異世界恋愛書きが乗馬体験をしてみた件
琥珀と申します。
光魔法が使えることがわかって男爵家の養女に迎えられた農家出身のピンク髪ヒロインが、貴族学院でお姉様方ときゃっきゃしているうちに、魔獣襲来やら帝国の闇に巻き込まれる長編やら、超絶美形だけど「顔はいい」と言われがちな王太子が雑な扱いを受ける短編とか中編や、悪役令嬢風味な金髪縦ロールの公爵令嬢カタリナが探偵役だったり死体役だったりする異世界恋愛ミステリを書いていたりします。
ま、要は異世界恋愛書きの端くれとして、なろうの片隅をうろちょろさせていただいておるのです。ちなみに作品リンクはページ下にございます!
ところで、異世界恋愛系作品、乗馬シーンが出てくることがちょいちょいありますよね?
自作にも、乗馬が超得意で魔法もクソ強いけど、礼儀作法がなってなくて「野生の男爵令嬢」と呼ばれているキャラがいたりします。
しかし乗馬、全然身近ではないスポーツなので、ネットで調べたりしつつ、手探りで書いている状態。
お馬さん自体、競馬場に見物にいった時にめちゃ混んでるパドックで遠目に見たくらいだし……
ここはこの際、体験乗馬くらい行ってみるべと探していたら、たまたま出張先の近くの乗馬倶楽部で予約が取れ、無事乗馬体験45分5500円をキメてきたので、体験記をまとめておくのです。
なにかのご参考になりましたら、幸いです。
なお、かなりテンパってたので、記憶違いとかあるかも……
その点、ご了承下さい。
0)まず、体験乗馬をやっている乗馬倶楽部を探そう!
探していて気がついたのは、年会費・月会費を払って会員になるのが前提の乗馬倶楽部がわりと多い!
まあそりゃそうか……ということで、体験メニューが普通にあるところを探していくしか。
伊豆あたりとか観光地が近いところだと、体験メニューを用意しているところが多い気もしますが、都市圏近いところだと会員のみってところもちょいちょいあるようです。
で、適宜連絡して予約をとり、当日用意するものなど揃えて、時間前に厳守でゴーでございます。
私が行ったところは、「ジーンズで普通の靴でもええけど、帽子はかぶってください」と言われて、帽子を用意しました。
1)馬が……馬がデカい……よ!?
無事、早めに着いたので、馬房を見学させてもらいました。
私が行ったときには先生一人の小規模なところだったのですが、お馬さんが十頭くらいいる!
んが、私の身長が156cmなんですけど、馬の背(人間が乗るところ)って、私の身長よりちょい高いくらい!
中にはほかの馬より明らかに大柄な子もいて、そっちは170cmくらいはあるっぽかったです。
ちなみに、引退競走馬のお馬さんもおりました。
2)馬の後ろに立ったり、後ろ側の近くを歩いてはいけない
とりまレッスン開始となりまして、初心者対応が上手な大人しいお馬さんを選んでいただきます。
先生がお馬さんを牽いて、短い坂をくだったところにある馬場にゴー。
外で見ても、やっぱり思ってたよりでけーな……とか思いつつ、後ろにふらふらついてってたら、居合わせた常連さんが「もっと離れなあかんで」と教えてくれました。
馬は繊細な生き物なので、びっくりすると蹴ったりすることもある。
なので、基本、後ろ側からは近づかない。
私もすぐ後ろを歩いていたわけではなかったのですが、いくら大人しい馬でも、しっかり距離とらんとマジで怖いから!という感じでした。
3)というわけで乗るんですがががが……
自慢ではないですが、めっさ身体が硬いのに、こんな高いところにどうやって跨るんじゃい??ってなってましたら、なんか高さの違う平均台的な物体が馬場のすみっこに置いてあり、お馬さんが平均台の間に入る、そんで平均台的なものの上から乗り移る的な流れになっておりました。
大人用の平均台は高さが私の腰くらいだったかな?
平均台に乗ること自体が早くも怖かったですが、なんとか乗ります。
そんで、先生の指導のもと、左手でお馬さんのたてがみと鞍のはしっこをまとめてがしっと掴み、適宜右手を鞍に突くなどして右足から向こうに落とす形で乗り移りました。
たてがみ掴んでいいの!?てびびりましたが、お馬さんはまったく気にせず……
人間の髪と違って、神経ほぼ通ってないそうです。
【重要】お馬さんはたてがみ引っ張られても全然気にしない!
そして左足も平均台から離し、両足のつま先を鐙に入れ、手綱を小指と薬指の間に絡めるようにしてから適宜長さを調節してしっかり持てばOK!
ちなみに、お馬さんのハミ(口元につける馬具)と鞍の間は別途ロープで結ばれており、お馬さんは首を伸ばせない状態となっていました。
競走馬の映像を見ていただくとわかるように、疾走する時、馬は首を伸ばしています。
伸ばせないようになっていれば、急に走り出されるとかないですので、安心ですね!
