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胡蝶の夢  作者: 長川夜
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プロローグ

胡蝶の夢、という言葉を知っているだろうか?ある中国の思想家がある日蝶になって飛んでいる夢を見た。

そして、こう思った。果たして今自分は蝶になっている夢を見ているのか、それとも今の自分こそが蝶の見ている夢なのか。という話である。


話変わってきっとこの国の子供たちはきっと小学校の道徳の授業で命の価値に差なんてない、例えアリだとしても生きている、と。

しかしそう習った時俺は思ってしまった。確かに先生にそう教われば皆はいい声で、はい。と返事をするだろう。

そして先生も満足そうにほほえみ、頷くことだろう。


でも、俺はこう思う。これから先きっとこの返事をした生徒達は、あるいは先生ですら、足元のアリを避けて歩くことはないだろう。


だから、俺は馬鹿馬鹿しい、と思いながら授業を聞いていた記憶がある。


そして、こうも考えた。

もしかしたら、俺達が大きいと思っているもの。小さいと思っているものはただ俺たちがそう考えているだけなのではないだろうか、と。


宇宙は果てしなく続く。人間には未知の領域である。

しかし、本当は俺達は、物語に出てくるような小人なのかもしれない。本当は俺達の想像のつかないような巨人が存在し、その巨人からすれば、宇宙は俺達の概念でいう、小石のようなものであり、たまたま、まだ踏まれていないだけであり、いつ壊れてもおかしくないんじゃないのか。


そんな考えを先生にぶちまけ、苦い顔をさせたクラスの爪弾き者は、きっと自分が賢いと思っていたのだろう。

周りのみんなは教師の言いなりであり、そうありたくない、そうならなければ賢いのだと思っていたのだろう。

友人なんていらない、作る必要が無い、だって自分は周りとは違うのだから。そう思っていた。


そして、当然その考えは露骨に態度に出る。そんないけ好かない奴が好かれるはずもない。

しかし、クラスでたった一人おそらく俺と同じ考えをしているだろう奴がいた。


俺が教師を困らせている間、ほかの連中が白けた顔をしているにも関わらず、1人だけ、ニヤニヤと笑っているやつがいた。

クラスのもう1人の爪弾き者サキだ。サキは割かれた上靴をブラブラさせながらこちらを見てニヤニヤしている。俺はたくさんの傷が入った机の前で立ち、舌打ちをしている。


そんな光景は恐らく3歳の頃から繰り返してきた。

俺とサキは所謂幼なじみのようなものだとは思うがお互いに関係を認めたがらない。


それは、お互いがお互いにら敵意、あるいはライバル視と呼ぶであろう感情を、向けていたからである。


お互い相手より自分が賢いと思っていたし、お互いいつもテストは100点だったからお互い、相手のせいで本当の1番、というものになれなくて自分のあり方に自身を持て無いことを忌々しくおもっていたのだろう。


しかし、家がご近所であり、年も同じということもあり、両親の仲は非常に良く、家族ぐるみの付き合いすらあった。

しかしここが2人の賢い、というよりずる賢いところであり、両親の前では仲のいい幼なじみを演じていたのである。

そうしないと、学校でのことがばれてしまう、という考えももちろんあったし、ここで仲のいい子同士を演じておけば、友達がいないのではないかと、親に心配させることもなかったからだ。

ニコニコとソファに座りながらTVアニメでも見ていれば偽装は完璧だ。


そう、2人は仲のいい者同士。そう演じておけば例え机に傷を付けられても、上履きをズタズタに裂かれても大丈夫だった。


要するに2人とも自分は周りとは違う。という感情と、お互いしか、拠り所がなかったのだ。

もちろんその時俺はそんなことに気づいていなかったし、恐らくサキも気づいていなかっただろう。


そして、サキの家族が引っ越してしまい、一人になってからしから気づけなかった。


引っ越す数日前二人でブランコに乗りながらサキは言った。

「ねぇ、私達賢いじゃない。」

「そうだな。まぁ、俺の方がかしこいけどな。」

「今、そういうのいいでしょ。」

「で、なんだ?」

「もし、今から行くところが、こことは全然違って、私達より賢い人たちでいっぱいかもしれない。でも、もしかしたら、ここの人達と同じかもしれない。もし、後者なら...私はきっとあなたのところに帰ってくるわ...その時は、賢く二人で一緒に暮らしませんか。きっと、何年も後だけどね。」

「...考えとく。」

俺は赤い顔でこう言った。サキは泣き腫らした顔をクシャクシャにして笑っていた。

そして時は経ち

俺は...

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