第70話 とある教会にて
テスト期間に入り、長い間更新出来なくてすいませんでした。
今回は慎太郎視点です。
俺達は小一時間程馬車に揺られた後、観光地でもあると言う街に到着し、ジョンさんが品定めをしてくるまでの間自由行動となった。
隼はなんでもこの街の近くに炭鉱があるとかでもしかしたらと、鉱石を買いに行き、コハクも女の買い物があるとかで、一人でそそくさと去って行ってしまった。
と、なると必然的に特にやる事も無い俺とガジャが余る訳だが、呆けていても仕方が無いので、適当に街をぶらつく。
「それでですね~・・・」
「マジか・・・でさ・・・」
学校であった事について、いつも部屋でしているように時々憶測を挟みながら会話する。
「おや、ムーリャピ教?聞かない宗教っスね。新興宗教でしょうか。」
「そうじゃ無いか?けどこれは・・・」
ふと、俺達の目に止まった見慣れない宗教の教会のステンドグラスや、販売していると思われる彫刻は、俺達をこの世界へ飛ばした神々しい女性の姿に酷似していた。
丁度扉から二人出てきたと思うと、教会の奥に設置された祭壇が目に入って・・・あれ?なんだかふわふわして・・・
「ちょっ!シンタロウさん?大丈夫っスか!」
朦朧とする意識の中でガジャの焦った顔が見える・・・熱中症だろうか。短いけど、良い人生だったなぁ・・・
「大丈夫よ。死んでなんていないわよ。てか、その程度で死ぬ程ヤワに体創り変えて無いし。」
倒れてから、俺が初めて聞いたのはどこか聞き覚えのある声だった。
俺の目の前にはあの神だか天使だかようわからんけど神々しい女性が立っていた。
「早速だけど、要件だけ伝えるわね。」
なんだか前回会った時とだいぶ雰囲気が違うな。
「もっと文化を広めなさい。以上よ。」
あぁなんだか話が勝手に進んでゆく。
そして、頭の中も冴えてきた。この謎空間から離れつつあるのかな・・・
ん?文化を広める?どゆこと?
「ひ、一つ質問いいですかっ!」
「忙しいけれど、別に構わないわよ。」
あの頭の冴える感覚が落ち着く。これ以上の滞在を許された様だった。
「何故、文化を広めなければならないのですか。」
俺のその質問を聞くと”仕方無いか”と呟き空中から一冊の分厚い本を出現させ、こちらへと飛ばしてきた。
「そうね。まず、貴方達の記憶では、何とか私を説得して、異世界へとやって来た感じになっているでしょうけど、それは間違いね。本当は私が貴方達をある目的の為にこの世界へ飛ばした。」
「で、では・・・」
「はいはい。分かってるわよ。んで、その目的ってのが、さっき言ったこの世界に文化を広めることなんだけど、貴方はどこまで知りたい?」
そこまで言い切ると、女神はどこか悪戯めいた表情でこちらを見てきた。
「出来ればその目的に至った経緯まで。」
「分かったわ。貴方が今持っているその本だけど、それはこの世界が辿っている世界共栄の運命よ。そして、今はその運命の序章も序章。前準備の段階ね。」
「世界共栄ですか?」
「そうよ。そもそも、どの世界にもうん千億通りもの運命が用意され、その後も増え続けるわ。私もこの世界は魔術を繁栄させようと魔術推進の運命をこの世界に歩ませてたのだけれど、今から五年程前かしら、全世界の内の六十パーセントの人類が、第五次元を完全理解し、その利用が確認された。そして、それを知り、人類は神の領域に近づくに等しいと判断した上位神達が全世界での世界共栄の運命の遂行を命じたわ。
世界共栄とは、文字どうり、人類の異世界間での移動制限を解除し、人類に異世界とそこに暮らす他人類の存在を認知させて・・・要は、人類に異世界の技術を学ぶ権限を与えて、人類の技術革新を加速させたいわけね。
そんで、そんな運命の第一歩として、科学が進歩した世界から魔術が進歩した世界への勇者召喚が今から約三百年後に行われる事になったんだけど、魔術を進歩させた世界の特徴として、紙や、住居、法律なんかの基本的な文化は科学を進歩させた世界と大差無く発展するものの、それ以上の発展はほぼ水平に等しくなるわ。分かり易く貴方の得意な貴方の世界の歴史で言う所の産業革命直前で文化レベルは停滞してしまうのよね。そんな状態の世界に先進国ならぬ先進世界の住人が突然連れてこられてとてもじゃないけど順応出来るとは思えない。そこでそんな世界の代表でもある私は、異世界に対しての抵抗が少なく、尚且つ五次元までは行かなくても、そこそこ技術と文化が成長している世界から・・・つまり、地球から、異世界に順応出来る様な若者。という選考理由から丁度良くテロに巻き込まれた貴方達をこの世界へ呼んだわけね。
でも、まぁ。この世界へ来て約三年。定着した、もしくは、これから定着するであろう異世界の物品は魔法瓶と、オセロのみ。文化の成長が極度に遅いこの世界では三百年後に”似ているけどちょっと違う”レベルするにはここ十年以内が限界だから、この空間から出たら学校の授業より、文化の普及を優先しなさい。それと、ここでの体験を口に出すのは厳禁ね。」
「ちょっと待って下さい何故話してはいけないのですか?せめて隼には話して置いた方がいいと思うんですけど・・・」
「そうか、まだ貴方はまだその運命を読んでいなかったわね。ちょっと読んでみなさいよ。」
「はい。」
文字は全くもって理解出来なかったが、女神が気を利かせてくれたのかある一文だけ理解する事が出来た。
”ミノシフル歴 千六百七十六年 七月八日 特異点【魔道具仕掛けの改変】が人類の八割を惨殺の後、自らを封印する”
もしかして、隼はこの【魔道具仕掛けの改変】とやらに殺されてしまうのだろうか?
「えぇ。まぁ大方その予想で合っているとだけ言っておきましょうか。運命っていうのは不思議なもので、本当に些細で、どうってことない事でさえ一度起きてしまえば、結果が変わってしまうの。だから、今から五年後の千六年七十六年に野口隼は死ぬという未来が貴方が伝えた事でより悪い方へ変わってしまうかもしれない。分かったわね・・・」
俺の意識はそこで一度途切れた。
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彼が帰って行った。
さぁこの後、彼はどう動くのか。【魔道具仕掛けの改変】の正体を知った時どう動くのか。
あぁ・・・考えるだけで胸の高まりが抑えられなくなる・・・
まさか思いもしないだろうね。
【魔道具仕掛けの改変】の正体がまさか▒▒▒なんて。
今回から、ちょくちょくシリアスさんが入って来るかも・・・
【魔道具仕掛けの改変】と書いてデウスエクスマキナです。
”機械仕掛けの神”って翻訳される事が多いですが、本来は演劇の”展”の部分に劇場の舞台装置使って神役を登場させた事が語源らしいので機械の部分を魔道具に、神の部分を改変に変えて頂きました。




