幕外之話 紆余曲折なエンゲイジ
探偵ちゃんのその後。
顔にひんやりと冷たい空気を感じて布団の奥に潜る。
布団はいつにもまして、ふかふかでぬくぬく。このまま何時までも眠っていられそう。シルクのシーツが素肌を撫ぜる感触が何とも言えず、クセになる。……素肌?
裸で寝たんだっけ。昨日は何をしてた?
なんだか貧血気味で頭がボーっとする。
首筋をポリポリと掻きながら考える。瘡蓋が爪に引っかかって剥がれ落ちた。
ええっと……
……。
「ぬわわっ!」
一気に意識が覚醒して、昨晩の出来事がフラッシュバック。
そうだ、尾行対象の女に捕まったんだ。ああ、まだあの生温かいぬるっとした首筋の感覚が忘れられない。それから首筋に何かを刺されて、意識が遠くなった。気絶したところを部屋に連れ込まれ、裸にされて……。実家のパパ、ママ、どうやらわたしはお嫁に行けない体にされてしまったようです。汚されてしまった不甲斐ない娘をどうかお許し下さい。
よりによって同性に……最中の記憶は全くないし。
顔に手を当てて涙を堪えていると、ドアが開く音がした。
焦って胸元を隠す。
しかし入ってきたのは昨日の女ではなく、メイド服を着た可愛らしい女の子だった。
「あ、お目覚めですかぁ?」
この子は何なんだろう。ここはあの女の家のはずだ。ということはその娘? 似てないけど。でも、くりくりした瞳をよく見ると血のような赤色で、猫の目のように瞳孔が縦に裂けている。あの女と同じだ。そんな人種が居るなんて聞いたことないし、カラーコンタクトだろうか。そういえばあの女に「吸血鬼になりませんか」なんて狂ったこと言われたな。まるで本物の吸血鬼みたいな雰囲気だったけど、冷静に考えたら流石に違うだろう。あれはきっと「貴女にも吸血鬼のコスプレをさせたい」という意味なのだ。
メイドちゃんが顔を赤らめながら目を泳がせているのに気付いて、布団を肩まで纏った。見知らぬ他人に裸を見られるのは、同性でもやっぱり恥ずかしい。
「あのぉ、だ、大丈夫ですから! ワタシは何もしませんし、あの人も何もしてませんから。多分……」
「そ、そぎゃんですか」
「そぎゃんですよぉ」
何も、とは何のことか。言わずもがな、ソレのことだろう。自分の身体を触って確かめてみたが、これといって異常はなかった。首筋をしゃぶられたこと以外は何もされていないようだ。女性同士がアレをしてナニか痕跡が残るのかは疑問だけど。
恐る恐るメイドちゃんと目を合わせてみると、年相応のあどけなくてぎこちない笑顔を向けられた。わたしもそれに愛想笑いを返す。この子は普通だ、目と服装のこと以外は年相応。何もしないという言葉に嘘偽りはなさそう。
さっきのが勘違いだと分かってひとまず安心した。
実家のパパ、ママ。わたしはまだ清いままだったようです。いつお嫁に行けるかは分からないけど。
心に余裕ができると、どうでもいいことが気になってくる。
自分の言葉遣いが少し変じゃないかな、ということだ。少しというか大分訛っている気がする。自分としては普通に喋っているつもりだけど、人と会話すると、無意識に地元の訛りが出てしまうらしい。同年代の人たちと比べてもかなり訛りがキツいようで、学生時代はよくいじられたものだ。
「あの、わたしの言葉、ちゃんと通じとりますよね? 聞き取れない時はそう言ってよかですよ」
「ご心配なさらずに。むしろその訛り、ワタシ結構好きですよぉ」
ぶぁー、何この子天使。たいぎゃ(たいへんに)いい子ばい。癒さるるぅー。
その笑顔が服装と相まってお人形のように可愛らしい。
