エピソードに 花宮悠司
僕は親の仕事の都合で転校をすることになった。
転校初日、晴人くんとゆう子が僕の席の隣に居た。
僕は彼を最初見た時、とても儚い人だと思った。何処か遠くを見ているようで、近くを見ているようなそんな不思議なオーラを纏った人だった。
転校してからもう一週間が経った。学校生活には慣れてきた。今日は部活の見学に行き、帰る時間が少し遅くなった。
「え、、、、」
驚いたとかそんなものじゃない。
だって、だって、目の前で自分の友達が腹から血を流して倒れているんだから、、、、
「と、取り敢えず救急車」
僕は急いで救急車を呼んだ。
彼は救急車で近くの病院に運ばれた。
もちろん僕もその救急車に一緒に乗った。
彼はすぐに手術を施された。
刺されてからあまり時間が経っていなかったこともあり、彼は一命を取り留めた。
次の日、学校から帰る途中に病院に寄った。
「悠司、ありがとう」
彼は目を覚ましていた。
「目を覚ましてくれて良かった」
僕は自然と涙が溢れてきた。
そんな僕の背中を彼は優しくさすってくれた。
僕はなんとか落ち着き、ずっと気になっていたことを彼に尋ねた。
「なんで、お腹から血を流して倒れていたの?」
「それはね・・・」
そうやって彼は話始めたのだ。