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文系剣士と理系魔道士の六年傀儡記  作者: 松房
第四章 学生達の夏
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第68.5話 隼の日記part3

今回は隼が過去について綴る回です。

Ё月Й日

最近は、すっかり学校での生活に慣れ、余裕も出てきたと思うが、それと同時にこの世界に来る前の記憶が夢に出てくるようになった。

やっぱり、自分の中で精算し切れていないのだろうか。

今日はこれといって、書くことも無いので、過去の精算に近づく為に少し、前の世界で辛かった事をまとめてみようと思う。




俺の両親は父が文学者で、母が作家だった。

両親とも小さい時から文学にのめり込み、実際に才能を開花させた人達だったから、理数系への造詣が浅かった。

幼い頃の俺はそりゃあもう、両親に良く文章を書かされたり、いわゆる名作と言われる純文学を読まされたりしたが、両親の言う何かを感じるといった感覚を感じるどころか、簡単な人物の心情ですら読み解く事が出来なくて、良く悔しくて泣いたと思う。


そして、僕は、良く失敗をする事が多かった。

しかも、今になって思い返してみると、怪我には関してはかなりえげつなかったとも思う。

ひとたび、口論になれば、毎回収束のつかないところまで拗れて、最終的に俺が責任や、様々なものを背負う形で終わっていた。

両親には、大層呆れられていたと思う。

”何故自分達の子なのにこんなにも文学に親しめないのか”

”何故この子はほんの小さな喧嘩でもここまで損をして帰って来るのか”

正直、今でも耳が痛くなる。

それ以来、自分は持っていない側の人間だという自己評価が覆ったことは無い。

慎太郎と出会ったのはそんな時だった。

確か小学校に入りたての頃だったと思う。


慎太郎の父は、高校の化学と物理を担当する教師だった。


慎太郎が自分は出来ないけれどと皆の前で自身の父の話をしている時、俺は、人生で初めて直感の様なものを感じた。

今まで、自分には理解出来ない文学と、度重なる敗北によって廃り果てた自信しか無かった俺の世界に光り輝く何かが舞い降りた瞬間だったと思う。

慎太郎は文学や、語学に対する好奇心や、やる気が他とは桁違いだった。

そして、俺は何とか慎太郎と友達になり、なんとしても慎太郎の父に会いたいという目標が出来た。

幸いだったのは、俺がそこらの一般小学生より語学や、文学に堪能だったことだろう。

俺は、慎太郎に”自身の知らない言葉の世界”をチラつかせ、友達になる切り口を作った。

そして、慎太郎に見せて貰った化学や、物理学の著書を読んだ俺は、自分の輝くべき場所はここにあるという確信をさらに高めていったことを十二年たった今でも鮮烈に覚えている。

ただ、問題が起きた。

両親が慎太郎を”普通の子”として、見てしまった。

それは慎太郎を家に招いた時だった。

うちの両親は、両方とも、自身の考えや、世界を著書にして出版する様な仕事をしているので、家で仕事をしている事が殆どで、実際に”普通の子”がどのくらい文学に対して適正が知りたかったのだろう。

慎太郎の能力は凄まじかった。

その卓越した能力を両親は、最近の子の”普通”として、誤認してしまったのだ。


その時の俺はそんなことをいざ知らず、慎太郎の父にも会い、褒めても貰ったが、それを両親に言えば、あの子が出来るんだからそんな”今は必要ない”なんか勉強せずに、国語(こっち)を勉強しなさい。と言われた。

”今は必要ない”ってなんだ?

当時の俺はその疑問と、ちょっとの反抗心を持ってより一層科学の世界にのめり込んだ。

その後、さらにキツく言われた。

更に打ち込む

キツく言われる

打ち込む

言われる

打ち込む

言われる

打ち込む

言われる

この繰り返しで俺の自信は再び底に着いた。

・・・産まれて来る家庭を間違えたのかもしれない。

この事を慎太郎の父に相談すると、慎太郎の父は俺にこんな言葉授けてくれた。

”皆、一旦失敗すると、そこで今の君の様に失敗を悪と捉えて、折れてしまうが、私はこうも思うんだよ。そんなに失敗は悪いものだったのかい?ってね。君がもし、失敗を繰り返して、頑張っていて、それでも、悪と決めつけるヤツがいたら、

こう心の中で罵ってやればいい。君達は、もう文明の恩恵を受けられない程に愚かで、怠惰になっている!ってさ。良いかい隼君。人類の歴史は失敗の歴史だ。どの時代にも、失敗を正しい事だと思い込む馬鹿な人って言うのがいて、その人が理由はどうであれ、ひたすら失敗と実験を繰り返してこそ、文明が発展し、その恩恵が皆へと行き渡るんだ。それなら、今から君をその馬鹿な人にしてあげるから、君はただひたすらに、その失敗にぶち当たりなさい。”

今でもこの言葉には救われる事が多い。

今思えば、この言葉があったからこそ”失敗者(ルーザー)”なんて才能が自身に潜んでいたと分かっても完全に沈まずにはいられたと思うし、開発の途中で負った傷も乗り越える事が出来たと思う。

なんだか、自然と体の中からやる気の様なものが湧き上がるのを感じる。

こうしちゃ居られない。今日は早く寝て、明日に備えなければ。







次回、いざ火山島へ!

もうじきサイドストーリーとの絡みが・・・?

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