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Go!Forward!魔王軍!  作者: 永久院 悠軌
魔王軍農作編
7/17

ヴァンパイア襲来

今日もまた、魔王の仕事は始まる

いつも通り朝起きてインスタントコーヒーを飲んで、占いを観ながら着替えて、朝食を食べてから出勤

出勤と言っても、社宅(魔王城最上階の魔王室を除くその奥)から勤務先(魔王城最上階魔王室)までなのでそこまで距離は無い

というか、魔王室と魔王の自室は繋がっているから歩いて数十秒

「おはよーう」

魔王室の奥、自室と繋がっているドアから出てきた魔王はマントを結びながら挨拶をする

「おはようございます。魔王様」

まだ勤務時間前にも関わらず、返事をする影があった

魔王軍四天王の中でも一番真面目な魔族

フランベルジェだ

「お前は相変わらず真面目だな」

「はい」

フランは熱心に人間界から得たテクノロジーのパソコンを操作し、書類を片付けているようで魔王の言葉に適当に答える

「……それ、大変か?」

「はい」

再度魔王が声をかけるもやはり返される言葉は感情があまりこもっていないような返答

こうなると意地でもマトモな会話させたくなるのが魔族(人間も)の性で魔王もそう言う思考にかられる

「お前って、何族だっけ?」

「セクハラですよ」

「喋るの早ッッ!?」

一瞬で反応されて、なおかつセクハラで訴訟されそうになった魔王は慌てて謝ろうとする――

ガチャッ

「おはようございます」

魔王室の扉が開かれて軍服姿の青年が現れる

四天王で二番目に真面目な存在。ハルドだ

武器名を名に持つ二体の魔族は割と真面目なんだよな……

「ぎいいやあああああああああ減給されるううううううううううう!!?」

「やっべええええええええええええええええええ!!」

ガスンッ!

ダンッ!

魔王室の扉を吹っ飛ばす勢いで入ってくる魔族の絶叫が響く

わかると思うが、べリアルとナイトメアだ

フランは勤務時間前、ハルドは時間通り、べリアルとナイトメアは遅刻寸前(もしくは遅刻)で現れる

「はあ……はあ……メアてめえ……箒で飛ぶのはずるいだろ……!」

「箒だって……魔力使うから疲れる……!」

赤い絨毯の上で倒れている魔王軍の強者たち

減給を味方につける出勤時間との戦いに勝利した彼らは、税金を給料としてもらっている国家公務員だ

なんというか、この国は大丈夫なのだろうか――







「へえ、ハルドお前、亜人族だったのか」

「はい。前にも言いませんでしたっけ?」

現在、魔王軍のトップファイブはおしゃべりしながら仕事している

それぞれ目線はあわせていないが、机に向かって仕事をしながら会話だ。アットホーム

「僕の先祖は忌み子と呼ばれる人間でした。人間界を追放されて、魔界にやって来て、住み続けてたみたいですよ。まあ、もうずっと昔の話ですけど」

今の話題は種族の話だ

魔王軍のトップは高知能であるべきと言われているので、魔王や四天王たちは基本的に『全世界でもっとも高い知能を持つ生き物』である人間に似ている、人型魔族が選ばれるのがメジャーなのだが、それぞれの種族は細かく分けると異なっているのだ

