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第2話 変人は変人を呼ぶ(3)

かえって残るのはただの虚無感。

 向こうはまだ、何か言いたそうだったが、これでよかったんだよな。

 どうせ、聞いても言い訳しか出てこない。

 人間自分の立場が危うくなると自分の非を認めず、正当化しようとする。

 人間の悪いところだ。

 そういう考えだと人間は動物の中で一番のアクだな。

 悪魔とかなんかよりよっぽど悪だろ。

 あ、悪魔以上が一人いた。

 あの女。

 なんであんなところにいたんだよ。

 あいつのせいで俺もあんな言い方しちまったような気がする。

 少しイラついてたしな。

『ピロロロン』

「うおっ!」

 びっくりした。

 携帯電話がなったのか。

 滅多にならないから流石に焦った。

 自分で思ったことだがなんか虚しいなおい。

 俺は携帯をとり、中を開くと・・・・・・・・・・北村だった。

 内容は、

『ごめんなさい、でも、私はまだ好きだから、じゃあ、またあした学校で』

 とのことだ。

 確かに俺も悪かった。

 生半可な気持ちで付き合ったりなんかして。

 浮かれてただけだった。

 俺はもう、愛の無い恋愛はしない。

 この時そう決めて、俺は眠りに就いた。



 俺の机の周りは誰一人と座っていなく、ほかの友達のもとへ行っている。

 俺はパンをかじる。

 生憎の雨に、天気はどんより。

 そしてなにより、飯が食いにくい。

 なぜか、その理由はな。

 周りの生徒が俺の方をじっと見てる。

 飯が食いづらくてしょうがなかった。

「おい」

「何かしら?」

「なぜいる?」

「それはなぜ人間は存在するのか、と聞いているの」

「その答えも知りたいが、俺が聞いてるのはお前がなぜ俺の横で、そんな特大弁当を

食ってるかだ」

「お腹がすくのよ、成長期よ」

「そっちじゃねぇ!なんで俺の横で食ってるのか聞いてるんだ!お前が横にいるせ

いで俺がどれだけ注目を浴びてるか」

「いえ、一人でご飯を食べてたから」

「そんな目で憐れむな」

 沢村は俺の目をじっと見て目を潤ませた。

 どこの天才子役だよ、あ、もう高校生か。

「昨日は実に愉快だったわ」

「俺は実に不愉快だったな」

「視覚は現実を語る・・・・・・・・・・」

「真似すんなクソ恥ずかしいわ!」

 沢村は俺の声真似をしてそんなことを言ってきた。

 つか似てねぇよ。

 そんな甲高い声でにるわけもない。

 そしておかしい、お前は今なぜ重箱をすすっている。

「コーンポタージュよ」

「エスパーかよ!」

 こいつ、心を読めんのかよ、余計へんだな。

 つか、まずもって重箱にコンポタって。

「下に入れると、お弁当が暖かいのよ」

「ああ、そうかよ、つかせめて味噌汁にしろよ、上和食しかねぇじゃないか」

「あなたのは・・・・・・・・・何かしら?」

「卵焼き」

「卵焼きは黄色いわ」

「この卵はな、鉄の上で長時間焼くことによって、黒くなるんだ」

「ただ焦げただけなのね」

 そういうことだ、しょうがないだろ、うちの親は実に料理が下手なんだ。

 はあ、パンをもたせたと思ったら、なぜか卵焼きだけ持たせる親もどうかと思うが。

 つか、鶏ごめん。

 俺がうつむいていると、俺の目に誰かの足元が飛び込んだ。

 俺の横に立ってるってことか。

 俺はそれに反応し、顔を上げると、

「あの・・・・・・・・・・」

 そこには、沢村と同じくらいの重箱の弁当を布で包んだ、北村が立っていた。

 


 え?何この状況?これって俺、人生最大のピンチ?


 いや、違った人生最大のピンチは・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 切符が80円の時、ちょうど80円しか持っておらず、1枚だけギザ十で、切符を

買えなかった時だったな。

ここまで読んで下さり感激です。

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