プロローグ
誰でも昼食後は眠たくなるものだ大翔彰も例外ではない。今は5時間目、4時間目に体育があったこともあり、いつにまして眠気が彰を強く襲っていた。
授業内容はこれからの進路を考えてみようといったもので、彰は高校一年生にはまだ早いなどとのんきなことを考えながらあくびをした。
彰は退屈しのぎに隣の席に目をやった。そこには彰同様退屈そうにしている友人の姿があった。どうやらプリントの端に絵を描いているようだった。
「池田何書いてんの?」
彰は小声で池田 雄介に話しかけた。
「なにって言われてもな、うーん……何かだよ、自分でもわかんない」
池田も同じように小声で答えた。
「そこ、話を聞いていますか?」
とっさの担任の声に二人は驚き、冷や汗をかいた。しかし注意を受けたのは他の人だったため胸をなでおろした。暇を持て余しているのは二人だけではないらしい。
しばらくして、彰が二度目のあくびをしかけた時、終業のチャイムがなった。
休憩時間に入り何人かは眠気が限界値に達し次々と机に伏せていった、彰も同じようにしようと思ったが、
「彰の将来の夢ってなんなの?」
池田のこの一言で遮られてしまった。
「そういう池田は何になりたいんだよ?」
「俺は本でも書いて印税で暮らすんだ」
と池田は楽天的なことを自信ありげに答えた。彰はそんなに簡単にいくわけないと思ったが、
「まじか、スゲーな」
と適当に返した。眠気こそ薄れてきたが頭はいまだボーっとしており、会話がおっくうに感じられたのだ。
彰の思いが天に通じたのか、池田との会話に2,3人かが入ってきて彰はただ耳を傾けるだけでよくなった。
「私は医療関係に進みたいな」
「僕はこう見えて、お笑い芸人になりたいんだ」
思い思いの夢を語るクラスメイト、その表情は生き生きしていた。
「で、結局彰は何になりたいんだよ?」
「あ、それ私も気になる」
「確かに、僕も聞きたいな」
どうやら質問からは逃げられないらしい。
「まだ探し中、特にやりたいことはまだないな」
彰は無意識だったが、その表情はどこか薄暗く見えた。




