10-1 TS美少女とお泊まり会
待ちに待った夏休み初日。
今日は朝一から久しぶりに病院へ、メス化状況のカウンセリングのために呼び出されていたのだが。
恋人ができた旨を伝えるなり、カウンセラーさんはにっこりと微笑んで、ごく短時間でメスっぷりについては合格判定。すぐに解放されてしまった。
まあ、そうなりますよね。
もう意地を張るのもやめました。
TSした当初は、まさか自分に彼ぴっぴなんてものができるなんて、夢にも思っていなかったのに。
素直にメス堕ちしてしまえば、こんなに幸せな日々が待っていたなんて。
病院でのカウンセリングの後。
ジリジリと暑い日差しの中、もちろん私は大好きな彼氏である和也の家に入り浸り、クーラーの効いた部屋で仲良く宿題を片付けている。
クラスメイトたちとも少しは仲良くなってきていたから、夏休みで学校で会えないことに若干の寂しさもあるにはあるが。
みんなとメイクの話とか恋バナなんかするのも、だんだん楽しくなってきていたし。
でもやっぱり和也と過ごせる時間が一気に増えるから、お休みってやつは最高だ。
一夏の思い出……で済ませてやるつもりはさらさらないけど、まあ童貞の和也が期待するような、素敵なラッキーイベントも当然あるだろう。
あるね。あるよ。
だって夏だし!
「お邪魔しまーっす! ……あれ? 意外と真面目に勉強してんね。やるじゃん二人とも」
もうお昼近いのにパジャマ姿で、ノートか何かを持って現れた、和也の妹であり私のクラスメイトでもある桜ちゃん。
がっつり宿題を進めていた私たちを見て、なんだかちょっと残念そうな顔だ。
イチャイチャを見せつけられてつらい、なんていつも言っておきながら、無ければ無いで文句を言うとは。
「いやノックしろよ……まあいいや。紬の宿題片付けるスピードがすごくてさ、さすがにオレも焦ってんだよ」
「へへへ、宿題なんて早く仕上げて、和也といっぱい遊びたいからさあ」
和也と私は一旦ペンを動かす手を止めて、休憩がてらに桜ちゃんの相手をする。
さりげなく机の下で、和也の足に自分の生足を絡めてやることも忘れない。
私の方は、昨日の夜の時点ですでに、かなりの量の宿題を仕上げきっている。
こういう手際はやはり、かつての社会人生活で培われたメリットだ。
状況に応じて質より速度。
進学やらを考えていない私にとっては、それで充分なんだから。
「ふーん? まあ紬ちゃん頭いいもんねえ。で、紬ちゃん。ちょっとこの問題教えて欲しいんだけど……」
期末テストで当然学年上位だった私と対称的に、成績はどうやらイマイチらしい桜ちゃんは、和也に似てなかなか根は真面目ではあるらしく、ちゃんと宿題をやりはじめているようだ。
感心感心。
「はいはい。写してもいいんだよ桜ちゃん? おんなじ宿題なんだし」
でも私が自分の宿題のノートをそのまま渡そうとしたその手を、和也の大きな手ががっしりと抑えつけてくる。
あー……やっぱりこの手も大好きだな。はやくイチャイチャしたいよ……。
「おい紬、オレの妹を甘やかすなよ」
「うざっ! お兄ちゃん、わたしのラッキーを邪魔しないでくれる?」
いきなり辛辣な言葉を吐き捨てる桜ちゃんだが、まあ喧嘩しないで。
お勉強なら私に任せておきなさい。
なにせ私にとって高校生は二回目。わからない問題なんて基本的に存在しないのだから。
「はー、できた! ありがとう紬ちゃん。マジで助かるよお。……あ、そういえばお兄ちゃん、あの話はちゃんとした?」
しばらく真面目に勉強を続けた後、桜ちゃんが背伸びをしながら話をはじめる。
悪く言えば和也とのおうち勉強デートを邪魔されているわけだが、桜ちゃんに対してはそういう悪い感情は浮かんでこない。
この子、コミュ力つよつよなオーラでもまとっているのだろうか。
「んー? なに? あ、もしかしてもう腕が治るとか? キャンプできそうなの?」
「いや、まあ腕は今週末で包帯も取れるだろうから、キャンプは来週あたりにな」
真面目な和也はまだペンを動かし続けているが、なんだかその顔がちょっとそわそわしている感じだ。
おや、これはなんか、私にもいいことあるのかな?
