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才女のお姉様とモテモテの妹と平凡な私

作者: パラ蘭

「ただいま……」

「ただいま!」



 同時に帰ってきた2人は、最初の小声がお姉様であるテレーズ。そしてお姉様が小声の時は不機嫌な時である……

 次に大声で帰ってきたのが妹であるナタリー。そしてナタリーが大声の時は不機嫌な時である……


 そして私は、フランソワ、私達3人は伯爵家の三姉妹である。




 そして2人が私の所に来るなり、ナタリーが言い出した。




「聞いて下さる?お姉様達、あのですね、私付き合っていたあのボンクラいたじゃありません?そろそろ別れようかと思っていたのですが、まさかの浮気をしていたのですよ。ありえなくないですか?この私が可愛い可愛い私が浮気なんて、こんな屈辱初めてですわ!」



 ……なるほど、ナタリーはモテモテだから常に男に求められており、浮気なんてされたのは初めてなのでしょう……



 だからこんなにも怒っているのは分かります、プライドも高いですからね……



 しかしお姉様は機嫌が悪いのかいつもよりも冷たい、普段はもう少し優しくなだめるのに……




「ナタリー……いいじゃない、散々別れるとか何とか言ってたのでしょう?相手の浮気ならお前が悪いって堂々と相手のせいにできるのよ、むしろ浮気してくれてありがとうって思うべきよ、怒ることじゃないわ……」




 お姉様は才女と言われているのでいつもこうやってハッキリしている、最も普段はもう少し優しい言い方をするんですけどね……



 ちなみにお姉様だが、何故才女と称えられているかというと、お父様ですら大事なことほどお姉様にも相談をし、その評判が有名になり、何と一度陛下に呼ばれたことがあったのだ!



 その時に陛下の質問に色々と答えて陛下に「見事である、まさに才女!」と言われたため、


 普段はクールなお姉様ですら、それは嬉しかったのか家に帰って来るなり、



「陛下に褒められましたわ、私才女らしいのですの」と浮かれまくり、それが噂となったのである。




「……お姉様の言うことは分かるけど、私の気持ちが収まらないの!あんなボケ野郎にこの可愛い私が浮気されたですって?ありえないありえない!私は可愛くて愛されて当然なの!」




 ……ナタリーはこんなワガママなことを言っているがこんなワガママですら可愛いと男に思わせる不思議な魅力を持っているのである。



 1回モテ男で有名な公爵令息に愛人にならないかと言われた時ですら、



「私愛人なんて嫌ですわ、いつも私を見る人しか興味無いのですの」



 このように振ってしまったため、公爵令息ですら唖然とするも、特に咎められずに、モテ女としての評判が上がったのである……


 それだけにまさかの浮気がショックだったに違いない……




 妹はまだプンスカ怒っているが、ふと私の顔を見て言う。



「……ねえもしかして大きいお姉様機嫌が悪い?だっていつもこんなに私にきつい言い方しないですわ?」




 やはりナタリーも気づいていたようだ、私もナタリーに同意すると、ナタリーが言い出す。




「……あのですねお姉様?いつもよりも容赦ないですけど、何か嫌なことありました?……もしかしてまた別れたとか?」




 そうお姉様は美人だしさらに才女なのでお姉様もナタリーとは別ベクトルで男性に好意を向けられやすい。というか頼られやすい(笑)しかし色々問題があってすぐにお姉様が振ってしまうのだ……




「あの馬鹿、私に散々頼っておいて甘ったれておいて、それでいながら僕も男だからリードさせて欲しい、もっと甘えてくれとか寝言を言ったのよ、お前みたいな軟弱に甘える女なんかおらんわ!って言って捨ててきたわ」




 ああ……またこのパターンですか、ようはお姉様に情けないことを言いながら男のプライドを見せたがる男達を今まで散々切り捨ててきて死屍累々にしてきたのがお姉様ですから……



 お姉様が言うには、甘えるなら甘える、しっかりするならしっかりする、半端もののワガママなんかお呼びじゃない!とのことらしい、お姉様のほうが漢ですわ……




「……だからお姉様いつもよりも厳しかったのね……」



 ナタリーと私も納得した……




「でもお姉様1つ疑問がありますわ?」




「……まさかとは思うけど女は甘えて弱くあるのがいいとか言う気?言っても無駄よ、それは私のすることじゃない」




「……もちろん分かっていますわ!お姉様がそうじゃないことは!私だって馬鹿じゃありません、でもお姉様、そんなにも強いのでしたら恋愛とか結婚とか必要ないんじゃないんですか?」



 ナタリーの素朴な疑問に、いつもは何でも反論できるお姉様が黙った!?



「……」




「……あれ?お姉様……私何か言っちゃいました?」




「……そうね……私も強いかもしれないけど、本物じゃないのかもね、ここで恋愛なんて一切いらないって斬り捨てられないのだから……」



 私もナタリーもお姉様のつぶやきに正直驚いたのであった……




 とまあこんな話があったのだと、私は今日会った婚約者であるモルガンに話した。




 どうしてあんなに才女で美人なお姉様や、あんなに可愛くて魅力的なナタリーが上手くいかないのかなーと。



 するとモルガンは言う……




「確かにさあ、テレーズお姉様はキレイだしカッコいいし、しっかりしていて頭もいいし、もうマジで憧れだよな~」




「どうせ私はブスでカッコよくもないし、頭の悪いですよーだ」



 私が冗談でひねくれると、モルガンは慌てて



「いや……そういう意味じゃないから!(笑)でもさあテレーズお姉様と仮に付き合ったら俺じゃ怖くてびびっちゃうなーしっかりしすぎ(笑)」



 こんなことを言うので私が、



「どうせ私はたしいたことないですよー」とひねくれて言ってやった。



 モルガンは慌てて「そういう意味じゃないから!」



 もちろん私も冗談である。さらに、



「ナタリーちゃんはマジで可愛いよなー俺でも守ってあげたいとか思ちゃうよ、内心は結構しっかりしてるのも知ってるけどね、でもさーあれだけ可愛いと冷や冷やしちゃうよ」




「どういうこと?」




「だってほかの男にとられそうじゃん」




「……どうせ私はモテない安心できる女ですよーだ」




「……いやいやそういうことじゃないから!俺はフランソワと婚約で良かったと思うよ」




 そうなのだ、私も伯爵家の次女、モルガンも他の伯爵家の次男、何て言うかつり合いも取れていて、話も合うので、何だかんだ私は幸せなんだと思うのである。



 お姉様の才女もナタリーのモテモテも羨ましいとは思うけど、私は私でこれでいいかなって思うのである。

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