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末路

さらばフードさん達・・・

 

 バルトは走っていた。あの仮面を被った悪魔から逃げる為に。


 彼は元冒険者だった。もう少しでBランクになるだろうといわれた程だ。新人と揉めて殴り殺してしまったことにより謹慎を受け、その期間すら守れず犯罪者に転落してしまったのだが。それでも彼が優秀であったことに間違いはない。

 そんな男が一心不乱に逃げている。見ただけで彼我の戦力差がわかってしまうほどあの仮面の人物は強かった。


 最初の奇襲で2人がやられ裏道を3人で逃げていた。そこで二手に分かれたが先ほど聞こえてきた悲鳴から分かれた1人はやられてしまったのだろう。今バルトの後ろには最後の1人であるソイが走っている。


「ぐあっ!な、なんだ・・・視界が回る・・・」


 ソイの言葉と同時にバルトの横をナイフが通り過ぎた。


「平衡感覚を失わせる薬が塗ってあります」


 淡々と告げる仮面の人物。ソイは投げられたナイフに当たってしまい転倒した。倒れているソイには足にナイフを刺し動けないようにして仮面の人物はバルトへの追撃を続けるつもりのようだ。

 3人の時ですら撒くことの出来なかった相手だ。一対一の逃走が成功するわけも無く、バルトもついに袋小路に追い詰められてしまった。


「なんだよ!なんなんだよお前は!俺たちが何したってんだ!お前みたいな奴に狙われる通りはねぇぞ!」


 嘘である。恫喝恐喝強盗違法売買、果ては殺人まで。彼らのせいで生きれなくなった人物や実際殺された人物も枚挙に暇が無い。それにもかかわらず自分が殺されそうになって抵抗しているのだから救えない。


「狙われる理由ですか?そうですか、未だに気付いていないのですね・・・倉庫の周り。騎士に囲まれてましたよ?」


「は?」


 淡々と告げる仮面の人物。返事がもらえるとも思っていなかった上に、突拍子も無いことを言われたためバルトは一瞬呆けてしまった。


「つまり貴方達は既に詰んでいたという訳です。依頼の失敗。死の理由としては十分でしょう?」


 それが当たり前かのように言う仮面の人物はどこかがおかしいのだろう。常識のネジが・・・歪んでいる。


「つまりずっと監視してたわけか・・・最初から俺たちを殺すつもりだったんだろう!?依頼金が惜しくなったのか!」


 バルトが声を荒げる。言った内容が気に障ったのか仮面の人物も声音が鋭くなる。


「依頼金が惜しい?なにを寝ぼけた事を言ってるのでしょう?隷属の首輪、魂移しの結晶。どちらも買えば貴方達に10回は依頼できるほどの品物ですよ?私達が困るのは情報が漏れることですよ。幸い貴方達は魔方陣を見ても気付かなかったので放置しましたが、調べようとした時点で始末の予定でしたよ?」


「だ、誰にもいわねぇ!魔方陣・・・この羊皮紙だろ!?こいつも返す!だから命はたs」


 懐から魔方陣の書かれた羊皮紙を取り出し命乞いをしようとしたところで、バルトの喉にナイフが刺さった。


「貴方が持っていましたか。これで死体を捜す手間も省けましたね。それでは赤髪を始末してから戻ると・・・時間切れですか。仕方ありませんね」


 とりあえず転がしておいたソイに止めを刺しにいこうとした仮面の人物だったが、近づいてくる足音に気付くと始末を諦めその姿を消した。


「ここにも1人倒れてるぞ!・・・息がある!急いで治療所へ!」


 倉庫内で死んでいた2人を発見した騎士が来たことにより、ソイは一命を取り留めることになった。しかし、仮面の人物については有力な情報は得られずに終わることになる。

次回も閑話予定です。

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