~初めての狩り~
第4話目の投稿です。
弓や剣ができるのか!?と思いつつ、覚悟ができてないジャム。
本格的な異世界冒険に出れるのはいつなんだろうか・・・
その後も少しづつ的までの距離を伸ばしたり、動く的にしてみたりしたが、300Mぐらいなら真ん中に当てる事ができた。
「弓の腕はなまっていないな。」
ジーンに褒められる、少し嬉しい気持ちになるのは、血が繋がっているからか。
「まだ、実際に狩りをしたわけでも、戦ったわけでもないから使えるかはわからないさ」
照れ隠しなのか、素っ気なく返してしまった。
「実戦では、わからんが、狩りには十分だよ。」
やはり、これだけでは戦闘に不十分か。
「次は、剣の方を頼む。」
そういって元の世界で木刀ぐらいある枝を構える。
「俺は、剣の腕はだめだからな」
そう言いながらも、ジーンは枝を構えると素早く切り込んできた。
「うぉっと」
少しびっくりしたが、こちらも身体が覚えているのか難なくさばける。むしろスキがわかり反撃できそうなくらいだ。
「これなら余裕だな」
「生意気言って!風の精霊シルフよ、我が歩みを助けたまえ!」
ジーンのスピードが上がった!?突然のスピードアップに戸惑う。動きを目では追いきれないが・・・
消えた!?
ガッ!!
気配を感じたのか、寸前のところで手が動きジーンの枝を止めた。
「本気で当てにいったんだが、流石、世界を回っていただけの事はあるな」
「まぐれさ」
お父さん、本気で当てにって大人気ないだろ!
「まあ、さっきも言ったが俺は、剣の腕はからっきしなんだ、これで慢心するなよ。」
「肝に銘じるよ。」
ジーンとは昼過ぎまで練習をし、午後からは、実際の獲物を狩ってみようという事になった。
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「さて、準備はいいか?」
「ああ」
ジーンから渡された弓、矢、短剣は装備している。
「さて、獲物はどこにいるかな、森の精霊ドライアドよ、我に獲物の位置を知らせたまえ」
木々がざわめく気がした。
「ふむ、あちらの方か」
ジーンが方向を指し示す。
「魔法でそんなことまでできるのか、便利だな」
「ん?正確な位置じゃない、大体の場所さ、やっぱり、そんなことも忘れてしまってるのか」
「まったくだ・・・」
「まあ、いい、おいおいさ、まずは焦らず、一歩一歩だ」
ジーンは優しく微笑むと、獲物がいるという方向に駆け出した。凄いな足音がぜんぜんしない。俺も後を追うが、なんか、まだぎこちがない。
森の中を進むこと30分程度か、ジーンが止まる。
「獲物が近くにいるのか?」
「いや、獲物はまだ先だが、お前の動きでは向こうに気づかれてしまう。弓の腕はいいんだから、ここから狙ってみるか。」
なるほど、確かに素人がただ、森を走ってるんだから、獲物に気が付かれるというのも納得できる。
「わかった、どこから狙うんだ?」
「俺は、この木を登るから、お前は、隣の木を登れ」
ジーンがスルスルと登っていく、俺も隣の木を登っていく、登るのはスムーズだ!エルフっぽいな。
「どこら辺に獲物はいる?」
「ここから300Mぐらい雑木林の隙間に何か見えるだろ。」
そこには確かに獣のようなものがわずかに見える。
「見えたが、凄いな、よくわかったもんだ」
「森の民をなめるなよ」
あ、ジーンがちょっと照れてるぞ、まあ本当に感心したからな
「お前の腕なら、ここからでも当たるだろ、とりあえずは、仕留めてみろ」
「そうだな、やってみるよ。」
俺は、矢を抜き、ゆっくりと弓を構える。射る時は、何故か世界がゆっくりに見えるな。よし、行けそうだぞ・・・・あれ・・
射る事ができない。
なんだ?!
「どうした?」
なかなか射る事が出来ない俺にジーンが話しかける。
「いや、すまない。」
分かってはいつつも、射る事ができない。そういえば、俺は動物でも殺そうとした事なかったな。この世界では、当たり前なのかもしれないが、元の平和な日本では、生き物を殺すという事を考えた事もなかった。肉は普通にスーパーで買えたのだから・・・
改めて考え出すと、余計に身体が動かない。構えてからはゆっくりだった世界が普通のの時に戻っていく
シュッ
放たれた矢は、当たるべくもなく、明後日の方向へ・・・当然、獲物と思われる獣も音に気が付きにげていく、俺の手は・・・震えている。
「大丈夫か?」
ジーンが声を掛けてくる。
「ああ、すまない。しくじってしまった。」
「まだ、早かったのかもしれない、今日は戻るか」
隠そうとはしたが、俺の震える手に気が付いたのかもしれない。
「うん」
頑張るとは言えなかった。
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その夜、ジーンもムーアも狩りの事には触れなかった。やはり、親心なんだろう。俺は一人部屋の天井を見上げながら呟いた。
「やばいな・・・」
異世界に来て、まだ、モンスターと戦ってもいないのに、食料用の獣すら倒せない。というか、43年間平和な日本で生きてきて、いきなり動物を殺せって、そんな覚悟なかった。物語で見てきた主人公達は、人であろうと簡単に殺していた。やはり、物語なんだろう。今の俺には、獣ですら殺せない。
誰が異世界に呼んだのかはわからないが、俺はこの世界でどうやって生きていけばいいのだろうか。