表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

「一歩」 (第4話)

 昨日、捨て猫を拾った。最初は母さんに反対されたものの、半ば脅すような形で、「1日授業に出る」を条件に認めてもらった。


 とは言ったものの、いつ登校するかはまだ決めていない。只、2学期は後一週間程度で終わってしまう。そこまでには行かないとまずい。


 逆に考えれば、終業式は半日で帰れる。穴場と言えば穴場なのだが、果たして終業式は授業と認められるだろうか。何故あの時の僕は「終業式に出るから」と言わなかったのだ。


 まあ、後悔は後だ。まだ授業と認められる可能性もある。そうとなれば、裁判長に交渉しに行こう。分かってるとは思うが、この場合の裁判長とは母上である。母上は今、一階で晩御飯を作ってる所だろう。チャンスだ。


「裁判長!ご飯手伝います!」


「嬉しいけど、今日買ってきたお弁当よ。後、裁判長って何?」


「いっ、いえ。なんでもないっす......」


 作戦は失敗だ......。


 失念していた。弁護士無しで裁判に行くとは、僕はなんて愚かなんだ。そうとなれば、弁護士に依頼しよう。この場合の弁護士とは、父上のことである。父上は今ソファで新聞を読んでいる。チャンス!


「父上!肩揉みましょうか!」


「嬉しいんだが、先週仕事帰りにマッサージ屋さんに行ってね。その日から肩こりが全く無いんだよ!ハハハハハハ!」


 作戦は失敗だ......。


「それと、父上ってなんだ?半年位前まではパパだったじゃないか。父さんに変わっただけで、寂しいのに......」


「ハハッ冗談だよ......」


 中2でパパと呼んでいた、黒歴史を蒸し返されるとは。僕の心はもうボロボロだ。ここは潔く諦めよう。


「学校、明後日行くことにしたよ」


「そう、頑張ってね」


 迎えた登校日当日。早く起きすぎてしまった、まだ5時半だ。取り敢えずてんに朝御飯をあげ、ついでに僕も朝御飯を食べた。充分過ぎる程、荷物の確認をしてたら6時半になっていた。


 予め言っておくと、僕は一年近く勉強をしていない。なので、担任の先生には授業に出ることと同時に、各教科の先生が授業中僕を当ててこないよう、根回しして欲しいと伝えてある。


 そろそろ7時。家を出ようと言う所で、母さんが言った。


「正直、翔太の性格的に終業式に出るって言うかと思ってたの、お母さんそれでも良いと思ってたんだけど。成長したのね」


 遅いよ、母さん......。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