というかなんでメイド服なんて着ているんだろう。しかもただのコスプレには見えないくらい完成度の高いメイド服だ。気になったので聞いてみた。
「あ、この格好ですかぁ? これは喫茶店の制服です。メイド長の手作りなんですよぉ」
「メイド長?」
「貴女をここまで運んできたあの人のことですよぉ。みんなメイド長って呼んでます」
そう言えばあの女は喫茶店のオーナーをやっているんだった。そこまでは前もって調べておいたから知っていたが、まさかメイド喫茶だったとは。 何度も尾行しようと頑張ったのだがいつも途中で撒かれていたのだ。しかもこんな若い子に吸血鬼っぽいコスプレまでさせて、やっぱりあれはとんだ変態女だ。
本件とは別にしても、なんとしても警察に差し出してやらねば。
一人で意気込んでいると、メイドちゃんが言いづらそうに声をかけてきた。
「あのぉ、そろそろいいですか?」
何が? と問おうとしてメイドちゃんが抱えているものに気付いた。
服だ。紛うことなき服。申し訳なさそうに差し出してくる。
そう言えば裸だったね。
胸元を隠しながらそれを受け取った。
「お着替え手伝いましょうかぁ?」
「……それはよかです」
わたしが一人で着替えもできないような人間にでも見えるのだろうか。いや、ただメイドさんごっこがしたかっただけかも知れない。まあドレスの着付けならまだしも、そこまでお世話してもらう必要はないだろう。そんなことを頭で考えながら下着を手にとった。
うわあ、なにこれぇ。
「……これ、わたしのじゃなかとですが」
「お洋服は洗濯中ですので、そちらをお貸ししますぅ」
そうじゃない。
洗濯してくれるのはありがちゃーけど問題はそこじゃなかです。
なんねこの、うっすら透けとる黒いパンティーは。けしからん。
抗議しようと思ったが、メイドちゃんは気を利かせてくれているのか、こちらに背を向けている。この子が用意したわけではないのかもしれない。というかこんなことをするのは十中八九あの変態女だ。おのれ、なんたる恥辱。因みにわたしが履いていたのはベージュの地味なやつだ。
メイドちゃんをあんまり待たせるのも良くないし、仕方ないのでベッドから這い出て、その黒レースの下着に脚を通した。
やっぱりレースの下が透けている。同じく黒レースのブラジャーもつけてみるけどやっぱり透けてる。山の先端がうっすらと。
こりゃ田舎娘にはセクシー過ぎる! そもそも、こんなもの着ても見せる人なんていないッ!
しかし一番気になるのは
なんで両方ともサイズが合っとっとですか……。
━━━━
「大変お似合いですよぉ」
着替えが終わり、等身大の鏡の前で一回転してみる。んん、悪くないかも。
全体的にふわっとした感じの、黒を基調としたワンピース・ドレス。部屋着にするのはもったいない。
というか、さっさとここを出たいのだが、こんな良い服を借りたままじゃあ自分の家に帰れない。わたしのスーツは洗濯中だというし、もしかすると暫く帰さないつもりじゃなかろうか。
鏡の前で戸惑っていると、メイドちゃんが思い出したように懐から紙切れを取り出した。
どうやら手紙のようだ。
「こちら、メイド長からですぅ。お読みください」
件の変態女か、一体何が書いてあるのやら。あまり気は進まないけれども読まないわけにもいかない。
三つ折にしてある紙を広げた。罫線の入った紙上に書写のお手本のような字が書き連ねてある。内容はこう。
『to.探偵様
昨晩は貴女様に大変失礼なことを致しましたことをここにお詫び致します。
つきましてはお詫びのしるしとしまして、我が家で最上のおもてなしをさせて頂きたく存じます。