例えばハルドは、忌み子の末裔である亜人

亜人族は、元々人間として産み落とされるはずだったものだ

だが、神が間違えて若干の異常事態が起きてしまうことがある

生まれてきた子のからだの一部が他の動物だったり、本来人間が持たない特殊な力を持っていたりする

そして、それらはみな人間界では『忌み子』という言葉で差別された

人間ではないと言われ、迫害され、追放される

それが、亜人だ

亜人は神を恨み、人間を憎む

だとすれば行き着く先はひとつ

魔界では、人間界に偵察要員を送っていて、迫害を受けている亜人達を保護して、魔界へ移住する権利を与えているのだ

魔界では「人間も天使も魔物も、命は平等」と倫理教育をしていて、人間を嫌っている魔族はほとんどいないのだ

だから亜人と言うのはむしろ、高知能の優れた魔族として受け入れられる

「だから僕の一族は魔界に感謝していて、もっと多くの忌み子を救ってほしくて、代々魔界の頂点を目指してきたんです。僕の代でようやく四天王ですが、十分でしょう」

いい話だ

「亜人族はがんばり屋が多いんだよな。元が人間なだけに、努力を惜しまない」

魔王は学生時代に魔族の差別問題についてよく研究していた時期があり、亜人などについても詳しい

「そうか……ハルドは亜人だったんだな。べリアルは悪魔だろ?で、メアは妖魔だ」

そこで魔王は言葉を止める

やはり、最後の一人が気になるのだ

「やっぱ、フラン何族だよ」

フランベルジェ

高い知能をもち、効率的な仕事をするエリートだ

その上で先日の召喚魔法などをこなす

「わたしは、エルフ族ですよ」

「いうんかいっ!」

魔王はずっこけるが、フランは構わず続ける

「ウッドエルフでもダークエルフでも無いですが、南の方のエリン海の周辺に文明を築いてた種です」

フランの出身は魔界の中でも魔王国から遥か南にある巨大な海、エリン海の周辺

魔界には大陸が多いのだが、エリン海周辺は主に島国で、フランと同じような一般エルフ族が多くすんでいる

「エリン海か……あそこは南国の島国でいいところだよな。俺も出張で行ったときにサラマンダーフルーツを食べたが、あれは格別だった」

べリアルは昔、エリン海に出張にいったことがあるようだ

「俺ら堕天使は天界出身だが、天界にはサラマンダーフルーツは無いからな。あっちは奇妙に甘いだけの蜜とか、何故か甘い布とかしかなかったからなー」

天界も美味しいものばかりじゃなさそうだ

「俺は獣人族で、俺の場合は昔から魔王国に住んでいたんだよなー」

魔王は獣人族らしい

だが、冷静に考えるとそれはすぐわかることで、獣人族以外に頭部に角がある人型魔族は亜人くらいだ

亜人か獣人かと問われれば、獣人らしい大きな体躯の魔王は、獣人であると答えられるだろう

「昔っからこの街に住んでるけど、やっぱ大分変わったよな…… 」

ガチャッ

「おーれ。ノワール、おるかのー?」

魔王が呟いた直後、魔王室のドアが開いて一人の老年男性が入ってきた

そして、魔王はその姿をみて驚き、声をあげる

「おいおいマジかよ……アーグじいさんか!?とっくにくたばってたと思ったぞ!?」

「ハッハッハッ!毎日太陽の光りを浴びながら畑仕事して、美味しいもん食ってるからのう!まだまだ元気じゃ!」

日焼けしている老人は豪快に笑い、魔王に近づく

四天王も気になり、魔王のデスクの周りに集り、会話が始まる

「魔王様、そちらのご老人は……?」

ハルドが聞く

「このじいさんはアーグじいさん。昔っから俺に良くしてくれるじいさんだ」

「お前さん達がノワールの部下の四天王か!ノワールが世話になっているな!」

四天王は魔界ではトップランクに高い権力を持っているが、このアーグには圧倒されている

「アーグじいさん、何持ってるんだ?」

「おお、そうじゃったな。ほれ、この間採ったばかりの野菜じゃ!特にこのニンニクは良い出来でな。旨いぞ!」

「じいさん吸血鬼族ヴァンパイアなのに太陽光浴びてもへっちゃらでニンニクまで育ててんだからたまったもんじゃねえよ!ハハハッ!」

「お前さんも畑仕事をやってみるといいぞ。野菜は水をあげるだけじゃ育たん。うまい野菜を作るには、汗を流して一生懸命心を込めなきゃならん。楽しいぞ!そうだ、せっかくだからワシの畑で取れた野菜でうまいもん作ってやろうかの」

