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思わぬ協力者

 

「商人のチェックが甘いという話を聞いてね。賄賂の線も踏んで潜入捜査というわけさ。あぁ商人の方はお付き合いありがとう。こちらは気にせず行って下さい」


 門番に声をかけられ咄嗟の言い訳だったが、アイラが声をかけたことにより商人と御付のふりをしているアイリは上手く城内に入って行った。なんとかばれずに済んだ様だ。


「我々近衛は誇りを持って仕事に取り組んでおります。賄賂などを受ける輩は居ないと断固抗議いたします」


 なんとかやり過ごせたが門番の不評を買ってしまったようだ。アイラはなんとか門番の憤りを静めようと考える。


「確かにそんな人物はいないと思います。それに商人のチェックが甘いという話もどうやら誤報だったようですしね。善意の通報ということで事を荒立てずに進めたかったのですが・・・こうなると通報してきた人物も善意ではなく悪意で言ってきた可能性も視野に入れねばならないようです」


 元々がでまかせであるのでそんな通報などはそもそもありはしないのだが、事が大きくなり騎士団の詰所まで話が行ってしまえばこの話しが嘘であるとばれてしまう。そのためアイラは秘密裏であるという部分を強調しながら伝えた。


「そんな通報が・・・かしこまりました。この件は私の胸の内に秘めておきましょう」


「助かります。通報自体も投書によるものですので犯人の特定は難しいのですがその件は騎士団預かりで進めますので」


「はい。街中の案件に当たりますのでそちらでの処理をお願いいたします」


「ええ。それでは私はそろそろ失礼いたします」


「はい。お疲れ様です」




 門番をなだめることも成功し無事にその場を離れることに成功したアイラ。しかし目的は城内に入ることなのでこのままではアイリ一人に任せることになってしまう。なんとかして入れないかアイラは考えていた。


「ん?そこにいるのはアイラじゃないか?」


 噴水広場に腰掛け城内に入る方法を考えていたアイラに声をかけてきた人物。アイラが顔を上げると立派な体格の男性が立っていた。


「リーゼル隊長・・・」


「俺はもう隊長じゃねぇよ。どうしたんだこんなところに座り込んで。今日は非番なのか?」


 リーゼル前跳躍隊隊長で多大な功績から近衛に昇格した人物である。


「実はですね・・・」


 アイラはリーゼルに事のあらましを説明することにした。リーゼルが隊長の頃にはお世話になっていたし、彼は清廉潔白な人物だ。アイラはリーゼルを信用していた。


「なるほどね・・・確かにそりゃ怪しいな。よしわかった。俺が城内までは連れてってやろう」


「助かります・・・しかしどのようにするおつもりですか?」


「まぁ任せておけ。話だけあわせてくれればそれでいいからよ」


 そういってリーゼルは王城へと歩いていく。アイラはどうするのか疑問に思いつつもリーゼルに着いていくのだった。


「これはリーゼル殿!お疲れ様です。おや・・・跳躍隊の?」


「あぁアイラは俺の元部下でな。何でも近衛の抜き打ち検査をしようとしたって言うじゃねぇか。俺達は後ろ暗いことは何もしてないからな。それをわからせるために直接見せてやろうってことにしたのさ」


「なるほど・・・しかし騎士団の人間とはいえ勝手に城内に入れるのは・・・」


「入れるって言っても一階部分だけさ。それなら商人達を入れるのとほとんど変わらないだろ?」


「それはそうですが・・・わかりました。リーゼル殿が言うのであれば信用いたしましょう」


 話をあわせろとは言われていたものの全くアイラに話を振られることはなく、リーゼルは入場許可を得たのだった。




 城内に入ったリーゼルとアイラ。リーゼルは近衛の臨時会議室として使われる部屋に入ると近くの椅子に腰掛けた。


「まぁ俺にできるのはここまでだ。流石に場内を一緒に歩き回るのは目立つだろうしやめておいたほうがいいだろう」


「ありがとうございました。リーゼル隊長のおかげでなんとか捜査を進められそうです」


「隊長じゃねぇってのに・・・まぁあまり無理はするなよ?帰るときは俺に声をかけてくれれば城門まで見送ろう」


 事情を理解して手伝ってくれた上、心配までしてくれるリーゼルにもう一度お礼をいいアイラは部屋を出た。まずはアイリが向かったであろう冷暗所に向かう。

 冷暗所に入りアイリを呼ぶと直ぐにアイリが現れた。


「やっぱり姉さんならくると思ってた・・・どうやって入ったの・・・?」


「昔騎士団でお世話になった方が近衛に居てね。その人に手伝ってもらったのさ」


「そう・・・じゃあシロウ探さないとね・・・」


「あぁ、とはいえどこから探せばいいものか・・・」


「ここに隠れていたときに・・・料理人の人がきて・・・姫様がいつもより料理の量を多くしてくれって言ってたって・・・」


「ふむ・・・とりあえずその姫様を探してみようか」


 こうして合流したアイラとアイリは料理人が話をしていたという姫様をあたる事にした。

 

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