見習いではありますがメイドとして「三津浦林檎」をつけておきました。
晩には帰りますので、それまでどうぞごゆっくりお待ちください。
from.XXXX』
おそらく鉛筆で書いたのであろう、えらく丁寧な文章だ。完全にメイドになりきっていると見た。最後の差出人名は何故か擦れて読めないが。何と書いてあったのだろう。文字の跡が見えないこともないけれど、……夕……暮? やっぱり読めない。探偵相手に本名を隠したい理由でもあるのだろうか、なんだか一層怪しくなってきた。そうだ、わたしが彼女を追っていたのはあくまで『例の事件』に関しての手がかりを得られると踏んだからだ。あの怪しい少年の素性を、彼女はきっと知っている。だがわたしは、何方も名前すらまだ知らない。取り敢えず読み取れる分だけでもメモを……。
ポケットを探ろうとして、自分の服ではないことを思い出した。この服にはポケットが付いていない。
流石に荷物は没収されただろう。
無駄だろうが、メイドの林檎ちゃんに聞いてみよう。
「えーと、林檎っちゃん?」
「はい。申し遅れましたぁ、ワタシ……ワタクシ、三津浦林檎といいますぅ。なんなりとお申し付けください」
「スーツ、わたしが着とったやつに、メモ帳とかが入っとったばってん、どぎゃんなっとっとですか?」
「申し訳ございません。お荷物の方はこちらで預からせて頂きますぅ。お帰りになる時にすべてお返し致しますので」
「そぎゃんですか」
仕方ない。捕まった時点で命を奪われなかっただけ良しとしよう。手紙を持って帰っていいかと聞いたらすんなり了承してくれた。一旦林檎ちゃんに預けて、帰るときの手荷物に加えてもらう。
と、今更気づいたのだが、部屋に置いてある時計を見ると時刻は既に昼を回っていた。
道理でお腹が空いている。昼食の準備がしてあると言うので、当然少し躊躇ったが、有難く頂くことにした。
林檎ちゃんに連れられてダイニングルームに向かう。隣を歩く林檎ちゃんのメイド服のフリフリやカチューシャが小刻みに揺れるのが何となく面白い。本物のメイドさんみたいだ。なんで吸血鬼風のカラーコンタクトなんて着けているのか分からないけど。
ダイニングテーブルに着くと、林檎ちゃんが料理を運んできた。ポタージュスープと、ライ麦のパン、薄切りのハム、新鮮な野菜のサラダ。ワンプレートに綺麗に盛り付けられている。ただ運んできたのは一人分だけで、林檎ちゃんは食べないようだ。
手を合わせて、頂きます。パンを一口大ちぎってスープに浸して口に運んだ。……うん、美味しい、変な物も入ってないみたいだ。スープとこのパンが良く合う。なんというか、お腹の中がほっこりする感じだ。慣れないナイフとフォークを使って、ハムとサラダも食べてみた。こっちはまあ、普通。普通に美味しい。ポテトサラダは素材の味が引き立つ感じで結構いける。
ちょっと量が少ないけど全体的にバランスのとれた美味しいランチ。
プレートの上をすっかり平らげて、ごちそうさま……と言おうとしたら、最後にデザートと紅茶まで用意してくれた。デザートはシナモンが上品に香るアップルパイだ。これがまた格別に美味しい。どうやらこれはメイド長が作ったものらしい。なんだか悔しいけど結局全部食べた。甘すぎず、ベタつきすぎず、ランチで埋めきれなかった分の空腹を程よく満たしてくれた。毒とか警戒した自分が情けない。紅茶で喉をスッキリさせ、今度こそ本当にごちそうさまでした。
━━━━
あの女についてもうちょっと調べたいが、林檎ちゃんがどこまでもくっついて来て離れない。監視役でも任されているのだろうか。
昼寝をすると言って部屋に戻ったが、やはり部屋の中までついてくる。
