「思い出話」 (第6話)
僕が歴史の勉強をすると、天変地異が起こると言う話はあまりにも有名だ。よって、二時間目の間はぼーっとするしかない。今僕は日本を、いや世界を救っているのだ。
ここで「地球を」とは言わない。僕はなんて謙虚なんだろう。
下らないことを考えてる間に二時間目が終わり、無事世界は守られた。
だが問題はここから。英雄天野翔太の平穏を脅かす、二人のモンスターがこちらに向かってきている。モンスター注意報発令中。
「いつから居たんだ?びっくりしたぞ」
「一時間目から」
「一時間目!?なんで挨拶しに来なかったんだよ」
「騒ぎそうだったし」
「まあ。いいけど」
猛が問い詰め、湊が後ろから睨む。事情聴取されてる気分だ。カーテン越しの光が卓上ライトの役割を担っている。カツ丼があれば完璧だったのに。
「今日の給食なんだっけ」
「親子丼」
「チッ」
「なんでだよ。親子丼うまいじゃん」
猛は、物事を美味しいかどうかでしか判断出来ない。テープより澱粉のり派な理由は、美味しいかららしい。あほだ。
「お前、変わらないな」
「それほどでも」
あほだ。
「そう言えば、土舘 細花さんって知ってる?」
「土舘?聞いたこと無いな」
「湊は?」
「5組だった気がするけど。怪しいな。」
「5組って言うと......。次の授業で合同か」
「で?誰なの土舘って」
「こないだ捨て猫拾ったんだけど。その子も拾いたそうだったから、見に来ないかって。住所渡したいんだよ」
「そう言えば猫好きか、お前。俺が勉強してる横でずっと猫の動画見て、うるさかったもんな。」
「オレなんか今日暇か?って言われて、遊ぶと思って行ったら2時間以上迷子の猫探しさせられたんだぞ」
「良いじゃん。結局見つかったし、蒲焼きさんあげただろ」
「蒲焼きさんで満足する訳ないだろ。せめてキャベツ太郎だろ」
「どっちも太郎じゃねえか。二人とも落ち着けって、と言うか次の授業 美術室に移動だぞ」
「やばっ!何が要るっけ?久しぶりすぎて」
「筆箱ありゃなんとかなるって。最悪オレが貸すし」
こうして教室を後にした。因みに教科書すら要らないらしい。つるっぱげを書くのに教科書なんて要らないんだろう。
なんだよ。つるっぱげを書くって......。




