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意識と無意識の境界線(短編)

意識と無意識の境界線 〜 soleco

 (寂しい・・・寂しくてたまらない・・・胸が張り裂けそうだわ・・・)


 ゆっくりと意識が浮かび上がって来るのを感じる中で、私はえも言われぬ寂しさを感じている。ここで泣いてしまえればこの感情を洗い流す事が出来るのにと思っているが、夢と現の狭間を彷徨っている“今”は出来そうにないことを理解する。


 (この寂しさは一体何なのかしら・・・。どうしてこうも寂しいの? まるで誰かと離ればなれになるような感じだわ・・・)


 トクン、トクンと鼓動はしっかりと脈打っているがそのトクン、トクンが心から“寂しい”と言う思いを一回ずつ押し出しているようだ。心から押し出された寂しさは私の四肢の隅々に至るまで広がって行く。


 (嫌よこんな気持ち。辛いわ。辛すぎる・・・理由がきっとあるはずなのに・・・)


 浮上したかと思った意識はゆっくりと波打ち際でひいてはかえす波のように停滞しているが、一度大きく引いた波が一気に押し寄せて来る。


 (夢は・・・何も見ていないわ。記憶に何も残っていないもの・・・)


 完全に浮上した意識の中を探るが不思議な程に何も残っていない。ただただ“寂しい”という思いだけに心が支配されているようだ。私はゆっくりと目蓋を開ける。見慣れたいつもの天井が視界に入って来る。現実の世界に在るのに寂しいという思いが消えない。一体何があってこの寂しさを感じているのか。


 寂しさに支配されている私の心では思考する事がストップしている。寂しさから逃れようと辺りを見回し、今日が何月何日であるのか思い出そうと試みる。


 (・・・わからない。今日は何曜日? 何月だったかしら・・・?)


 何も頭に浮かんで来ない。もう一度目を瞑り深く呼吸を繰り返す。眉間に集中するイメージで慎重に思いめぐらせる。


 (昨日は何をしていたのかしら? 一昨日は・・・?)


 徐々に昨日までの事を思い出す。そして今日が月曜日である事を思い出した。






 「月曜日!?」


 ガバッと上半身を起こし慌てて身支度に入る。





 “寂しさ”は忙しくしている間にすっかり消え去った。感情を心から送り出すトクントクンも消えた。


 だがーーー









 何か忘れている。その事だけは覚えている。



 YYYY年 MM月 DD日 月曜日 朝

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