第82話 帰路
「むぅ。焦れったいなぁ。」
(じゃあ、助太刀しに行ったら?)
「それはいけないよ。今の監視しやすい距離関係が崩れちゃうかもでしょ。」
(そういうもんかねぇ)
「そういうもんなの。」
私は街の海岸沿いへ目を向ける。
そこには、ドラゴンと三人組が戦闘を繰り広げていた。
戦況は一進一退といった感じで先程から見ていても、三人組の攻撃は決定打にかけるし、ドラゴンの攻撃は盾を持った少年が全てガードしている。
今のところは拮抗している様に見えるが、あの盾を持った少年が倒れてしまえば、一気にやられてしまうだろう。
(まぁ相手が悪かったね。)
剣聖の少年は自前の剣以外の瓦礫すら使いこなし、その名に恥じない戦いぶりだし、
鎧の方も動きに無駄は見られるが、ヒットアンドアウェイを繰り返す身の丈にあったいい戦い方だ。
それに、手に持っているあの武器はチェーンソーだろうか。
大方あの少年が作った物だろう。
ただあの鎧は分かっていない。
チェーンソーを普通の剣の様に使っているのだ。
傷が浅すぎる。
私が三人を解析していた時だった。
ドラゴンが爪で盾の少年を攻撃しようとする。
盾の少年はしっかりと反応し、攻撃を防ごうとするが、途端にドラゴンが逆回転し、少年の背中に尻尾を直撃させた。
すぐさま反撃しようとする二人。
だが、盾を失った戦士に猛獣が負ける事など無かった。
二人に尻尾が接近する。
あれが直撃すれば鎧はともかく剣聖の方は瀕死状態は免れないだろう。
(結局助けに行くんだね。)
うん。行ってくるよ。
私は二人と尻尾の間に転移する。
視界に二人の驚いている(鎧の方は多分だけど)様子が映るが、気にせず尻尾に向けて魔力による衝撃波を放つ。
転移も衝撃波もこの世界に来て出会った魔術師から”模倣”した力だ。
中々便利だし、今度菓子折りでも送り付けようかな。
尻尾を吹き飛ばされたドラゴンが今度は口を開けてこちらを飲み込もうと牙を剥く。
「余り使いたく無かったけど・・・」
私は腕の体積を膨張させ、その表面を鱗の様な皮膜で覆う。
「・・・っ!」
開きかけの口の両側を掴み捻じる。
ググググググググ グシャッ!
ドラゴンの顎が外れたと同時に顎を引きちぎった。
激しい苦痛に藻掻くドラゴン。
「大丈夫。直ぐに楽にしてあげる。」
私は飛び上がり肥大した拳を叩きつける。
その拳はドラゴンの頭蓋を突き破り、脳を潰した。
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「どうしちゃったんスかね。隼さん。」
「まぁ。あれだけ怯えてたんだし、少し一人でいたいんだろ。」
船で島を離れ、アレクガランへと向かおうとした最中、隼は俺達と同じ馬車には乗らず、荷物を運ぶ馬車に乗ると言いだしたのだ。
「何事も無いと良いんだけどな。」
静かな馬車道を俺達は進んで行く。
その静けさが嵐の前のものにならぬと信じながら
新キャラの俺TUEEEE感がやばいですね。




