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お題シリーズ6

迷子 双子

作者: リィズ・ブランディシュカ



 俺は通話口から聞こえてくる声を聴いて、呆れていた。


 前から馬鹿だと思っていたが、まさかここまで馬鹿だったとは思わなかった。


「えーんえーん、おにーたん、どこ!」


 近所のスーパーの中、馬鹿な弟が、迷子になったらしい。


 弟はすぐ、電話で俺に助けを求めてきた。


 馬鹿な弟にも分かりやすいよう、簡単に書いた地図をもたせて、何回も道順を説明したというのに。


 迷子になるとは。


 前々からたびたび迷子になる弟を、これじゃいかんと思った両親が、あれこれやって、まず同じスーパーの中でお使いさせることにしたのだが。


 まさか近所の慣れたスーパーの中で、こうなるか。


 両親と共に最初に送り出した時は、大丈夫そうに見えたのになぁ。


 数分後、全然大丈夫じゃなくなっていた。


 まったくなんでこんな何だか。


 どこに行っても俺は一度も迷った事がないのに。


 だって弟と俺は、双子だぞ。


 顔はそっくりだし。


 中身だって同じはずだろ。


 俺はちょっと先に生まれてきただけの兄で、あいつはちょっと後に生まれてきただけの弟なんだから。


 俺は呆れながら、現在地のヒントを聞き出して、迎えにいくために通話を切った。







 お兄ちゃんとはぐれちゃった。


 今日は一人で頑張れると思ったのに。


 途中までうまくいっていたのに。


 ぜんぜんできない。


 お買い物できない。


 迷子になってる。


 一人でなんて無理だったんだ。


 双子だからできるはずってみんな言うけど、無理なんだよ。


 だって、子供の頃からお兄ちゃんが傍にいたから。


 生まれた順番が違うだけだっていっても、僕にとってはお兄ちゃんで上の人なんだ。


 だから、ついつい日常で甘えちゃう。


 そして、出来ない事が増えていっちゃう。


 どうしてこうなっちゃうんだろうな。


 僕は泣きながら、遠くからお兄ちゃんがやってくるのを眺めていた。



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