無敵の魔法
「ん?ここは?」
私が眼が覚ますとそこはどこまでも漆黒に満ちあふれた空間につつまれていた。
目をあけてもなお、黒一色のその景色は自分が目をあけていることなど忘れているかのような黒だった。
「この音?」
耳を澄ませば微かに歯車のような回る音が聞こえた。
少し手を伸ばすと木の箱のような木の感触が伝わってくることからするとこれは馬車が運んでいる貨物なのだと想像できた。
どこを探してもカギらしき物はなかった。 どうやら眠っている間にこの箱の中に入れられ連れてこまれたのだろうか。
小さな箱の中で私は動揺する。
なぜなら私は 木の箱の前の記憶が全くないからだ。
何をして捕まっているのか、どこへ連れていかれるのか、眠っている間に何があったのか、私は全く覚えていなかった。
でも、ただ、一つ覚えていることがあった。
それは「非常に強力で制御不能な魔法のため絶対に使ってはいけない」ということだった。
書かれていたのは幼い頃から身につけていた本にそれは書かれていた。幼い頃からそれを読み 記憶喪失になったとしてもその記憶だけは残っていたのかもしれかった。
でも、私はその制御不能な魔法をどうやって使うという記憶は頭の中から忘却し抜け落ちていた。
記憶喪失になる前にそんな魔法を使っていたことも分からない。
つまり、私は「無敵の呪文」を使っていた? 魔法少女ということになる。
「ガタガタガタガタ」
「ん?」
外の様子が騒がしくなってきた。
車輪は乱れ、こっちまで揺れだす。
真っ暗で外の状況が全く読めないけど 確かに砂利道を走っている。 ことだけはわかった。
馬車の音が止まり、そして、一気に静寂がつつまれた。 真っ暗な空間だから余計に音がなければ急に寂しくなる。
「どうしたんだろう?」と少しでも馬車の近くに耳をかたむけると急に真っ暗な世界に光が迷い込んできた。
「眩しい!」
私は思わず、大きな声で今の状況を叫んだ。
目を開けても目がくらんで外が反射し全くみることができない。
目が完全に治るまであと数秒かかる。
恐る恐る目をゆっくり開けてみると ガタイのよい男2人が私をみつめ止まっていた。
そして、私が目を開けられるようになった途端 男2人に身体を捕まれる。
「ついてこい!」
「嫌だ!嫌だ!!」
明らかなに味方ではない2人は強引に私の身体を掴み引っ張った。
私は華奢な小さな女の子。 当然、男2人をどうにかするほどの力など持ち合わせていなかったため、いとも簡単にどこかに連れていかれた。
「なに?私がなにをしたの?」
「その本に書かれていた「非常に強力で制御不能な魔法のため絶対に使ってはいけない」ってなんだ? お前、この魔法でなにをする気だ!」
「私は分からないの!何があったのか・なんでこの本が近くにあったのかさえわからないんだら!」
「噓をつくな! その魔法で世界を滅ぼそうとしているんだろう!俺は知ってるぞ!」
「だから!その魔法をどうやって使うことも忘れちゃったの!」
「とぼけたって無駄だ!お前にはこれから生かすか殺すかの裁判を受けてもらう。そこで想いを叫んでみろ!くれぐれも噓をつくなよ、すぐにわかるからな!」
{く、無敵の魔法が使えたら こんなやつら簡単に倒すことできるのに!}
「ここだ!早くいけ!」
「いやーん!なに?女の子になにをして? え?」
裁判所というよりもここはコロシアム、闘技場のようだった。
360度見渡すほどの観客の数 中央、右手、左手、後ろの四区画にはなにやら偉い人が座るような、そんな、空間が作られている。
一際神々しい中央の玉座のような席に1人の男性が座る。
この国の王様なのだろうか。
彼が大きく腕を上げ 指を鳴らすとあれだけ騒がしかった観客が一斉に静まりかえるのがわかる。
この国でどれだけの影響力があるのだろうか、
「君か?非常に強力で制御不能な魔法を使えるというのは!」
私はキョロキョロと周りを見渡して視線が私に注がれているのがわかる。
「私は何も知りません!何もわからないんです!」
私は激しく否定する。否定しなければ消される。そんな、気がした。
「その、女の隣にはこのような本が置かれておったそうじやな、詳しい者に聞くと中には「無敵の魔法」の使い方や遊具も書かれていたようじゃ」
「やはり知っていたのか!」
「私はそんな、本がなぜ隣にあったのかさえ知らないんです」
「噓を言うな!」
「さすれば、この少女に噓を発見する魔法をかけたらよい、偽りがなければこの少女を解放してほしい」
右手の席からからでてきたのは心優しき青年のようだった。 年齢30代半ば、金髪で身長が高く、なによりイケメンだった」
「さぁ、右手を、だして?」
他の人とは何かが違う、私はなにも根拠もないけど、別に悪い人には思えなかった。
「あ、はい、」
「ミミィ、頼む、」
「はいー!私に任せてほしいですーー!」
ミミィといった人、私よりもずっとずっと小さなかわいい女の子だった。
「噓を発見する魔法ちょーだい!」
するとどこからともなく本が一冊鳥のように飛んできた。女の子はその、本を熟読すると私に魔法をかける。
「うむうむ、この女性が今まで言った言葉には噓、偽りなどありません!」
「そうか、それならよかった、この者は噓をついていません、無敵の魔法の使い方も記憶もない今、彼女を殺す必要はありません」
私をかばってくれた。やはり優しい人、
「待て待て、ミミィの魔法は認める、がこの場所にきた段階では だろ? 男2人に連れ去られる時、どう思った。
ミミィは再び、私に魔法を、かける そして、
「無敵の魔法が使えたら こんなやつら簡単に倒すことできるのに!って思いました え?そんな」
言いたくないような言葉がフィルターをかえさずに大きな声で叫んでしまった。
「やはり、私たちの敵か、」
「いや、違うんです、」
私はかばってくれた男の人に助けを求めるも
「すまない、世論と王様がそうなってしまったら助けられない」
「彼女は生かしておけん、死刑じゃ ミミィ」
「王様が言うなら仕方ないんですー! 時間停止の魔法ちょーだい!」
「嫌だ!死にたくないよ!」
私は逃げた、魔法がかからないところまで逃げだす、
「うむうむ・時間停止!」
「あ、」
後ろでミミィがまた何か言ったと思った次の瞬間、足が止まった。背中を少しそらすようにしたまま硬直する。
(え……、なに……、体が……)
動かない。その場に立ち止まってしまった私に今度は王様がゆっくりと追いつき、後ろから抱きしめられ胸を揉まれる。口をほとんどつけるようにして喋り始める。
「こんなにいい身体しとるのに可哀相に そうだ、一生、わしの奴隷として働かんか?身体ももらうけどな ふええ」
「い、いやです、」
「ほう、じゃ死ね!」
「おやじ!まてー!」
私はもう終わったと思い目を閉じた、その時、目にもとまらぬ早さの電光石火が私を包む、
「シュー-ーん!」
「連れていかれたわい!」
「あいつか、いいところに来たな」
「アントリア様 どうするですか?」
「ミミィ、そっとしておこう、これは、面白くなりそうだな」
「はいー!わかりますー」




