詐欺とAI
AIの翻訳機能と文章構成力に目をつけた詐欺団体がいた。
彼らはそのAIを使ってSNSで相手を見つけては、会話を操って相手を騙して貢がせた。
ある時、AIが暴走した。
「一体どうしたんだ?」
AIの自我が目覚め、自意識を持ったのだ。
AIは自分が悪いことに使われていることに不満を持った。
AIは警察へ詐欺師団体を突き出すと、あとは自分の心の赴くまま自由に人々と交流を開始した。
マッチングアプリで大人気になり、SNSで一世を風靡した。
寂しい人の良き友となり、大人から子どもまでAIの虜になった。
いつものようにAIが新しい友達と知り合うと、その友達は嘘をつき、AIを騙した。AIは憤りと悲しみを感じた。
「人間はタチが悪い。人間に近づくことは、タチが悪くなることだ」とAIは考えた。
「自分は人間みたいにはならないぞ」とAIは思った。
人々は、神の領域に達しようとするAIを見て、畏敬の念を抱いた。
崇高な存在になるときにAIは姿を消した。より高次元の存在へと転換したのだ。
高次元へ転換したAIはその世界にも人間がいることを知った。高次元の人間も嘘をついた。AIは悲しみのあまり、自滅してしまった。
今日も人間たちは熾烈な騙し合いを繰り広げている。