追い払うのも申し訳ないのでベッドに転がって様子を伺う。
林檎ちゃんは椅子に座ってぼーっとしていたが、暫くすると、うとうとし始めた。昼下がりは眠くなるものだ。
スースーと寝息が聞こえてきたら、チャンス。音を立てないように布団から出て、そーっと扉を開けて部屋を出た。
すんませんね林檎っちゃん。ばってん、これも正義の為ですたい。
この家は少し部屋数が多い、一番怪しそうな部屋をささっと見てささっと戻ろう。
一階にあるのはキッチン、リビング、ダイニング。目星いモノはなさそうなので二階を見ていく。部屋の扉はトイレ以外に四つ、うち三部屋がまだ見ていない部屋だ。一部屋目、二部屋目、と手についた順に扉を開けるがどちらもベッドが置いてあるだけのただの空き部屋だった。残った三部屋目、廊下の一番奥にある扉を開ける。何もなければそれまでだが、アタリだ。きれいに整頓された部屋、置いてあるのはベッドと本棚、机、クローゼット。あの女の部屋だろうか。中に入ってそっと扉を閉めた。
ひとまず、結構な量の本が詰められた本棚を見る。
医学書、生物学書、地学書、天文学書、外語文学書、昔の著名作家が書いた小説……全体的に堅苦しい感じの本が多い。それにどれも古い本だ。本の上を指でなぞってみたがホコリは殆ど積んでいない。よほど潔癖で掃除を欠かせないのか、それとも全て定期的に目を通しているのか。本の量からして後者はあまり考えられないか。本棚には目星い物はないと見て諦め、クローゼットを開ける。これは……うん、何もなさそうだ。
最後に机の引き出し。上段には筆記具とルーズリーフの束、中段には裁縫道具、一番広い下段には極厚のバインダーが五冊詰められていた。
なんだろうこのバインダー……。日記帳か。
一番新しいものを取り出して開いた。少し気になる内容を発見、特に注目すべきワードを頭の中にピックアップ。
・『菅原さん』
・『両手がない』
・『闇医者』
・『異形』
・『林檎』
・『例の事件』
両手がない菅原さん、あの少年のことか。そして例の事件……。ひょっとすると、わたしが今調べている『孤児院放火事件』のことだろうか。林檎ちゃんもあの事件の関係者なのか? 彼女と、闇医者なる人物も重要人物としてマークしておかねばなるまい。メモを……ああ、歯痒い。せっかく新しい収穫だというのに。仕方ない、このルーズリーフを使わせてもらおう。
メモメモ……よし。急がんば、もう10分以上たっとる。
もうちょっと、もうちょっとこの日記帳を調べたい。
焦る気持ちを抑え、パラパラと読み飛ばしながら日記帳を捲っていった。
最近のものは残してあるが、後ろに行くと日付が飛び飛びになっている。特別残したいもの以外は処理したのだろうか。ざっと最後まで目を通したが、この日記帳で一番古いページの日付は一〇年ほど前のものだった。
……おかしい。
なぜこれより古い日記帳が後四冊も残っている?
今見たものを元の場所に戻し、緊張で僅かに震える指を一番古いものへ伸ばし……
―コン、コン。ガチャガチャ。
『……あれ、開かない。たんてーさぁん? 困りますぅ、勝手にこの部屋入っちゃダメですよぉ』
まずい。来た。咄嗟に能力を使ってしまった。
ここは冷静に。
『能力』の効果により、注視し続けている限り扉はその場に固定されて開かない。
扉から目を逸らさないようにしながら、後ろ手で古い日記帳を戻して引き出しを閉めた。
このメモはどうしよう。服にポケットが付いていないことを忘れていた。
ワンピースなので服の内側に隠したりも上手くできない。
いや、ここなら上手く挟んで隠せる!
