1話
ホームルーム後の掃除を終え、彰は自転車に乗って家への帰路をたどっていた。
彰は部活には所属しておらず、下校する時はたいてい一人だった。だが、彰は特別寂しいと思ったことはなかった。今だって鼻歌を歌いながら自転車を漕いでいた。
そうこうしているうちに学校の最寄りの駅が見えてきた。
この駅はそこそこの大きさで駅の中には2、3件の店舗があり、駅前には待ち合わせに重宝されている誰かもわからない銅像があった。
彰はいつものように通り過ぎようとしたが、あるものに目が止まり、ペダルから足を下ろした。銅像の横に見慣れないものがあったのだ。
パイプ椅子に紫の布がかけられた机。机上には「タダで占います」と書かれた立て札があった。座っているのは白髪の老人で、サングラスをして春にも関わらずグレーのマフラーを身に付けていた。
いつもの彰なら、変なやつだなぁと思いながら通りすぎるのだか、なぜか今はいかにもあやしく、胡散臭い、そんな老人に妙に惹きつけられていた。
「そこのお前さん、ちょっと占ってみんか?」
「え、俺ですか?」
あたりを見ますがアキラの他に人はいなかった。いつもは賑わいを見せる駅前だが、今日に限っては例外らしい。
「お前さん悩み事があるだろ。さぁこっちに来い」
彰は誰にでも悩み事の一つや二つあるわと心中で思いながらも、ためらうことなく老人に近づいて行った。




