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文系剣士と理系魔道士の六年傀儡記  作者: 松房
第二章 そして学校へ
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第15話 合格発表までの騒動

隼は魔道工学科の試験会場を後にすると、慎太郎とコハクを探す。

何せこの人混み。一人だと心細い。

「それにしても、改めて見ると色んな人がいるな。」

隼が辺りを見回すと、獣人や、人間(ヒューマン)は勿論のこと、エルフや、ウィンディーネ、角の生えた人までいる。

そうして隼がとうとう異世界に来たのだと三年前と同じ気持ちになっていると、

人混みから男性の怒号と女性の悲鳴が聞こえてくる。

(ん?トラブルかな?)

隼は特にやる事もないので、近くまで見に行って見ると、中心に貴族風な人間(ヒューマン)の男と獣人の男女を置く形で隼の様な野次馬が群がっている状態だった。

「申し訳ございません!、貴方様のお召し物は私が一生掛かってでも弁償致しますので、何卒妹だけはお許しください!」

「何を言い出すのやら、獣人の分際で?私の服を弁償する?面白い冗談ですね~」

獣人の青年が退け座をしているのにも関わらず、

貴族風な青年はそれを許すどころか、嘲笑う様に見下し、青年の庇うその妹へ舐め回す様な視線を向ける。

「って言っても俺のズボン弁償する当て無いんだろ?じゃあもうさっさとお前の妹、俺に寄越せよ。」

よく見ると貴族風な青年のズボンの膝に穴が開いている。

「ですから、私が一生掛かっても弁償させていただきますのでどうか・・・」

「ごちゃごちゃうっせーんだよ。さっさと寄越せよ性奴隷にするからよ!」

そう言って貴族風な青年は獣人の青年の頭を踏みつける。

野次馬達の間にどよめきが走るが、そんなこと知ったこっちゃないと、貴族風な青年は足に込める力を強くしていく。

その後もこの様なやりとりが続く中、隼は自分に話し掛ける存在がいることに気がつく。

慎太郎だった。

「なぁ隼。本当にいたな、獣人見下す貴族。」

「あぁアニメや、ラノベでもこの上なくイラついたけど、現実になると怒りすら通り越すな・・」

ここまできて隼は慎太郎の思惑が手に取る様に分かった。

「ああいうのをカッコ良く止めるのが主人公だと思わないか?」

「やっぱりか・・・けどここで止めても面倒事に巻き込まれるだけだぞ。」

「いや、寧ろ巻き込まれるのが主人公だと思うが。」

慎太郎がここまで言い切る時には二人ともとても人様に見せられない様なにやけ顔になっていた。

裂けて仕舞うのではないかと思うくらい口角を吊り上げ、今からあの貴族風な青年(アイツ)をどんな酷い目に合わせてやろうか色々考えている内に二人の間で考えが一つに纏まる。

「よし、じゃあサポートよろしく。」

「おう。任せな。」

そんな短い言葉を交わすと、慎太郎は修羅場(ステージ)に颯爽と飛び出す。

「なんです?貴方?私はこのどうしようもない(ケダモノ)に躾をしているのです。邪魔しないで貰えませんか?」

貴族風の青年が巫山戯たような態度を取った瞬間慎太郎は剣聖覇気を放つ。

「いや~俺にも獣人の連れがいてねぇ、結構可愛いんだよ。その連れと同じ獣人を(ケダモノ)なんて呼ばれちゃあ、ねぇ。」

(あれは演技も入ってるが慎太郎の奴本気だな。仕方ない。こっちも本気で演出(サポート)してやろうかな。)

「ほ、ほう?ならば実力行使しかあるまい?」

そう貴族の青年が言い放つとガチムチの筋肉ダルマが数人出てくる。

そうして筋肉ダルマが慎太郎に襲いかかろうとした時、慎太郎は剣を鞘から抜くと、筋肉ダルマと貴族の青年の周りに無数の鬼火が浮かぶ。

そして、貴族の青年とその一行はその肌を伝う猛烈な熱に恐れを抱く。

そんな恐れを抱いた様子を見て、慎太郎は剣聖覇気を更に強めながら、

「金なら払うけどさぁ、それでも続けるか?」

トドメに鬼火を少し肌に触れさせる。

「ひ、ひぃぃぃぃ、お金は要りませんからぁぁぁぉぁぁぁ」

そう言って一行は四つん這いで逃げて行く。

そうして慎太郎が剣を納めると隼も炎を消す。

その慎太郎の姿を見て辺りの野次馬から大歓声が起こる。

そんな戦闘でも見せた事のない全力をこんなくだらないことに使った二人を見て、コハクは

「何やってるんですか・・・全く。」

一人ため息をつくのであった。



だいぶ話がそれてしまった。

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