第88話 強化其の一
「・・・なんつって。」
「ははは。それはないっスよ・・・」
今日もガジャとたわいない話をしながら教室に入る。
異変はそこから始まった。
「おはようっス。エスさん」
「うん。おはよう」
「えっ・・・」
隼が座っていた席に、白い髪の女性が座っている。
「おはよう。慎太郎君?」
「お、おはよう」
「どうしたの?声が吃ってるよ?」
「いや、何でもない」
「慎太郎君には、コハクちゃんがいるんだから私、関心しないな~」
白い髪の女性はいつの間にか俺との距離を詰めていた。
「それじゃ。私これから用事あるから」
彼女が教室から出て行ったのを見届けると、手に何か握られている事に気がついた。
手に握られていた紙を広げると、綺麗な字が書かれている。
『話がある。ついて来て。』
「ちょっとトイレ。」
俺は指示通りについて行くことにした。
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「来た。」
私が振り返ると、青年が私を追いかけてきているのが分かる。
「で、話ってなんだよ。ガジャ達に何をしたんだ?」
「前者はこれから話すとして後者は教えられない。
「いや、教えてくれ。」
むぅ。何とか乙女の秘密ということで、引き下がってはくれないだろうか。
「聞いてしまえば、タダでは帰さないと言っても?」
私は”殺気”を放つ。
殺気がどんな物かは知らないが、剣闘士の試合で、凄まじい殺気とか司会が言っていたものを模倣したものだし、合っていると思う。
「っ!・・・そこまで言いたくないなら別に言わなくても良い・・・」
「ありがと。」
大人しく引き下がってくれて良かった。
彼も他の人と同じ様に”暗示”をかけなければ行けなかった。やはり、あの人の指示とは言え、おいそれと他人を洗脳するのは気が引けるからね。
「それで、本題だけど、あなたにはこれからあの方に会って強くなってもらう。」
「は?」
「理由を聞くのは認めない。とにかく今日の放課後、私について来て」
「いや、今日は予定が・・・」
「反論も認めない。既に今日の放課後はあのコハクとか言う少女とデートの予定があるのはリサーチ済み。」
「じゃあなんで、」
「・・・反論は認めないと言った筈だけど」
「いいや、こちらは言わば誘われている側だ。理由を聞くくらいの権利はある筈だろう」
「理由なんて・・・私にとってあなたのデートよりも、あの方にあなたを会わせる方が重要なだけ」
私は約束を取り付ける事に成功した。
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俺は、白髪の女性、エスの後ろをついて歩く。
コハクは今回のドタキャンを拗ねながらも許してくれた。
今度しっかりと付き合ってあげないとな。
「ここ」
エスが指さしたのは、ムーリャピ教の教会。
「じゃあ、あの方って言うのは・・・」
「うん。そう。あなたも会ったことあるでしょ?神様」
俺はあの神々しい女性と再会する事になった。
※エスは本名ではありません。




