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文系剣士と理系魔道士の六年傀儡記  作者: 松房
第三章 学校行事とエルフと
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第33話 タメ口語録

隼は王子からの頼み事をどうするか悩んだ。

その王子からの頼み事とは、”マテリアル”の基本的な原理と、素材や設計図などの製造法の国への献上だった。

この世界にも著作権の様な製造権なるものが存在している。

この場合はそういった”マテリアル”に対しての隼の権利も全て献上しろ。といった意味合いでアレク王子が言っているのは隼も理解する。

然し、”マテリアル”は隼がこの世界に来てからの三年間の構想と三年間の努力の末に手に入れた学校(魔道工学科)という環境があったからこそ完成した言わばこれ迄の努力の結晶であり、その権利さえも献上しなくてはならないというのは隼の持つ職人魂(プライド)を逆撫でした。

だが、相手も王子という立場でどうしても国の事を優先しなければならないのも、全ては国の為になるというのも理解している隼は王子(アレク)が信用に足る人物なのか非常に気になった。

「あの、アレク殿下。」

「ん?なんだい?ハヤテ君。」

「”マテリアル”の事は何処で?」

「あぁ、ラグルに教えて貰ったんだ。気になったので実際に見しても貰ったよ。」

この言葉を聞いて後でラグル先生にも質問しようと思った。

「では、何故”マテリアル”を?威力ならそれこそ国に属している宮廷魔術士達の魔法の方が上でしょう。」

宮廷魔術士とは、このミノシフル王国に属するトップクラスの魔術士に与えられる国民階級だ。

国民階級とは国が有事に至った時どのように国民達を扱えばいいかわかりやすくする為に国民一人一人に付けられた階級で、まず第一に王族、次に貴族、と言うように基本的に騎士や、宮廷魔術士などの例外を除き、階級が高ければ高い程に権力が集中している。

「どうやらハヤテ君は僕の事を信用出来る人物か疑っているようだ。

けど、それも仕方ない、たとえ相手が王族だとしてもいきなりよく知らない人に権利を寄越せなんて言われても渡せないよな。

まぁいい。まず、ハヤテ君の言う通り確かに威力は宮廷魔術士達の魔法には劣るだろう。

だか然し、持久性と生産性は目から鱗が出る程違う。例えば一人の宮廷魔術士を育てるのに十年かかるとしよう。一体その十年の間に”マテリアル”はどのくらい製造出来るだろうか?分かるかいハヤテ君。」

隼は王子の突然の振りに困惑するが、落ち着いて計算を始める。

「一年中年中無休で一人の人間が一日に二機ずつ作るとすると、十年で七千三百機でしょうか。」

「あぁそうだ。しかも、それは一人で作り続けた場合だ。宮廷魔術士も毎年才能ある者を何百人と集め教育を始めてはいるが教育を受ける十年間を経て実際に宮廷魔術士となれるのは二十人だけというほんのひと握りで、そうして生まれた宮廷魔術士も他国との戦争や、第二等討伐種などの有事の時使う様な極大魔法は撃てても一日に一回程度。然し、”マテリアル”はどうだ?量産して仕舞えば一般の兵士にも扱う事が可能だろうし、

強力な魔法に少し劣る程の火力が弾が無くなる迄半永久的に撃ち続けられるんだ。」

その後も王子(アレク)はこの国に”マテリアル”がもたらす利益について熱く語る。

(あぁ王子(アレク)は本気でこの国のことを思っているんだなぁ。)

「ところで、そんなに”マテリアル”の製造権が惜しいのなら、特別監督権というのも・・・」

「もういい。」

「え?それは、どういう・・・」

隼の言葉にアレク王子は思わず聞き返してしまう。

「もういいよ。そんなに語られちゃ断った方が悪いみたいになるだろうし、それに権利を失っても申請送って通ればその時だけでも作れるんでしょう?」

「あぁ、確かにそうだが・・・その、ありがとう。」

「あの、アレク殿下、もし良ければ慎太郎と同じ様に友として接してもよろしいでしょうか?」

「あぁ問題ない。むしろ、私は敬語は余り好きではないので、慎太郎の様に、た、め口だったかな、そちらで頼む。」

「はい。」

隼が頷くと、アレク王子は懐から分厚い手帳の様な本を取り出すと、中のページを指し隼を指摘する。

「おい、ハヤテ!そこは”はい”ではなく”おう”だお前はタメ口を知らんのか!」

アレク王子いや、アレクはそう言うと、隼へその本を手渡すと、隼はその本の表紙を見て思わず噴き出しそうになる。

[タメ口語録 著シンタロウ=ダザイ ]

「アレク・・・これは?・・・」

「あぁ見ての通り慎太郎が書いた素晴らしき書だ。その一切の気兼ねがないという素晴らしさ故、私の部下には全員に配り、タメ口を強制しておる。」

隼は”何やってんだ”という視線を慎太郎に送るが、慎太郎は顔を逸らし、”一切の責任は負いません”というかの様な態度をとるのであった。



本格的な入学式回は次回ということで。

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