「じいさんの料理か……」







魔王軍のトップ五人とヴァンパイア一行はエレベーターで魔王城一階まで降りて、食堂に入った

この社食は多くの料理を提供していて、大抵の魔王城所属の魔族はここで食事をとる

だが、中には故郷の料理を食べたいと思う魔族もいて、それらは食堂のおばちゃん達には作れないので、自分たちで料理を作れる専用スペースがある

そこに来て、エプロンを着た魔王とアーグは調理を始め、四天王はそれを見る

「じいさん、何作るんだ?」

「ペペロンチーノでも作ってやろうかの。まず最初に野菜を切るのじゃ」

そう言うとアーグは包丁を手に取り、唐辛子を切り始める

「この唐辛子もうちの畑で取れた物だ。農薬も使ってないから、うまいぞ!」

「へえ……じいさん、ベーコンは適当に切ればいいんだよな?」

「そうじゃな。適当に切ってくれ」

魔王はベーコンを刻み、アーグは唐辛子を刻み終えてからニンニクを薄く切る

そして中に入る具を刻み終えるころに沸騰し始めた鍋の中のお湯に、パスタを投入

「よし、ノワール、そこの容器をとってくれんか?」

「ん?これ?」

「そうじゃ」

具材を温めたフライパンに投下し、オリーブオイルを若干投入

そこに、パスタのゆで汁も若干入れてジュウ……と音がなる

「よし……茹でれたかの」

十分に茹でれたパスタをフライパンへと移し、絡めていく

ニンニクの香りが空腹をそそる

「ほれ」

6枚の銀製の皿によそり、最後に刻みバジルをかけたところで、完成だ

ヴァンパイア、アーグ特製採れたてニンニクのペペロンチーノ

「さて、みんな食べてくれ」

アーグはエプロンを外して、料理を手渡す

「美味しそうですが……」

「僕ら何してるんだろ……」

困惑するフランとハルド

「上手そうだな!遅刻しそうだったから朝飯食ってなかったんだよな!」

「いーただきまーす!!」

食らいつくべリアルとメア

二人は銀のフォークで一口、パスタを頬張り――

「「うぅぅううううんまぁぁああああああああああいいッッッ!!!!」」

モグモグモグモグ

悪魔と妖魔が、ヴァンパイアが育てたニンニクの入った、魔王とヴァンパイアが作ったペペロンチーノを食している

「僕たちも食べますか……」

「せっかく作って頂きましたからね……」

エルフと亜人も、フォークを手に取り、一口

「……!」

「これは……!」

二体の瞳に閃光が迸った

皿を持つ左手と、フォークを持つ右手。その両方が雷獣の攻撃を受けた勇者のように震えている

「じいさん!うまいぞこれ!」

「うむ。今日のはいい出来だ」

魔王とアーグもペペロンチーノを食して、表情を変えている

「ちょっと待ってくれよ……おい!料理長!来てくれ!」

魔王が食堂の販売エリアの方で新聞を読んでいたコック服のオークを呼び出す

「へい、なんでしょうか?魔王様」

「これを食ってくれ!」

オークに銀の皿とフォークを手渡して言う

「ふんふん……これはペペロンチーノですか。頂きます」

オークは料理を一口食べる

口を動かし、飲み込み――

「これは一体……!?コックは誰です!?」

「ワシじゃよ」

「ブラボー!この料理は素晴らしい!新鮮なニンニクの香りとベーコンの塩味が見事にマッチしている!パスタも最高のゆで加減だ!」

オークは料理を褒め称えて、魔王に顔を向ける

魔王がなにかを言おうとしてたからだ

「料理長、この料理を、食堂で出せないか?食べるとパワーが溢れる最高の料理だろ?」

「ええ……私も提供したい。ですが、それには新鮮なニンニク、バジルが要ります。何よりも、レシピが必要です」

オークは真摯に答える

「では……魔王軍でニンニクとバジルを自家栽培しよう!」





魔王は提案し、誓う

「魔王軍の食堂で最高のペペロンチーノをうるために農業だ!」



こうして、魔王と四天王の次の仕事が、舞い込んだ



お久しぶりです

永久院ですぅ↑


最近更新ができてなかったなー


えー、魔王軍の新たな仕事がやって来ました

カオスですねー(ニヤニヤ


ヴァンパイアが日野光浴びながら育てたニンニクを片手にもって魔王のところに訪れてペペロンチーノを作って銀製の皿の上によそる

なんと言うことでしょうね


こんなテンションで続きます

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