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モンスターを着る男  作者: 森田季節


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最終話 新しい生活

 ミノタウロス問題も解決したし、俺はアルコやほかのモンスターたちと一緒にのんびりと暮らしている。


 お金もたまって来たし、いつかアルコと一緒に暮らす家なんてものが買えたらいいなと思う。


 その日は冒険にも行かず、アルコと町を買い物していた。


 こういう時、手をつなげないのがもどかしい。はっきり言って手をつなぎたいし、アルコもそう思っているんだろうけど、武器にしてしまうからな。


 そんなことを考えつつ、買い物は無事にすんだ。買い物といっても、料理は宿で出るので、メインは戦闘の時の薬などだ。


「まとめ買いするんだから、もうちょっと安くしてほしいわよね」


 アルコが愚痴をこぼした。


「まあ、たいした出費の差じゃないからいいだろ」


 ――と、いきなり、その場にアルコが膝をついた。


 しかも、けほけほっとむせる。


「おいおい! どうしたんだよ! 体調悪かったか?」


「別にそんなつもりはなかったんだけど……」


 最悪のケースが頭に浮かんだ。

 モンスターをアイテム化すると、すごく寿命が縮むとかそんなことはないだろうな……。


「と、とにかく、医者に行こう! というか連れていく!」


 思わず、手で触れそうになった。


 そんなことをしたら、またアルコを武器にしてしまう。医者にも行けなくなる。


「大丈夫よ……一人で起き上がるから……」


 そのあと、俺は町の医者のところに向かった。

 アイテム化するという特殊すぎる理由が原因だったら医者ではわからないかもしれないが、このままにもしておけなかった。


 俺はしばらく待合室で待たされた。

 はっきり言ってものすごく時間を長く感じた。


 そして、診察室に入ってこいと言われた。おいおい、ろくでもない宣告はやめてくれよ……。


 部屋の中にいたアルコはちょっと照れたような顔をしていた。


 なんだ? そんなに深刻なことでないなら何でもいいんだけど。


「おめでとうございます」


 看護師だろうお姉さんが言った。

 何がおめでたいんだ?


「赤ちゃん、できたんだって……」


「……………………マ、マジか!」


 そうか! さっき体調崩したみたいになったのも、そのせいか! 合点がいった!


「まだまだ、これからのことだけど、宿から出て暮らすことも考えないとね……。泣きわめく赤ちゃんまで宿屋で育てるわけにはいかないし……」


「そうだな! 無茶苦茶稼ぐぞ! ちゃんと家買うぞ!」


 俺はこの世界に来てから一番やる気になった。


 でも、赤ちゃんということでいろいろ気になることはあった。


「なあ……獣人と人間の子供って耳はどうなるんだ?」


 そこがすごく気にかかる。


「ええと……半々じゃないかしら……」


「片方だけ犬耳が生えるのか?」


「違うって! 全く犬耳が生えないか生えるかの二択!」


終わり

モンスターを着る男、これにて完結です。これまでご愛読ありがとうございました! ギルド・クラッシャーという新連載をはじめました! よろしければこちらをご覧ください!  http://ncode.syosetu.com/n2161dj/ ちょっとダーク路線です。

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