報告
今回は短めです
小さな部屋の一室、部屋の中には調度品などは何も無く、椅子が一つ置いてあるのみ。その部屋の椅子には部屋に似つかわしくない衣装の少女が1人座っていた。
「こちらにいらっしゃいましたか」
そういって部屋に入ってきたのは涙を垂らした仮面を被った人物だった。
「あら?お帰りなさいユシィ。予定よりも早かったけれど何かあったのかしら?」
狐の耳を生やした少女が仮面の人物に問う。仮面の人物もその仮面を外しながら今回の顛末を報告する。
「申し訳ありません。騎士の連中に気付かれてしまい目的の人物を回収することは叶いませんでした。後始末は済んでおりますので計画自体が露見することは無いでしょう」
仮面の下から出てきたのは狐耳の少女より一回り上の女性。こちらもまだ若く少女と呼んでも差し支えの無い年齢だ。少女の目は縦に細くなっており、夜行性の動物の目を思わせるものだった。その猫目の少女は作戦の失敗を告げる。
「そう・・・召喚に失敗したの?それとも別のこと?」
「召喚自体は成功したようです。魂移しの結晶を使う際に通報が入ったようですね」
失敗を聞いても狐耳の少女の反応は薄い。猫目の少女、ユシィと呼ばれた少女は失敗の内容を告げるがそれを聞いても狐耳の少女の反応は変わらない。
「じゃあ国の中には居るのね?」
「えぇ。おそらくは騎士団の詰所で拘留、聴取の後に解放されるかとは思いますが・・・こちらから働きかけますか?」
「それはいいわ。しばらくは様子見しましょ。ふふ・・・捕まえたら何をしましょうか・・・」
騎士団に手を出せるというユシィ、既に士郎を手に入れた後のことを考えて笑っている狐耳の少女。それだけでこの2人が普通の人物ではないことを示していた。
「それでは、私は通常業務へ戻りますゆえ、メイ様もお部屋へお戻りください」
メイと呼ばれた狐耳の少女はそれに頷くと、頭を下げるユシィの横を通り、部屋から出て行ったのだった。
「さて・・・通常業務の前に取り逃がした残りの始末だけはつけておきましょう」
そういってもう一度涙の仮面を被るユシィ。次の日フードの男達の生き残り、ソイが騎士団の拘置所で死んでいるのが見つかった。しかし犯人が見つかることは最後まで無いのだった。
次は登場したアイテムの説明回です