えるのは気のせいですかね~
顔を上げ周りを見回して見ると図書館の床全体が発光しているのが見えます。
「な、なに、これ······ッ!?」
突然机と椅子が震え始めました。じ、地震!?
慌てて立ち上がります。気持ち周りの空気まで震えているような······!?
あ、れ? でも本が詰まった本棚からは一冊も落ちるどころか、本がはみ出てすらいません!? 視界はこんなに揺れているのに······えっ!? し、か、い?
もしかしてこの視界が揺れているっていうの!?
「きゃぁっ!?」
一瞬、視界がぐわんと大きく揺らぎ、天地がひっくり返ったような感覚がした後、気付けば私は床に倒れ伏していた。
「うう、」
揺れは激しさを増し立ち上がることもままならない。歪み始めた視界のなか、床の光の中に一際青く輝く線が現れ始めたのが見えた。やがてその線は増え、交じり、繋がり合って、何かの幾何学模様を作っているようで······
(これって······)
光が強さを増し、私の歪んだ視界を埋め尽くす。
私は光の奔流の中に意識を手放した······
主人公の心情がコロコロ変わるのは仕様です。
これから彼女の成長を見ていただければなぁ、と思います。(作者の成長も...要らないですか、そうですか。
1話目から既に1人落としてる気がする主人公ェ(ヒロインじゃないのに···
誤字などありましたら、感想欄よりご報告お願いします。(読む人いるのかな?
3/24 17:16 誤字を訂正