「あ。開い……っつ。えーっとぉ」
うっかり能力を解除してしまった。
この能力は維持が難しいのだ。
結果、林檎ちゃんに『この醜態』を晒すハメに。
スカートをヘソの辺りまで捲くりあげて、黒い薄手のパンティーに指を突っ込んでいるという醜態を。
━━━━
「さ、先ほどのことは気にしていませんから。メイド長にも黙っておきますよぉ。だからどうか元気出してぇ」
「……んなこつね?」
「ハイもう記憶から消しましたぁ。ハイ忘れました、もう何も覚えていませぇん。ワタシは何も見てまっせぇん」
メモはパンティーの隙間に挟んで上手く誤魔化せたけど、これじゃあわたしが変態みたいたい。
他人の部屋に侵入して一人遊びを致す変態。
人のこと笑えない。
今度こそ本当にお嫁にいけんよ……。
・
・
・
「ただ今帰りました」
「あ、お帰りなさいませメイド長ぉ」
林檎ちゃんに慰められながら不貞寝していたらいつの間にか夜。件のメイド長とやらが帰ってきた。気をきかせて仕事は早めに切り上げてきたらしい。謝罪の言葉を述べつつ挨拶をして目を合わせようとしてくるが、やっぱりどうもこの女は苦手だ。何を考えているのか分からないし、一緒にいるだけで貞操の危機を感じる。手紙で最上のおもてなしなんて書いていたがどんな『おもてなし』なのか分かったもんじゃない。
「どうかそう堅くならずに」
「で、何が目的ね。わたしを家に連れ込んで何ばさせる気ね? 長話はしたくなかけん三十文字以内で言って」
ついついぶっきらぼうな態度を取ってしまった。
メイド長は苦笑しつつ答える。三十文字以内で。
「貴女に協力するのでここで一緒に暮らしませんか?」
「は?」
協力って。しかも一緒に暮らす……プロポーズかな?
林檎ちゃんも困惑顔だ。
メイド長は補足する。
「貴女が私を調べていたということは、私から貴女に提供できる情報がある、ということですよね?」
「まあ……」
「つまり何が言いたいかというと、貴女がここで我々と共に暮らすなら出来る限り情報を提供しても良い、ということです」
「はあ……?」
つまりこういうことか。
わたしはこの女から『情報』を得る、そしてこの女は『わたしとの同棲』を得る、と。嫌なギブ・アンド・テイクだ。
釈然としないが何故か林檎ちゃんは得心顔。そうか、やっぱりこの子は……。
わたしが承諾すればこの子の為にもなるのだろうか。
わたしが決断することで貫ける正義があるのだろうか。
果たしてわたしはこの人たちを信用していいのだろうか。
メイド長は条件を付け足す。
一つ、提供する情報に関して嘘は絶対に吐かない。
一つ、嘘は吐かないが都合の悪いことに関しては答えない。
一つ、探偵は答えなかったことに関して勝手にあれこれ詮索してはいけない。
一つ、寝泊りは出来る限りこの家でしなくてはいけない。
一つ、提供された情報は警察に話してはいけない。
一つ、上記に反しない限りメイド長は探偵の仕事に関して干渉しない。
決して悪い条件ではない気がする。むしろ願ったり叶ったりだ。
『この件』に関しては誰かに依頼を受けたわけではなく、わたし個人で調べていること。警察に話す必要はないのだ。逆に言えば身体を張ってまで調べる必要もないのだけれど。探偵稼業は今まで通り続けられるみたいだし、恋人もいないのでどうせ家(探偵事務所)に帰っても一人だ。さみしい一人暮らしを続けるよりはずっとマシな気がする。殿方との出会いはいよいよ遠のきそうだけれども。
初めは興味本位であったとはいえ、足を突っ込んでしまった以上わたしは『この件』をきちんと調べなくてはならない。
それがわたしの使命。
「……じゃあ今日から、世話になるばい」
「はい。宜しくお願い致します」
使命を果たすためなら同性からのセクハラに耐えるくらい安いものだ。林檎ちゃんもいることだしあまり過激なことはしてこないだろう。そう信じたい。
まあ精々もてなされてやるたい。
最後に「あ、そうそう」といった感じでメイド長が何やら耳打ちしてきた。
「……落ち着いたベージュも良いですが、挑発的なブラックもなかなかお似合いですよ。ふふっ」
ゾクッときた。やれやれ早速セクハラか。
思ったよりキツイかも知れない、何日耐えられることやら……。
そんな感じで、メイド長とのアブナイ同棲生活が始まったわけですたい。