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ダンジョンマスターはじめマスター  作者: 聖音ユニア
ダンジョンマスターいなくなりマスター

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49/68

明日を生きる今のダンマス

 ドラーゼから語られた過去に、ユイアは思わず言葉を失った。

 アレだけ戦闘狂で、怒りっぽくて、自分のことしか考えてないというか、戦いのことしか頭にないと思っていたドラーゼ。

 しかし実のところ、仲間のため、妹のために、動ける人間だった。

 知らなかった。何も知らなかった。ユイアはドラーゼの優しさも、メルフィのこだわりも、アスヤのことも何も知らなかった。

 逆にアスヤは、自分たちのことをよく知った上で、登用していた。いや、ぶっちゃけあまり知らないにもかかわらず、使いこなしていた。

 過去なんて関係ない。今をどう生きたいかを、汲み取って。


(そんなん……敵わないなあ)


 改めて思う。自分では、自分一人では、ダンジョンマスターなんてやっていけない。

 認めなくちゃいけない。自分一人で、やれることがあまりにたかが知れているということを。


「ドラーゼ」

「なんだぁ、小娘」

「しばらく、ニフィアのお世話してもらえる? 大丈夫、素直だし、ドラーゼに懐いてるから」

「はっ。そんなもん、妹がちっこい頃からやってんだ。余裕だよっ。なあ、ちっこいの。それで、お前は何をすんだ?」

「一層のボス」

「あ? 戦いなら別に、ちっこいの見てても出来んぞ?」

「戦いたい気分なの。ウチは、自分のやることやってから、好き勝手やるから」

「……へえ、らしくなったな、ヘボマス代理」

「あんたも用意しときなさいクソドラゴン。楽しい楽しい、争奪戦は、すぐにやる」


 ユイアの鋭い眼光。エゴむき出しの瞳に、ドラーゼも呼応する。

 唯一、何も知らないニフィアだけが、無邪気に笑っていた。

 もうじき戦いが始まる。しかも今のところ、ユイアたちは後手後手だ。今日の分の仕事を終えたら、ユイアも動く。

 ただ今は、久しぶりの戦闘と、かわいい妹分のような存在が出来て久しぶりにワクワクしている。

 今のユイアなら誰にも負けないだろう。実際、ドラーゼの代わりにユイアが交代し、チャンスとばかりにやってきた冒険者を一瞬で片づけていた。

 その様子をドラーゼは笑顔でニフィアと共に鑑賞していた。


「お姉ちゃん……綺麗」


 人目に見える程度に手加減した神速を、ニフィアは楽しそうに見ていた。

 手加減しつつも切り伏せる姿に怯えはない。むしろ、舞っているようにすら思えた。


「綺麗、か。そうだな、あいつ、戦い方に無駄が無くなりやがった。ここ一か月位か? 随分と様になりやがったなぁ」

「お兄ちゃん、お姉ちゃんのこと、よく知ってる?」

「知らねえよ。知らねえが、あいつがやりたいことはぁ、誰でもわかる。アスヤっていう、ヘボマスがいるんだが、お嬢ちゃんはそいつになりたいんだ」

「なる? アスヤ、お姉ちゃんの、家族?」

「みたいなもんじゃねえの? まあ、なれねえよな、普通は」


 ドラーゼはわしわしとニフィアの頭を撫でる。


「だからあいつなりに頑張ってんのさ。人の力を借りて、ようやく見つけやがった。自分なりの答えに」

「答え?」

「なりたい夢ってのがあんのよ。ちっこいの、お前、俺と同じように家族を失ったんだって? 夢とかあんのか?」

「……わかんない……でも、アシュリーおねえちゃん、言ってた。ニフィアが、家族と思える人が出来たら、その時に、って」

「最初に出会ったにしちゃ、運に恵まれてんな。んじゃあ、お前の家族はユイアだ。よく見てな、あの馬鹿を」

「おにいちゃんは?」

「はっ、俺か? 俺は止めときな。守れなかったんだよ、大切なもんを」

「じゃあ、ニフィアが、お兄ちゃん、守る! お姉ちゃんも!」

「はっはっ、いいじゃねえか。期待しとくぜ、ちっこいの」

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