ままま、思ってたより乗ること自体は大丈夫でした。
こういう補助具がない場合は、たてがみひっつかんで左足を鐙にかけ、でや!っと身体を引き上げて跨る方向なんですかね?
ま、そのへんはYouTubeとかで適宜探してみてください。
4)お馬さんが歩きだした途端にみぎゃあああ!?
そんで、先生から解説がありました。
手綱はサイドブレーキ兼ハンドル。
両手で引くと、馬は止まる。
サイドブレーキという表現は、緊急時にというニュアンスもある感じですが。
右だけ引くと右方向へ曲がる。
鐙はつっかけとくだけで、体重はかけない。
膝頭を鞍に縁にくっつけるようにして締めて、それで身体を支える。
ぽんとくるぶしで馬の腹を叩くと歩きだしますよと教わって、ゴーです。
お馬さん大人しいし、視線高いのはちょと怖いけど、案外いけるんでは!?と思っていたのですが、動きだしたら怖い怖い怖いいいいい!
つかまるところってないんですよ馬。
あえて言うならたてがみ?とか首?ですが、たてがみは掴むのに心理的抵抗があるし、鞍は背中の真ん中なので、鞍に座ってる以上、首までめちゃめちゃ遠い。
というか、うっかり前のめりになったら、そのまま転がり落ちそうな予感しかしない。
とにかく姿勢良く座っているしかなく、そして腿を締める…締める…とぐるぐるしているうちに、お馬さんは先を歩く先生に牽かれてトコトコ歩いてくれるのですが、こーわーいいいいいいい!
自分の身長より高い位置に吊られた丸太のブランコにまたがり、つかまるものはなんにもないって状況を想像してみてください。
普通に怖くないですかそんなん!?
しかも跨ってるのは、動かない丸太じゃなくて生きている動物なんですよ!?!?
というわけで、「おっこちたら鞄の財布の中に保険証があるのでソレで!」とか「クリアファイルの中に明日の仕事の連絡先があるので、連絡お願いしますうううう!」とかようわからんことを叫びちらかす私。
先生はアハハと笑いつつ、お馬さんは無の境地でトコトコ。
……アホな客でほんますみませんでした。
5)馬は腰で前に進める
ま、そんな感じでも馬場をゆっくり回っていると、次第に慣れてきます。
そこで教わったのが、「馬は腰で前に進ませる」ということ。
馬の動きに合わせて、腰を前後に揺らすことで、馬は適宜トコトコしてくれるということでした。
【重要】馬は腰で前に進ませる
ちな、左右に揺らすのはあかんとのこと。
軸が左右にぶれたら、普通に転がり落ちそうですしね……
いうてようわからんな……と思っていたら、馬場を見下ろすところになぜか置いてある、公園によくあるパンダちゃんとかの下に大きなバネが入っていて、びよんびよん揺れる遊具で、さっきの常連さんが両手は水平に伸ばし、膝を曲げて足を浮かせた状態で、前後に揺らしてはる!!
そうかそういう動きか!!ということで、ようわからんなりに真似っ子させていただきました。
勘所がわかってないので、うまく伝わってないのか、気がついたらお馬さんが途中で止まったりしてしまったのですが、またぽんとくるぶしで叩いて、頑張って真似っ子すると進んでくれます。
で、このあたりで先生がおっしゃったのは、「馬に『お願い』してはならない」ということ。
競技だと鞭とか拍車も使うんでしょうが、とりま腰で前に進め、手綱で方向を示し、人間が頭、馬は脚として一体となって動くのが人馬一体の基本。
自分の動きで馬を思いのままに操ることを目指すべき、ということでした。
【超重要】馬には「お願い」してはならない
既発表作品で、乗馬超得意キャラであるジュリエット・フォルトレス男爵令嬢が愛馬黒王号に「お願い! 黒王号!」と叫んで、黒王号が青銅製の神殿の大扉をぶち破るという場面があったのですが、帰京して速攻「ぶち抜け! 黒王号!」に変更しました。
言葉をかけるということ自体が乗馬ではありえない行為のようですが、「お願い」はやっぱりおかしいということで。
余計にジュリエットの野生度が上がった気がしますが、もともとジュリエット&黒王号は、王太子+護衛を襲ってきた魔獣の群れを速攻殲滅するような人らなので、誤差の範囲内……
それにしても、競馬の騎手がやるモンキー乗り(腰を浮かせて前傾姿勢になるやつ)は、すねとくるぶしで馬体を挟んでいる状態だからまだいいとして、貴婦人がやる横乗りはそもそも跨いでいないのに、どうやって馬を動かしているんでしょう。謎すぎる。
ちなみに、横乗りは膝裏をひっかけられるところがついた専用鞍でないと無理無理無理。
専用鞍があっても、普通に跨って乗るより難易度ははるかに高いそうです。
というわけで、ほかの人が跨って乗った後に、鞍を変えずに横乗りをするような描写はありえないので、そこはご注意いただいた方がよろしいかもです。
6)お馬さんは虫が超嫌い
というわけで、明日は腿の内側めっさ筋肉痛やな……と思いつつ、若干は慣れてきた私。
お天気もよいし、馬場をぐるぐるしているだけとはいえ、トコトコ歩くの、なにげに楽しい。
んが、お馬さんがなんかやたら振り返るように首を曲げ始めました。
怖いから! やめて余計な動き!!
