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文系剣士と理系魔道士の六年傀儡記  作者: 松房
第四章 学生達の夏
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第79話 温泉

俺達が依頼を終えて宿へ戻ると、部屋にはジョンさんがいた。

「あの~慎太郎達って何処行きました?」

「あぁ、シンタロウ君達なら依頼に出たんじゃないかな?」

依頼から帰って来て慎太郎達の姿が見えないと思ったら、依頼に出かけたらしい。

「ところで、これからやることもないのなら、ここの風呂へ入ってみたらどうだい?」

ジョンさん曰くこの宿の風呂はファストの風呂を再現していて、とても珍しい所なのだと言う。


これは異世界の日本(ファスト)出身である俺が確かめない訳には行かないなっ!


早速、俺は直ぐに馬車へ鎧を脱ぎに行く。

部屋で脱ぐと(フローリング)が傷ついてしまうし、担いで持つのも、生身の俺の貧相な筋肉じゃ不可能だ。

脱いだ鎧を馬車へ積むと、急いで部屋へUターン。

荷物に手をかけるなり、タオルなどの必要な物を取り出し、二階にある部屋から、一階の浴場へ一番近い階段をかけ下る。

浴場へ辿り着くと、まだ夜と言うには早いと言うのにそこそこ人がいてびっくりした。

脱衣場の荷物を入れて置く籠も日本の脱衣場にある物に良く似ている。

更に、浴場から香ってくる仄かな木の香りが日本に似ているという感想に拍車をかけた。

風呂一つとってもここまで似ているとなると、ファストという国に俄然興味が湧く。

・・・将来行ってみるのも良いかも知れないな。

今思えば、この世界に来て、将来のことを考えるのが増えた気がする。


体をお湯で軽く流すと、湯船に浸かる。

足の裏で感じるこの独特なヌメり。

ここ火山島らしいし、温泉が湧いているというのも納得出来る。

俺は浴槽から香る木の香りと温泉のが香りとが入り混じった空気の中、水の流れる音を楽しみながらゆっくりと時間を忘れていった。


▒▒▒


(はぁ~いい湯だったねぇ~)

そうだね。まさかこの世界でも温泉に浸かれるとは思っていなかったから、少し長く浸かり過ぎたかも・・・

私は鞄から手鏡を取り出す。

そこには、流れる様な白い髪と、蒼い眼を持った自分の顔が写っていた。

「ふふっ」

思わず笑みを漏らしてしまう。

(前の世界の私とはだいぶ違うわね。)

そう。この髪と眼はこっちの世界に呼ばれた時にあの方から授かったモノだ。

前の地味で愚図な私と決別する為に。

(ねぇ~私もその授かったモノの一つなんだけど?もっと私もその顔みたいに大切にしてくれても良いと思うんだけどなぁ~)

しているじゃない。こうしてしっかり会話してあげてる。

(いや、そういうことじゃなくて・・・)

私は思考領域の拡張をお願いした筈なのに、どうして、二つ目の人格が付いて来たのか分からない・・・


私はあの方に使徒としてこの世界に(いざな)われた。

その時あの方から授かったのがこの顔と、新しい思考領域(人格付き)、そして、”模倣”という力だ。

”模倣”は一度見た森羅万象をこの身に再現させることが出来る。

前の世界での才能への渇望が私にこの力を宿す原因になったとあの方が仰っていたが、確かにそうだと最近思える様になって来た。

ミラープレートを使ってみても、私の才能の欄は空白だったし、それを知って自身の才能を見せつけ、私を馬鹿にしてきた連中を”模倣”を使って滅多打ちにした時はとても気持ちが良かった。

・・・何だか、過去の私から脱却出来た気がして。

(ねぇ。ねぇってば!ねぇっ!)

気づいたら、私の手は手鏡の柄をへし折っていた。

・・・この世界の体は力が強くて少し使いずらいな。


私は将来あの方からの仕事を完遂し、自分が自由に暮らす姿を想像しながら寝台に寝そべった。





ここから新キャラちゃんが頭角を現し始めますよ。

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