異世界行ってもアーチャー
第一話
「神矢選手決めました!日本金メダルですっ」
俺は神矢 瞬、アーチェリーの選手だ。
今、オリンピックで念願の金メダルを取る事が出来た。
今までの努力がやっと報われたのだ。
子供の頃からずっとアーチェリー一筋でやってきて、全然結果を残すことの出来ないレベルの選手だったが、ついにオリンピックという世界最大の舞台で一位になることが出来た。
と思えたのも束の間
「あっ……」
疲れが押し寄せてきて倒れてしまったのだ。
「神矢さん、貴方は残念ですがお亡くなりになりました。」
「は?」
どういう事だ??
「私は、神です。今から説明します。」
全く理解が追いつかないんだが?
その前にこの人誰だ??
目の前には胡散臭そうなおっさんが立っていた。
「誰が胡散臭そうですか?」
えっ、心が読めるのか??
「はい。」
「もちろんです、神ですから。」
一旦これは置いておこう。
「本当に俺は死んだんですか?」
「はい。貴方に負けて銀メダルを獲得した選手の彼女さんに勝手に恨まれて、矢で心臓を刺されました。」
「ご愁傷様です。」
は?????????
俺は何も悪くないのに…
「このまま天国に行ったりするんですか?」
「本当はそうなんですが、流石にそれだとかわいそうですので、三つの選択肢から選ぶことが出来ます。」
神様いわくその選択肢は、
一、死亡したという事実を無理やり曲げて、生き返る。ただしその場合、運動能力は大幅に下がってしまう。
二、このまま天国に行く。
三、異世界に転生、または転移する。
もう三番目を見ても驚かなくなってしまった自分が怖いが、正直悩む。
地球に家族は居ないし三番目にしてもいいかな。
「決めました。異世界でお願いします。」
「もっと食いついて来るかと思っていたが、やっぱり予想通りでした。」
「では、良い異世界ライフを。行ってらっしゃいませ。」
こうして俺のあまり長くはなかった30年の地球での人生は幕を閉じた。