すると、先生が馬場のあちこちになぜか置いてある、超巨大キンチョールのスプレーをぷしゅー!
お馬さん、虫が寄ってくると、すごく嫌がるようなんですね。
でも自分では追い払えないので、巨大キンチョールの出番ということらしいです。
先生曰く、騒ぐいう字には馬に虫がついとるじゃろ?とのこと。
ほかにも「馴」「駒」とか、馬編漢字トークをしつつ、トコトコ……トコトコ……
それにしてもお馬さんてなかなか謎いです。
たてがみ引っ張られても平気。
キンチョールも平気。
私がみぎゃみぎゃ叫んでいたのもスルー。
でも虫は絶許。
勘所がいまいちわからん動物やな……もっと知りたい……
は! もしかしてこれは……恋!?!?!?
7)というわけで降りねばならんのですよ
楽しい時間はあっちゅう間に終わりまして。
今度は降りるということをやらんといけんのですが、さっきの平均台に戻ればいいのかな??と思ってたら、私の怖がりっぷりがアレすぎだったのか、「普通に降りた方がええんかなー」と先生が迷ってらっしゃるうちに!膝を締める力が抜けていた!!
と、なると、お馬さんは「今日の仕事、もう上がりですよね?? 直帰しまーす!」とばかりに、勝手に馬房の方へ、坂を上がり始めたああああ!
坂ぁあああああ! 坂こええええええ! 下はコンクリだしいいいい!(※わずか数メートルのゆるっとした坂です)てなっているうちに、馬房の前で止まるお馬さん。
というわけで、平均台ナシで降りることになりました。
このへん相当うろ覚えなのですが……
またまたたてがみを左手でがしっと掴む。
左側の鐙でしっかり立つ。
右足を後ろへ回す形で左足に揃えつつ、鞍の上に腹ばいになるように上体を伏せる。
左足を鐙から抜き、ずるずるっと滑り落ちるかんじで降りる。
例によって、みぎゃああああ!?超みぎゃああああ!?ってなりましたが、無事着地できました。
ありがとう先生!! ありがとうお馬さん!! ありがとう摩擦力!!
それにしても、乗馬は降りるところまでしっかりやらんといかんですね。
ジュリエットが初登場する作品(『「王太子」とかけて「種馬」と解きます』)で、乗馬で大活躍した後に、緊張の糸が切れてしまって降りる時にコケて捻挫するという場面を書いたのですが、あれはあれで正しかったのかも。
というわけで、無事終わった人生初の乗馬体験ですが……
いやもうほんと面白かった。またやりたいです!
心配していた筋肉痛も、そこそこ来ましたけど、仕事に支障をきたすほどではなかったです。
馬場の中ぐるぐるでもこんだけ面白いんだから、外乗りとかめっちゃ楽しいやろな感すごい。
なんか倶楽部によっては、浜辺を外乗りできるとことかあるらしいんですよね……マジか。
ま、私の場合は、相当慣れてからのことですが。
ところで、先生も常連さん達もめっちゃ美脚!
下腹部〜腰回り〜内腿の筋肉をとにかく良く使うので、乗馬をしていると、女性の更年期障害、男性の前立腺まわりのトラブルなども出にくくなるそうです。
今、住んでいるところだと、通えるところに乗馬倶楽部がないのがアレですが、先生がおっしゃるには、子供でも老人でも、運動が苦手とかも関係なく、誰でもできるのがええところだそうです。
仕事の関係で、今の場所から動きにくいんですが、リタイアしたら、お馬さんに乗りにいけるところを選んで暮らすのもええかもしれんなぁ……
ちゅうか、この際、なろうで一山当てて、とっとと早期リタイアできんかしらららら……
なにはともあれ、もしお近くで乗馬体験が出来るところがありましたら、ぜひぜひ!異世界恋愛書きな方もそうでない方も、オススメでございます!
2023.12.14追記
能勢様から「先生の言ってることが自分の時と違う。自分の時は馬が思い通りに動いたときは都度褒めるように聞いたんですよね。なので某スタンド使いを褒めるようによ〜しよしよし!って声出しながら叩いてました。ちなみに人間の力だと叩かないと馬に伝わらないとのこと。乗ってたらわかるけど馬の筋肉って凄いからね。虐待じゃないからね。」とのコメントを頂戴しました。
確かになんかえらい距離感違う…!?
初心者への教え方、色々流派があるっぽいです??ということで…