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悪徳令息と悪徳令嬢が婚約し、しかも町の領主になり、住民は「もう終わりだよこの町」と嘆くも意外と善政を敷く模様  作者: エタメタノール


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最終話 愚民ども、町を良くしていくぞ!

 アルゲンとエレンシアが結婚して、半年余りが過ぎた。

 両親は再び辺境に向かい、モレス家邸宅ではアルゲン、エレンシア、そしてサティが三人で暮らしている。

 食堂で今では夫婦となったアルゲンとエレンシアが食事を取る。朝食はサンドイッチだ。


「美味いな、エレンシア」


「ええ、アルゲン」


 サンドイッチを平らげると、アルゲンがサティに話しかける。


「サティ、今日の予定は?」


「町内の会合があります。以上です」


「それだけ?」


「それだけです」


「もっとあるだろ! エレンシアとダンスとか、エレンシアと会食とか、エレンシアと散歩とか……」


「全部日課ですし、しょっちゅうやってるじゃないですか」


「もういい。とりあえずエレンシア、モーニングダンスだ!」


「そうね、アルゲン!」


 アルゲンとエレンシアは向き合い、手を繋ぐ。

 そのまま踊り始める。

 二人の踊りにはますます磨きがかかっている。

 サティですら見惚れてしまう。


「お二人が世界的なダンスのコンテストに出たら、本当に優勝してしまいそうで恐ろしいです」


「優勝してしまいそう? するんだよぉ!」


「そうよぉ、サティさん!」


 二人が凄まじいスピンをかます。息ピッタリでまさに竜巻の如し。


「床に穴が空きますから、その辺で」


「はい」


 二人仲良くピタリと止まった。


「じゃあ、行ってくるか。……クルム!」


「はい!」


「俺に上着を着せろ!」


「分かりました!」


 赤毛の少年クルムは執事見習いとして、モレス家に雇われた。

 「正式に領主になったんだから、執事が一人ぐらい欲しい」というアルゲンの希望が叶った形だ。

 とはいえまだまだ子供。完全な住み込みではなく、朝と昼に短時間働く形式を取っている。

 クルムは背伸びして、アルゲンにスーツの上着を着せる。


「うん、だいぶよくなってきたじゃねえか」


「ありがとうございます!」


「じゃあ、行ってくる」


「行ってらっしゃい、アルゲン」


 手を振るエレンシアに、アルゲンはウインクを返す。


「帰ったら……な!」


「やだもう、アルゲンったら!」


 二人の熱愛ぶりは相変わらず健在である。


 アルゲンが外に出ると、庭にはグリントが繋がれている。

 前脚を上げ、勇ましく鳴いて、アルゲンを見送ってくれる。


「ヒヒィイン!」


「ちょっと行ってくる。留守は頼むぞ!」


「ヒン!」


 ロクスの町はますます栄えている。

 『緋色の浄化団』の件で常駐兵が置かれるようになり、もはや賊に脅かされることはない。

 近隣の町村との交易も盛んに行われている。

 さらには第一王子セオドアにも目をかけてもらえるようになり、かつての新聞記事の効果もあって、王都から観光に来る人間も増えた。


 公園に通りかかると、アルゲンの銅像が置いてある。

 今ではストレス解消のサンドバッグにする者はいない。なぜなら、盗賊の襲撃の時にクルムたちを助けたことが知れ渡ったためである。

 改めて町民の手によって磨き上げられ、今ではピカピカの姿で公園にそびえ立っている。道ゆく人々はあれが領主の姿と真に銅像を崇めている。

 アルゲンは銅像を見て得意げな顔をする。


「相変わらず俺はかっこいいな……」


 だが――


「銅像の方が本物より慕われてるような気がする! なんかムカつく!」


 もう一人の自分に嫉妬しつつアルゲンは去っていった。


 町民たちはというと――

 町長の娘フィーユはますます美しくなり、エレンシアの一番の親友となった。

 菓子屋のウィリーのロクスグミ拡販は順調で、ロクスグミを求めてやってくる観光客も後を絶たない。

 大工のベンダーは、未だにアルゲンを大工にしたいと考えている。

 パン屋のコネットも、ロクスの町を代表するパン職人へと成長した。

 老婆ランネもすっかり元気を取り戻し、アルゲンとエレンシアの子供を必ず見ると豪語している。

 エルフのルカナの薬屋も評判は上々。彼女も今やロクスの町住民として馴染んでいる。

 道具屋のウッド、アルゲンに子守りを頼んだ主婦マリィ、その子供ニール、料理人ジェフも――みんなそれぞれの道を歩んでいる。

 そして、そんな彼らをロクス山の神はかげながら見守っているに違いない。


 アルゲンが集会場にやってきた。

 町民たちが挨拶をする。

 アルゲンは上着を脱ぎ、スーツを正し、相変わらずの偉そうな顔と態度で、町民たちに向き直る。

 これが彼のスタンス。これからもアルゲンはこうやってロクスの町を大きくしていくのだろう。


「アルゲン様、よろしくお願いします」


 スタットの呼びかけに領主アルゲンはうなずく。


「よーし集まったか愚民ども、会議を始めるぞ!」






おわり

傲慢な伯爵令息アルゲンの物語、完結となります。

最後までお読み下さいましてありがとうございました。

少しでも楽しんで頂けたら、ぜひ評価を頂ければと思います。感想もお待ちしております。

今後の活動への何よりの燃料になります。


他にも沢山の作品を書いていますので、よろしければそちらもどうぞ!

今後ともよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
これで40話、終了かあ。 これからもアルゲンとエレンシア、そしてサティとクルムを含めたドタバタは続いていくんだろう(・∀・) しかしサティは大変そうだ(゜ω゜)
完結おめでとうございます。 テンポが良く、毎回笑っていました。 素敵な物語をありがとうございます。
毎回テンポよく進んで面白かったです
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