「……そういうのいいから、早く誘いなよ童貞」
兄には異様に厳しい桜ちゃんに音がするくらい強く背中を叩かれ、和也はそれを睨み付けながらも、でも顔はどこか嬉しそうな雰囲気だ。
一体なんの話なのやら。
「桜、お前は後でしばくからな! ……よし、あのな紬。実はな、明日うちのかーちゃん、仕事の出張で帰ってこねーらしいんだわ」
なんですと!?
夏休み早々に、そんなラッキーイベントが!?
私はぴょんと立ち上がり、ああ良いこと思い付いた!とばかりに手をたたく。
「へ、へえ!! それなら私、良かったら明日は泊まりに……!! あ、やば、でも私がっつり生理始まったばっかりで……」
一瞬浮かれてしまったが、本当に申し訳ないことに、まあそういうことだ。
私の場合、生理痛は全く大したことがないのだが、なかなか壮絶な量の出血があるので、さすがに明日となると厳しい。
ぴくっと、和也の表情が固まったのがわかった。
あああああこれは……なんとかしてやらないと、和也がかわいそうすぎる。
絶対めちゃくちゃ期待してたはず。
生理なんて、思春期真っ盛りの童貞男子の側からすればきっと、たちの悪い言い訳でしかないはずだ。
夏休みに親が不在。
そんなのもう、頭の中はピンク一色だろうし、そのほうが健全である。
ちゃんと愛しているのなら、生理だろうが何だろうが、何かしらできる限り、少しでも和也のその期待に報いてやらなければ……。
「ははは! お兄ちゃんダサっ! 残念、童貞ご卒業ならず! はははは! まじでうける! じゃあわたしも、友達の家に泊まりに行かなくてもいいね。ははは! ばーかばーか!」
あまりにも辛辣な桜ちゃんの笑い声を聞いて、私の覚悟は決まった。
なあに。私はそこらの清純ぶった美少女とは一線を画す存在。
生理中だろうと、あんなことやこんなことなら、不可能ではないはずだ。
「お、お邪魔しまーす」
「お、おう、いらっしゃい。……まあ、ゆっくりしてけ」
翌日の昼過ぎ。
万全の準備を整えた私は、食材を入れたビニール袋と着替えなんかを持って、和也の家を訪れた。
この和也の照れた表情からもわかるとおり、当然、今日の私は和也のお宅へご宿泊の予定だ。
そもそも、えっちがあろうがなかろうが、親がいない夜に泊まりに来ない彼女なんて、高校生カップルとして許されるはずがない。
無駄毛の処理も完璧。昨晩手鏡で隅々まで確認したから間違いない。
下着は控えめに少しだけスケベなやつ。
部屋着は男子憧れのふわふわで、かつ生足をしっかりさらけだせるやつ。
風呂上がりに使うパックは今日はいらない。男はそういうの見て幻滅する人もいるから。
メス塾の先生、こんなことまで教えておいてくれて、本当にありがとう。今は感謝しています。
「へへ、和也の匂いだあ……ね、ちゅーしてよほら、ちゅー」
さっそく玄関で和也に抱きつきながら、イチャイチャをスタートさせる。
正式に付き合いだしてからというもの、毎晩和也からメッセージやら音声通話なんかで愛情表現をいっぱいもらっているせいで、私のほうもイチャイチャに対して抵抗感が全然なくなってきてしまっている。
和也って意外とけっこうマメなやつみたいだ。
童貞のくせに女心をちゃんとわかってるっていうか。いやまあ、私は元は男なわけだけど。
会うたびにキスをして、イチャイチャして。
毎晩寝る前は必ずスマホ越しに、大好きだよ、と伝えあう生活。
メス気持ちいい。
メス生活最高。
もう男になんて、もし元に戻れるとしたって、意地でも戻らないからね。
私と唇を重ねるために、少し身をかがめてくれている和也の硬く短い髪を、愛情を込めてなでなでしてあげる。
期待しておいてくれよ和也。
間違いなく、今日は私が素晴らしい夜にしてみせるから。
だけどちょっとだけ不安なのは、元は男だった自分が、和也のアレを見たり触ったりなんて本当にできるのか? という点。
どうすれば喜んでもらえるかは、もちろん元男として熟知はしている。
だけどそれを自分がしてあげる側になるなんて、かつては夢にも思っていなかった。
だけどきっと、私ならやれる。
何度もイメトレはこなしてきたし、気合いだけはばっちりだ。
今日は日頃の感謝を込めて、しっかりばっちりキメてやるから。
本番以外はえっちな動画で完璧に予習済み。童貞の和也はおとなしく、全てこの私に任せておくといい。




