「時間稼ぎ」 (第2話)
誤算だ。
「今日は月曜日、だがちっとも憂鬱じゃない。」なんて言ってたが、今は少し憂鬱だ。
格好つけた言い方をしたのが裏目に出た。恥ずかしいが過ぎた事は仕方ない。いや、厳密に言うとまだ引き返せる。
が、良くも悪くも一度決めた事は貫き通す性格だ。不登校の理由が無気力とは言った物の、学校は自分の意思一つで休める場所じゃない。親や担任相手と、数々の死闘を繰り広げて来たのだ。
誰もが一度はあるだろう、頑張らない為に頑張ると言う矛盾、それを深く実感した。つまり、思い返せば最初からおとなしく学校に行っておけば良かったのだ。
「一度決めた事は貫き通す」一見格好いいが、悪く言えば頑固と言う事だろう。
大きく脱線したが、何が憂鬱なのか、何が誤算なのか、それは「今から軽いジョギングに出かける」それだけだ。勿体ぶりすぎてハードルが高くなってしまった気がする。勿体ぶったつもりは無いが、脱線は時に勿体ぶってるようにも見える物。
その違いが分かるのは結論を聞いた時だろう。
なんて言ってたら、もう靴を履き終わりそうだ。少しの間させてくれ。時間稼ぎってやつを。
人間、結果が変わらなくても「後でやろう」「明日やろう」と言って、先送りにしていく生き物だ。
「小さい頃、お爺ちゃんの盆栽を壊してしまい、後でばれると分かりながら隠した」そういう経験は無いだろうか。
俺の爺ちゃん盆栽やってねえ、って思った奴は一回○ね。比喩だよ、比喩。
口が悪くなってしまったが、「お爺ちゃんの盆栽」の部分はお父さんの壺から友達のおもちゃまで何でも良い。
下らない時間稼ぎに付き合ってくれてありがとう。靴も履き終わり準備万端だ。
「よしっ行くか」
「ガチャッ」
「寒いな。やったーーーー!!!!!」
何が「やったー!」なのか、混乱してる人が9割だろう。答えは簡単だ。寒いから上着を取りに一度靴を脱ぐ。
つまり時間稼ぎだ。靴を履いている途中、勿論よぎった「寒いから上着いるんじゃね?」と。
只、したくなってしまったのだ。時間稼ぎってやつを。
大体の設定だけ決めて、細かいストーリーは決めずに書いているので、まさか第2話で家を出てないとは思いませんでした。




