第3話 慎太郎の至福
今回は隼目線です。
俺は今も~れつに複雑な心境に陥っている。
慎太郎の新たなる門出を祝うべきか。
俺の不遇な職場待遇に抗議すべきか。
そんなこんなで護送についてから三時間。
僕、野口隼はよくあるアニメの護衛役の様に歩き続けている。それに比べて慎太郎はキャラバンの馬車の中でケモ耳少女片手に揺られている。
別に歩くのが嫌ってわけではない。
ただ、あのケモ耳少女見てくれはいいくせに
俺の事を"小物"だとか"慎太郎様の荷物運び"
果てには"無能"とまで言い出したのだ。
やってられるかコンチキショー!って感じである。
というかやっぱりテンプレは最強なのかケモ耳少女は慎太郎に心奪われた様だった。
隼はそんなことを考えながら馬車の後ろを歩いて行く。
自分の友の精神が死にそうになっているのをいざ知らず慎太郎は今天にも登る様な気分だった。
理由は言うまでもないがケモ耳美少女に頭を抱えられているからだ。
その髪は黒く艶やかで、肌はシミひとつ無い。
極めつけはその猫耳だ。凄くモフモフだ触ると嬉しそうな表情をするのがとても可愛らしく、獣人に余り興味を抱いていなかった慎太郎だが、今のその姿にそうした面影は一切無かった。
そんなこんなで二時間後・・・・
「グワァァァァ・・・」
目の前に現れたのは怪物だった。